第56回日本作業療法学会

Presentation information

シンポジウム

[A-11] シンポジウム1

Fri. Sep 16, 2022 2:40 PM - 4:10 PM 第1会場 (メインホール)

座長:馬塲 順子(群馬パース大学 リハビリテーション学部)

[F-8] シンポジウム1 自分らしい働きがいのある仕事のために

シンポジスト:清野 一博1, シンポジスト:若尾 勝己2, シンポジスト:鈴木 玲央3, シンポジスト:根本 歩実4, シンポジスト:根本 歩実5 (1.コミニショップLet‘s 代表, 2.特定非営利活動法人 東松山障害者就労支援センター 代表理事, 3.特定非営利活動法人 東松山障害者就労支援センター経営企画課 広報渉外担当)

障害を持つ方の就労支援施策は、共生社会の実現のための施策へと社会の意識が変化しつつある。持続可能な社会を創る作業療法がテーマの本学会で、本シンポジウムでは「自分らしい働きがいのある仕事のために」何ができるか、2組のシンポジストと参加者と共に考えていく。
【清野一博 氏】
視覚と四肢に重度重複の障害がある自分に、社会で何ができるか。職業訓練さえ不適格とされ、挑戦できる就労チャンスはゼロに等しい現実を目の当たりにし、腹は決まった。自ら起業することで就労に結びつける。独学に加え経験者に助言ももらい、作業療法士に勧められて使えるようになったパソコンで、リスクの少ないWebショップでの販売から始めてみることにした。20年仕事を続けられてきたのは、自ら起業した結果である。身体的にも精神的にもきつい時は自分がセーブすればよく、周囲に合わせる必要がないのは大きい。また、自宅営業なら通勤に体力を奪われることもなく、体力を仕事だけに傾けられることも大きかった。起業は与えられる仕事ではなく、自分が作り出す仕事である。今でも利益は十分とは言えないが、自分が作り出す楽しさと役に立てるやりがいが自分の仕事の原動力になっている。他に就労チャンスもなく、起業することで就労の場を得たのだが、結果的に見れば最善の選択肢だったのかもしれない。
【若尾勝己 氏】
私の最初の就労支援は、30数年前に入職した入所型障害者福祉施設で、施設を退所し地域社会で暮らすことを希望した1人の知的障害のある方との出会いだった。当時の就労・生活支援の制度施策は未整備で、とても困難な支援活動だったが、その経験で学んだ「無いものは自ら新たに創り出すこと」は、私が運営する法人理念、就労支援活動を通じて「誰1人取り残さない社会の創造を実現すること」に繋がっている。その理念の下、様々なご縁で障がいのある職員を採用してきたが、その1人1人にとって、どの様な働き方であれば自身の「働きがい」の創出や自尊心の向上に繋げられるか、また働きがいだけでなく、自身の働きが他の誰かのためになることの気づきと、さらに働き続けることの意義を見出してもらうために職場はどうあるべきか、常にそのあり様を探求してきた。これからの未来に向かい、障がいの有無に関係なく全ての職員の「働きがい」や「自尊心」を高められる組織であり続けることは、社会を変える一つの方法であると考えている。