第56回日本作業療法学会

講演情報

専門作業療法士セミナー

[B-9] 専門作業療法士セミナー3(摂食嚥下)

2022年9月16日(金) 11:00 〜 12:00 第5会場 (RoomB)

座長:神作 一実(文京学院大学)

[G-3] 専門作業療法士セミナー3(摂食嚥下):栄養を考慮した作業療法士による食支援

太田 有美1, 青木 佑介2 (1.津山中央病院,2.鈴鹿中央総合病院)

【セミナー紹介】
 作業療法の対象領域が拡大している。それは栄養に関する分野である。背景には、対象者がより高齢化したことで、発症以前に低栄養やサルコペニアをきたしていることや、より発症早期からの介入機会が増えたことなどがある。
今回のセミナーでは、作業療法士が理解しておくべき基本的な栄養療法と、チームのなかで果たすべき役割についてお話ししたい。
〔セミナーの内容〕
◇専門作業療法士取得までの研修の流れ
 専門作業療法士取得研修の摂食嚥下分野の研修会の研修実践(専門基礎Ⅰ~Ⅳ、応用研修)の内容について紹介する。
◇食支援に関連するチーム医療のなかで、他職種から求められる役割
 質が高く安全なチーム医療を実現するには、各医療スタッフが高い専門性を持ち、効率的かつ緊密な連携が必要である。食支援に関する主なチームは、栄養サポートチーム(NST:nutrition support team)や摂食嚥下支援チームが挙げられる。これらのチーム内で作業療法士の果たす役割は大きいが、双方とも診療報酬における算定要件の職種に含まれず、必要に応じて参加する職種に留まる。今後我々が食支援における職種として必要とされるために、作業療法の特性の示し方を考えたい。
◇チーム医療における作業療法士の活動とその役割
 近年、NSTや摂食嚥下支援チーム、排尿ケアチームなど、様々な専門的なチームが発足し、作業療法士が配属されることが増えてきた。しかし、作業療法士養成校では栄養や内部障害(摂食嚥下障害、呼吸障害など)に関連した教育は十分に実施されていることは少なく、自己研鑽に頼らざるを得ず、「臨床でどのように関与し作業療法士の専門性を発揮していけるか」、と悩むことも多いのではないだろうか。食支援を行う上では、摂食嚥下や呼吸機能の理解だけでなく、栄養状態にも注意する必要がある。栄養やチーム医療に関わる知識の整理を行うとともに、臨床での事例を交え、チーム医療(NSTや嚥下チーム)における作業療法士の役割とその有効性について考える機会としたい。