第56回日本作業療法学会

講演情報

専門作業療法士セミナー

[B-10] 専門作業療法士セミナー1(がん)

2022年9月16日(金) 11:00 〜 12:00 第3会場 (Annex2)

座長:島﨑 寛将(社会福祉法人恩賜財団大阪府済生会富田林病院)

[G-1] 専門作業療法士セミナー1(がん):質の高い作業療法を進行がん患者に届けるためにマッピングを模索する~専門作業療法士の視点からがん作業療法のポイントを学ぶ~

三浦 裕幸1, 熊野 宏治2, 島崎 寛将3 (1.国立大学法人弘前大学医学部附属病院 医療技術部 リハビリテーション部門,2. パナソニック健康保険 松下記念病院 診療技術部 リハビリテーション療法室,3. 社会福祉法人恩賜財団大阪府済生会富田林病院)

 日本作業療法士協会は2017年,専門作業療法士の中に「がん分野」をリハビリテーション関連職種の中でもいち早く設置した.この目的は,がん医療において,すでに活動している専門医や専門・認定看護師,薬剤師等の専門医療チームに参加できる知識・技能をもつ専門作業療法士を育成することにある.専門作業療法士(がん分野)の認定数は,現在13名に留まっており,今後より多くの専門作業療法士を育成することが重要であるとともに,多職種協働のためには, 更なる専門性強化も課題である.
「がん」をリハビリテーションの主病名として捉え,疾患特性に配慮した「がんのリハビリテーション」が実践されるようになってからの歴史はまだ浅い.それまで,一部の医療機関でしか取り組まれていなかった「がんのリハビリテーション」は,2010年大きな転機を迎えた.医療保険の改訂により「がん患者リハビリテーション料」が新設されると,多くの医療機関が施設基準を取得するため研修会の受講へと大きく動き出した.それから10年以上の歳月を経て,現在では多くの医療機関が施設基準を取得.研修を修了した療法士の数も年々増加している.「がんのリハビリテーション」は,がん診療連携拠点病院のみならず,療養型病床を有する医療機関や高齢者施設,在宅医療の現場でも広く実践されるものとなってきた.そのため,特に頻度は少ないが,がん患者を担当するという療法士も今後益々増加することが予測される.そのような中,がん作業療法の質の担保は大きな課題である.
今回,「肺がん骨転移患者」「目標設定」をテーマに症例を提示し,各専門作業療法士の思考過程を見える化することでがん作業療法のポイントを探り,ポイントを病期・対象ごとに整理したマッピング制作の可能性を模索したい.専門作業療法士の経験値を共有することで,より多くの作業療法士の臨床に役立つとともに,対象者が質の高い作業療法を受ける機会につながることが期待される.
がん作業療法のポイントを探り,ポイントを病期・対象ごとに整理したマッピング制作の可能性を模索したい.