[OA-4-4] 口述発表:脳血管疾患等 4脳卒中後上肢痙性麻痺に対し選択的筋皮神経縮小術施行後,上肢用単関節HALと集中的作業療法を併用した症例
【はじめに】
当院では,脳卒中片麻痺患者に対する上肢用単関節hybrid assistive limb( HAL-SJ )を用いた臨床研究を報告してきた.また上肢痙縮に対し可逆的な治療法 ( ボツリヌス療法やバクロフェン髄腔内投与 )と不可逆的で局所の痙縮に対して適応となる末梢神経縮小術を施行している.末梢神経縮小術は,痙縮により過活動に陥った筋肉を支配する神経の太さを20-40%程度に縮小させる方法である.肘屈曲痙縮であれば, 筋皮神経の神経束を電気刺激により運動線維と感覚線維に区別し, 電気刺激で肘関節が屈曲する分岐の2/3〜3/4を凝固切除し有害な過度の痙縮を適度に緩和する.今回, 選択的筋皮神経縮小術施行後, HAL-SJと集中的作業療法の併用で上肢機能と上肢痙縮の改善を図った症例の治療効果を検討した.なお, 本報告に際しては対象者に書面上での同意を得た.
【事例紹介】
70歳代女性, 右利き, 診断名は右視床出血, 障害名は左片麻痺, 感覚は表在・深部覚共に正常, 今回,麻痺側上肢の選択的筋皮神経縮小術施行と上肢集中リハビリテーション目的にて入院となった.麻痺側上肢機能はFugl-Meyer assessment-upper limb (FMA-UE) 48/66, Action research arm test (ARAT) 53/57, Modified Ashworth score (MAS) 肘屈曲筋群2, Disability
assessment scale (DAS) 6, Motor activity Log -amount of use (MAL-AOU) 0.4, Quality of movement (MAL-QOM) 0.4, Canadian occupational performance measure (COPM) では“麻痺手で茶碗をしっかり持って食事ができるようになりたい”という要望が最も重要度の高い作業に選択され満足度0, 遂行度0であった.
【方法と経過】
入院期間は3週間, 評価日は術前時, HAL-SJと集中的作業療法終了時, 4ヶ月後フォローアップ時とした.介入時間は1セッション1時間,合計10セッションの介入を行った.介入内容は術後, HAL-SJと集中的作業療法を実施した.評価はFMA-UE, ARAT, MAS, DAS, MAL-AOU, MAL-QOM, COPMとした.介入前半はHAL-SJと課題指向型練習を中心に実施した.病棟生活では目標に向けた自主練習内容を可視化し麻痺手の使用を促した.介入後半はHAL後に目標動作も練習内容に追加し退院後の生活指導を実施した.
【結果】
選択的筋皮神経縮小術を施行後,HAL-SJと集中的作業療法を実施した結果( 術前時, HAL-SJと集中的作業療法終了時, 4ヶ月後フォローアップ時 ), 上肢機能評価のFMA (48,48,48) とARAT (53,55,54) はARATに改善を認めた.上肢痙縮評価のMAS (2,1,1) とDAS (6,3,3) は共に改善し,上肢屈曲筋群の痙縮は抑制された.MAL-AOU (0.4,1.4,1.3) とMAL-QOM (0.4,1.2,1.2) は共に改善し,麻痺手の使用頻度は生活場面で向上した.COPM: 満足度 (0,5,6) , 遂行度 (0,5,5) はリハビリテーション目標 (茶碗の把持操作) に改善を認めた.
【結論】
麻痺側上肢に対し選択的筋皮神経縮小術を施行後,HAL-SJと集中的作業療法の併用は治療後とフォローアップでも上肢痙縮を改善し, MALとCOPMを改善する可能性が示唆された.今後も症例集積を検討していき効果検証を図っていく必要性がある.
当院では,脳卒中片麻痺患者に対する上肢用単関節hybrid assistive limb( HAL-SJ )を用いた臨床研究を報告してきた.また上肢痙縮に対し可逆的な治療法 ( ボツリヌス療法やバクロフェン髄腔内投与 )と不可逆的で局所の痙縮に対して適応となる末梢神経縮小術を施行している.末梢神経縮小術は,痙縮により過活動に陥った筋肉を支配する神経の太さを20-40%程度に縮小させる方法である.肘屈曲痙縮であれば, 筋皮神経の神経束を電気刺激により運動線維と感覚線維に区別し, 電気刺激で肘関節が屈曲する分岐の2/3〜3/4を凝固切除し有害な過度の痙縮を適度に緩和する.今回, 選択的筋皮神経縮小術施行後, HAL-SJと集中的作業療法の併用で上肢機能と上肢痙縮の改善を図った症例の治療効果を検討した.なお, 本報告に際しては対象者に書面上での同意を得た.
【事例紹介】
70歳代女性, 右利き, 診断名は右視床出血, 障害名は左片麻痺, 感覚は表在・深部覚共に正常, 今回,麻痺側上肢の選択的筋皮神経縮小術施行と上肢集中リハビリテーション目的にて入院となった.麻痺側上肢機能はFugl-Meyer assessment-upper limb (FMA-UE) 48/66, Action research arm test (ARAT) 53/57, Modified Ashworth score (MAS) 肘屈曲筋群2, Disability
assessment scale (DAS) 6, Motor activity Log -amount of use (MAL-AOU) 0.4, Quality of movement (MAL-QOM) 0.4, Canadian occupational performance measure (COPM) では“麻痺手で茶碗をしっかり持って食事ができるようになりたい”という要望が最も重要度の高い作業に選択され満足度0, 遂行度0であった.
【方法と経過】
入院期間は3週間, 評価日は術前時, HAL-SJと集中的作業療法終了時, 4ヶ月後フォローアップ時とした.介入時間は1セッション1時間,合計10セッションの介入を行った.介入内容は術後, HAL-SJと集中的作業療法を実施した.評価はFMA-UE, ARAT, MAS, DAS, MAL-AOU, MAL-QOM, COPMとした.介入前半はHAL-SJと課題指向型練習を中心に実施した.病棟生活では目標に向けた自主練習内容を可視化し麻痺手の使用を促した.介入後半はHAL後に目標動作も練習内容に追加し退院後の生活指導を実施した.
【結果】
選択的筋皮神経縮小術を施行後,HAL-SJと集中的作業療法を実施した結果( 術前時, HAL-SJと集中的作業療法終了時, 4ヶ月後フォローアップ時 ), 上肢機能評価のFMA (48,48,48) とARAT (53,55,54) はARATに改善を認めた.上肢痙縮評価のMAS (2,1,1) とDAS (6,3,3) は共に改善し,上肢屈曲筋群の痙縮は抑制された.MAL-AOU (0.4,1.4,1.3) とMAL-QOM (0.4,1.2,1.2) は共に改善し,麻痺手の使用頻度は生活場面で向上した.COPM: 満足度 (0,5,6) , 遂行度 (0,5,5) はリハビリテーション目標 (茶碗の把持操作) に改善を認めた.
【結論】
麻痺側上肢に対し選択的筋皮神経縮小術を施行後,HAL-SJと集中的作業療法の併用は治療後とフォローアップでも上肢痙縮を改善し, MALとCOPMを改善する可能性が示唆された.今後も症例集積を検討していき効果検証を図っていく必要性がある.