[OI-4-2] 口述発表:発達障害 43~12歳児における食行動と月齢および感覚特性の関連
【はじめに】厚生労働省の乳幼児栄養調査によると約8割の保護者が子どもの食事について何らかの困りごとを抱えている.また,作業療法士は発達に関する診断の有無に関わらず保護者,保育園・幼稚園・学校等の先生から子どもたちの食行動について相談を受ける.偏食等の食行動と感覚特性に関連があることは様々な報告がなされているが,偏食以外の食行動も含め月齢や感覚特性との関連を検討する必要がある.そこで本研究では3~12歳児における食行動と月齢および感覚特性について調査し関連を検討した.本研究は倫理審査委員会の承認を得て実施し対象者に書面にて同意を得た.
【方法】対象:3~12歳児について保護者に回答を求めた.方法:児童発達支援センター,保育園,幼稚園等を通じてポスターにて研究協力者を募集し,研究協力への同意が得られた保護者に調査票を郵送した.調査票は基本情報,食行動質問紙(ASD-MBQ),感覚プロファイルであった.基本情報は年齢,性別,発達に関する診断の有無などの質問が含まれていた.食行動質問紙は「偏食」「不器用・マナー」「食への関心・集中」「口腔機能」「過食」の5領域42項目で構成され,問題となる食行動の頻度について「1ない」~「5いつも」の5件法で回答する.感覚プロファイルは「聴覚」「視覚」「前庭覚」「触覚」「複合感覚」「口腔感覚」等について「1ない」~「5いつも」の5件法で回答する.調査期間は2020年9月~2021年12月であった.分析:発達に関する診断または療育を受けている児(以下,発達群),定型発達児(以下,定型群)に分け分析を行った.Shapiro-Wilk検定にて正規性を確認後,食行動質問紙得点と月齢,感覚プロファイル得点の相関分析(Spearman順位相関係数,有意水準p<.05)を行い,相関の強さの判定にはギルフォードの基準を用いた.解析ソフトはIBMSPSSver.25を用いた.
【結果】176名から回答を得た.発達群70名(男児51名,女児19名,自閉スペクトラム症40名,知的障害12名,注意欠如多動症10名,発達遅延9名,その他24名,平均月齢82.6±24.6),定型群106名(男児52名,女児54名,平均月齢67.6±22.8)であった.両群で男女比および月齢に有意差を認めた.食行動との相関について①月齢:発達群は不器用・マナー(r=-.404,p=.001)のみ相関を認めた.定型群は不器用・マナー(r=-.728,p<.001),総点(r=-.533,p<.001),食への関心・集中(r=-.310,p=.001),偏食(r=-.217,p=.025)と相関を認めた.②感覚:両群ともに弱い~中等度の相関を認めた項目が複数あった.ここでは中等度の相関について述べる.総点では発達群は口腔感覚(r=.628,p<.001),触覚(r=.593,p<.001),前庭覚(r=.486,p<.001),定型群は複合感覚(r=.453,p<.001)と相関を認めた.また,下位項目では発達群は偏食と口腔感覚(r=.586,p<.001),不器用・マナーと前庭覚(r=.417,p<.001),食への関心・集中と聴覚(r=.432,p<.001),口腔機能と触覚(r=.402,p<.001),定型群は食への関心・集中と聴覚(r=.510,p<.001),複合感覚(r=.552,p<.001)で相関を認めた.
【考察】月齢と共に問題が軽減する項目について,発達群では「不器用・マナー」のみであったが,定型群では「不器用・マナー」「偏食」「食への関心・集中」「全項目の総点」であった.すなわち,定型群では月齢が上がれば問題が軽減するが,発達群では月齢が上がっても問題が持続する可能性を示している.食行動と感覚特性について,両群ともに「食への関心・集中」と「聴覚」の関連を認めたが,その他の項目では異なる結果となっている.発達群に特異な支援と両群に共通した支援が提案できる可能性がある.今後も調査を継続し検討していく.
【方法】対象:3~12歳児について保護者に回答を求めた.方法:児童発達支援センター,保育園,幼稚園等を通じてポスターにて研究協力者を募集し,研究協力への同意が得られた保護者に調査票を郵送した.調査票は基本情報,食行動質問紙(ASD-MBQ),感覚プロファイルであった.基本情報は年齢,性別,発達に関する診断の有無などの質問が含まれていた.食行動質問紙は「偏食」「不器用・マナー」「食への関心・集中」「口腔機能」「過食」の5領域42項目で構成され,問題となる食行動の頻度について「1ない」~「5いつも」の5件法で回答する.感覚プロファイルは「聴覚」「視覚」「前庭覚」「触覚」「複合感覚」「口腔感覚」等について「1ない」~「5いつも」の5件法で回答する.調査期間は2020年9月~2021年12月であった.分析:発達に関する診断または療育を受けている児(以下,発達群),定型発達児(以下,定型群)に分け分析を行った.Shapiro-Wilk検定にて正規性を確認後,食行動質問紙得点と月齢,感覚プロファイル得点の相関分析(Spearman順位相関係数,有意水準p<.05)を行い,相関の強さの判定にはギルフォードの基準を用いた.解析ソフトはIBMSPSSver.25を用いた.
【結果】176名から回答を得た.発達群70名(男児51名,女児19名,自閉スペクトラム症40名,知的障害12名,注意欠如多動症10名,発達遅延9名,その他24名,平均月齢82.6±24.6),定型群106名(男児52名,女児54名,平均月齢67.6±22.8)であった.両群で男女比および月齢に有意差を認めた.食行動との相関について①月齢:発達群は不器用・マナー(r=-.404,p=.001)のみ相関を認めた.定型群は不器用・マナー(r=-.728,p<.001),総点(r=-.533,p<.001),食への関心・集中(r=-.310,p=.001),偏食(r=-.217,p=.025)と相関を認めた.②感覚:両群ともに弱い~中等度の相関を認めた項目が複数あった.ここでは中等度の相関について述べる.総点では発達群は口腔感覚(r=.628,p<.001),触覚(r=.593,p<.001),前庭覚(r=.486,p<.001),定型群は複合感覚(r=.453,p<.001)と相関を認めた.また,下位項目では発達群は偏食と口腔感覚(r=.586,p<.001),不器用・マナーと前庭覚(r=.417,p<.001),食への関心・集中と聴覚(r=.432,p<.001),口腔機能と触覚(r=.402,p<.001),定型群は食への関心・集中と聴覚(r=.510,p<.001),複合感覚(r=.552,p<.001)で相関を認めた.
【考察】月齢と共に問題が軽減する項目について,発達群では「不器用・マナー」のみであったが,定型群では「不器用・マナー」「偏食」「食への関心・集中」「全項目の総点」であった.すなわち,定型群では月齢が上がれば問題が軽減するが,発達群では月齢が上がっても問題が持続する可能性を示している.食行動と感覚特性について,両群ともに「食への関心・集中」と「聴覚」の関連を認めたが,その他の項目では異なる結果となっている.発達群に特異な支援と両群に共通した支援が提案できる可能性がある.今後も調査を継続し検討していく.