第56回日本作業療法学会

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企画セミナー

[C-2] 企画セミナー2 Review Circle on Rehabilitation for Dementia(RCRD)

Fri. Sep 16, 2022 5:00 PM - 6:00 PM 第4会場 (RoomA)

司会(コーディネーター):田中 寛之(大阪公立大学医学部リハビリテーション学科)

[G-13] 企画セミナー2:臨床と研究をつなぐ認知症作業療法 〜地域で実践し続けるための臨床と研究〜

講師:丸田 道雄1, 講師:横山 和樹2 (1.医療法人三州会大勝病院, 2.北海道公立大学法人 札幌医科大学保健医療学部作業療法学科)

 新オレンジプランにおいては, 認知症の人が住みなれた地域で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指している。その施策のもと, 作業療法士は地域での研究と臨床実践がますます求められているといえる。申請者らのグループであるReview Circle on Rehabilitation for Dementia(RCRD)に所属する臨床家・研究者らは, オレンジプランが策定される以前から地域における認知症作業療法に着目し, 作業療法士的観点から疫学調査やその結果に基づいたアプローチ方法を模索してきた。今回のセミナーにおいては, 本学会のテーマに沿うよう地域在住高齢者を対象とした大規模コホート研究結果, および地域に根ざして介入を続けてきた若年性認知症の人に対する就労と社会参加に関する臨床実践の知見について紹介したい。
 まず, 第一演者の丸田道雄氏においては, 大規模コホート研究(垂水研究)の結果と臨床への応用を中心に報告する。このコホート研究は, 作業療法における支援の主要な標的の1つである個人が生活の中で大切にしている作業(Meaningfulactivity)を評価の指標として取り入れた世界的にも数少ない貴重な研究である。具体的な内容として, 大切にしている作業の地域在住高齢者における特徴,認知機能や心理症状との関連,そして支援の方法について自身の知見を踏まえてセミナー内で報告する。次に第二演者の横山和樹氏においては, 若年性認知症を含む認知症の人の就労と社会参加の支援をテーマとして, 国内外における研究・臨床実践の動向を自身の知見と合わせて報告する。近年, 作業療法領域においても就労を継続・再獲得することの重要性は増している。このことは, 認知症の人においても同様である。セミナーでは, 認知症の症状が進行しても地域の中で就労の役割や大切にしている作業を継続できることの意義を示し, 作業療法の臨床を再考するための機会にしたい。
 これまでのRCRDのセミナーでは, 認知症の重症度別の作業療法などを扱い, 近年の国の施策と作業療法士協会の重点課題に沿うように企画してきた。今回は, 「持続可能な社会を創る作業療法」という本学会のテーマを鑑みて, ""地域で実践し続けることができる臨床と研究""の内容となるように企画している。本セミナーは, 地域だけでなく, 地域を見据えた病院・施設, 研究機関で働く全ての作業療法士にとっても重要な未来志向的なテーマであるといえる。