第56回日本作業療法学会

講演情報

専門作業療法士セミナー

[B-11] 専門作業療法士セミナー7(脳血管障害)

2022年9月17日(土) 09:00 〜 10:00 第1会場 (メインホール)

[G-7] 専門作業療法士セミナー7(脳血管障害):脳血管障害の作業療法

長谷川敬一1,東川 哲朗2,中里瑠美子3 (1.一般財団法人竹田健康財団 竹田綜合病院, 2.医療法人社団浅ノ川 金沢脳神経外科病院,3.東京女子医科大学附属足立医療センター)

2022年3月13日に審査試験が行われ、25名の専門作業療法士(脳血管障害)が誕生しました。本セミナーでは下記の3つのテーマで専門作業療法士3名からお話をさせていただきます。
まず「機能訓練と運動イメージ」と題し、中里が運動イメージについてお話します。
脳損傷では、頭頂葉に蓄積されている身体像の変質、下頭頂小葉における多種感覚モダリティ間の情報統合の変質、そして小脳を中心とした運動シミュレーションの不適正が生じます。その結果が麻痺や高次脳機能障害として観察できるので
すが、問題が上記のような脳システムの変質である以上そこを改変しなければなりません。ここでは、随意運動メカニズムとそこで重要な役割を果たしている運動イメージについて確認し、運動イメージの変質が目に見える麻痺とどうつながっ
ているのか、その構造を確認します。その上で、どの様にしてOT場面の訓練に取り入れていくことが可能なのか、具体的に提案してみたいと思います。
次に「急性期・回復期で考える活動と参加の視点」と題し、東川からお話します。厚労省からリハビリテーションに活動と参加の視点が求められています。また作業療法士が果たす役割が提示され、日常生活動作を中心に活動面への働きかけが示されています。活動と参加の視点は急性期を過ぎて回復期になってから考えるのでしょうか。生活期になってからでしょうか。どちらでもなく、急性期から常に意識して関わることが必要だと考えています。そうした実践のきっかけとなるよう、急性期に語られた作業が回復期転棟時に語られなくなった事例,急性期で語られた作業を行ないながら作業療法を実施した事例を提示します。また、近年増加している急性期から退院する軽症例に対する実践もお伝えしようと思います。
最後に「機能訓練と活動・参加への介入をつなぐMTDLPの活用」と題し、長谷川より脳血管障害の急性期・回復期でのMTDLP活用法についてお話します。急性期・回復期ではMTDLPは活用しにくいとの声がありますが、MTDLPと機能訓練は相反するものではありません。むしろ「その人にとって意味のある作業の実現のためには、基礎的な機能面の評価・計画・介入がとても重要です。急性期・回復期において、MTDLPを活用時につまづきやすい点への対応方法など、お伝えできればと思います。
本セミナーが脳血管障害の専門作業療法士を目指すきっかけとなっていただければ幸いです。