[SY6-1] エビデンスから意思決定へ:臨床と政策の両方の視点から
【抄録】
1991 年、臨床疫学者Guyatt による根拠に基づく医療(evidence-based medicine: EBM)の提案以降、保健医療の意思決定に疫学研究から得られたエビデンス(evidence)が重視されるようになり、その領域は臨床実践(evidence-based clinical practice : EBCP)から政策(evidence-based policy making: EBPM)へ拡大した。エビデンスに基づくアプローチと共に、人間集団を対象とする科学的な手法である疫学の意義は30 年程で急速に高まった。オタワ大学のSpasoff は1999 年に、伝統的な疫学研究を「病因疫学(etiologic epidemiology)」、政策選択の根拠の提示や評価を目的とする領域を「政策疫学(policy epidemiology)」と名づけて対比し、後者の発展の必要性を唱えた。介入(予防・治療)の有効性のエビデンスとしては介入研究が重視されるが、各種データベースの発展により、観察研究の可能性が広がり、コホート研究による知見も増えている。臨床・政策課題は介入の有効性だけでなく、事象の頻度、リスク因子、経済評価など多岐に渡り、研究手法としては量的研究に加えて、質的研究や混合研究法も大きく発展している。講演では、これらのエビデンス創出、エビデンスに基づく意思決定の視点から、看護領域での取り組みへの期待を述べたい。
1991 年、臨床疫学者Guyatt による根拠に基づく医療(evidence-based medicine: EBM)の提案以降、保健医療の意思決定に疫学研究から得られたエビデンス(evidence)が重視されるようになり、その領域は臨床実践(evidence-based clinical practice : EBCP)から政策(evidence-based policy making: EBPM)へ拡大した。エビデンスに基づくアプローチと共に、人間集団を対象とする科学的な手法である疫学の意義は30 年程で急速に高まった。オタワ大学のSpasoff は1999 年に、伝統的な疫学研究を「病因疫学(etiologic epidemiology)」、政策選択の根拠の提示や評価を目的とする領域を「政策疫学(policy epidemiology)」と名づけて対比し、後者の発展の必要性を唱えた。介入(予防・治療)の有効性のエビデンスとしては介入研究が重視されるが、各種データベースの発展により、観察研究の可能性が広がり、コホート研究による知見も増えている。臨床・政策課題は介入の有効性だけでなく、事象の頻度、リスク因子、経済評価など多岐に渡り、研究手法としては量的研究に加えて、質的研究や混合研究法も大きく発展している。講演では、これらのエビデンス創出、エビデンスに基づく意思決定の視点から、看護領域での取り組みへの期待を述べたい。