第56回日本作業療法学会

講演情報

専門作業療法士セミナー

[B-7] 専門作業療法士セミナー5(手外科)

2022年9月16日(金) 11:00 〜 12:00 第7会場 (RoomD)

座長:池嶋 香(社会医療法人清恵会 清恵会病院 作業療法科)

[G-5] 専門作業療法士セミナー5(手外科):専門作業療法士(手外科)による養成教育・臨床・研究

野中 信宏1, 飯塚 照史2 (1.愛野記念病院 手外科センター,2.奈良学園大学保健医療学部)

 作業は手から生まれる.脳内で生成される思考・意図・意志は手で表現される.
歩行の多くは脊髄反射で制御される一方で,手は非常に高いレベルでの随意性を有する器官であり,精緻な作業を可能とする精巧な構造が存在する.これの破綻は思考・意図・意志を持った作業の困難性につながる.専門作業療法士(手外科)は,この破綻を正確に捉え,その原因系を正常に近づけるための知識と技術を豊富に持つ.そのため,手外科を専門とする医師からの信頼も厚い.
かつて,鎌倉は第40回日本作業療法学会(京都,2006)にて“揺るがないビジョンと永遠の探求心,そして自力本願と顧客主義(もしくは現場主義)をそなえた者こそが現代のプロフェショナルである“と説いた.専門作業療法士(手外科)は,徹底的な現場主義を信念とするプロフェッショナルである.
教育場面では実践場面における経過を示すことで治療の成否を明確に示し,作業療法との関連性について説く.実践における成否や対象者の変化は研究疑問の提案につながり,ここで生まれる器官としての手への興味は基礎研究へとつながる.
これを基とした次世代への提案は,この分野における発展へと資する.本講演では以上について,臨床家・教員の立場で具体例および考察を示す.