第56回日本作業療法学会

講演情報

専門作業療法士セミナー

[B-5] 専門作業療法士セミナー6(訪問作業療法)

2022年9月16日(金) 11:00 〜 12:00 第8会場 (RoomE)

[G-6] 専門作業療法士セミナー6(訪問作業療法):訪問作業療法の礎~備えておくべき気づき力と考え方~

宇田 薫1, 寺本 千秋2,松澤 良平3< (1.医療法人おもと会, 2.紀州リハビリケア訪問看護ステーション,3.I MS<イムス>グループ イムス板橋リハビリテーション病院)

 今年も、タイトルに「礎」を置いた。昨年度は訪問作業療法の基本的な考え方は先輩方から継承されていると紹介したが、今年度は、専門訪問療法士同士が訪問作業療法の現場実践を確認し合う中で、確信した「気づき力と考え方」についてお伝えする。まずは訪問作業療法士にとって最も大切となるであろう「気づき力」の6つを提示し、「礎」となる「考え方」については、複数の事例を用いて具体的に紹介していく。
 ここでお伝えする「気づき力」とは、言い換えると、「ある状態と現在の状態の違いを認知すること」である。例えば、今日は暑いと気づいた時は、昨日の気温(状態)と今日の気温(状態)に気づいていると言える。さらに「ある状態」を言い換えると「理想の状態」ともいえる。作業療法において、「理想の状態」は「利用者・家族の望む活動や参加」であり、現在の状態と違いに気づき、支援することは質の高いサービスになる。そのため、「気づき力」を身に付け、高めることは重要である。我々は「気づき力」により、紙媒体だけでなく利用者とのやり取りの中から情報を得、五感から変化を感じ、話し合いから解決策や問題点を見出し、提供すべき作業療法へと導かれているのだと考える。実際、みなさんの現場でも、そのような実践が行われているに違いない。
「考え方」を「礎」という形で、専門作業療法士による訪問作業療法実践から複数の事例を通して紹介する。これは今後、幾年たっても、訪問作業療法を提供する際の共通する考え方になるであろう。
 本セミナーでは、この「礎」を共有し、その礎により発展してきた訪問作業療法の視点・考え方を伝え、訪問作業療法のさらなる発展のため(発展しなければならない)に我々が必要とされること、介入すべき領域についてみなさんと意見を交わし、明日からのサービス提供に活かしていただきたいと考えている。