[OK-2-1] 口述発表:認知障害(高次脳機能障害を含む) 2右半球損傷患者における着衣障害とUSNの関連性について
【はじめに】
臨床で広く活用されているBehavioural Inattention Test(BIT)とCatherine bergego scale(CBS)と上衣着衣評価を行い,右半球損傷患者が難渋する着衣障害とUSNの関連性を検討する.本研究は,九州栄養福祉大学倫理委員会の承認を受け,対象者に対し口頭ならび文章にて説明を行い同意を得た.
【方法】
対象は,2020年11月から2021年11月の期間に,2病院の回復期病棟に入院した右半球損傷でUSN症状を呈した17名(平均年齢62.9±13.6 歳,発症後日数71.0±48.6日)である. USNの評価は,BIT通常検査,CBS観察評価,@ATTENTIONの能動課題選択数(以下,能動課題),受動課題選択数(以下,受動課題),視野計測定位数(以下,視線課題)である.上衣着衣の評価は,9項目3段階評価で構成されるFunctional Dressing Assessment(FDA)を実施し各項目の点数と合計点を算出した.その他の認知機能との関連性を確認するためにMMSE,コース立方体組み合わせテスト(コースIQ),Trail Making Test日本版 partA(TMT-JA)を,麻痺の影響を確認するためにBrunnstrom Recovery Stage(BRS)を実施した.これらの項目についてPearsonの相関分析を行い有意水準は5%とした.
【結果】
BITは,背中から衣服を回す,対側肩にかける以外の全ての項目,CBSは,対側肩にかける以外の全ての項目と正の相関を認めた.@ATTENTIONの能動課題と受動課題はともに,袖の選択,対側手を通すと正の相関を認め,能動課題ではさらにボタンの操作と正の相関を認めた.視線課題は,手を入れる,手を通すに正の相関を認めた.コースI.Q.は,肩にかける,背中から衣服を回す,対側手を通す,対側肩にかけると正の相関を認め,TMT-JAは,手を入れる,手を通す,肘まで上げる,ボタンの操作と負の相関を認めた.上肢手指BRSは,手を入れる,手を通す,肘まで上げる,肩にかける,ボタンの操作と正の相関を認めた.
【考察】
FDAの合計点は,BIT,CBS,能動課題と相関を認め,右半球損傷における着衣障害はUSNとの関連性が高いことが示された.FDAの各動作工程では,BITは,背中から衣服を回す,対側肩にかける以外の全ての項目,CBSは,対側肩にかける以外の全ての項目で相関を認め,着衣動作の各工程においてもUSNの影響が強いといえるが,対側肩にかける項目はUSNの影響が少ないと考えられる.@ATTENTIONの能動課題と受動課題はともに,袖の選択や対側の手を通すと相関を認めたが,視線課題は,麻痺側の手を入れる,手を通すと相関を認めた.@ATTENTIONの各検査は,着衣と関連する項目が異なっており,右半球損傷患者が最も難渋する麻痺側の手を入れる,手を通すは,視覚的定位が重要であることが示された.
認知機能評価であるコースI.Q.とTMT-JAは更衣の全く異なる項目において相関を認め,全般的な知的機能や注意機能が影響する項目が明確になったと考える.麻痺側の手を入れる,手を通す,肘まで上げる,ボタンの操作は,USNに加え,注意機能との関連が示された.上肢手の運動機能は,麻痺側の手を入れ,肩までかける,そしてボタンの操作と相関を認めた.これらは,麻痺側の操作や本来両手で行う動作であり,運動機能の影響が強いと考えられる.
右半球損傷における着衣障害は,全体,各項目ともにUSNの影響が強く,また全般的な知的機能や注意機能,運動機能と関連しているが,各工程に影響する機能障害は異なることが示された.
臨床で広く活用されているBehavioural Inattention Test(BIT)とCatherine bergego scale(CBS)と上衣着衣評価を行い,右半球損傷患者が難渋する着衣障害とUSNの関連性を検討する.本研究は,九州栄養福祉大学倫理委員会の承認を受け,対象者に対し口頭ならび文章にて説明を行い同意を得た.
【方法】
対象は,2020年11月から2021年11月の期間に,2病院の回復期病棟に入院した右半球損傷でUSN症状を呈した17名(平均年齢62.9±13.6 歳,発症後日数71.0±48.6日)である. USNの評価は,BIT通常検査,CBS観察評価,@ATTENTIONの能動課題選択数(以下,能動課題),受動課題選択数(以下,受動課題),視野計測定位数(以下,視線課題)である.上衣着衣の評価は,9項目3段階評価で構成されるFunctional Dressing Assessment(FDA)を実施し各項目の点数と合計点を算出した.その他の認知機能との関連性を確認するためにMMSE,コース立方体組み合わせテスト(コースIQ),Trail Making Test日本版 partA(TMT-JA)を,麻痺の影響を確認するためにBrunnstrom Recovery Stage(BRS)を実施した.これらの項目についてPearsonの相関分析を行い有意水準は5%とした.
【結果】
BITは,背中から衣服を回す,対側肩にかける以外の全ての項目,CBSは,対側肩にかける以外の全ての項目と正の相関を認めた.@ATTENTIONの能動課題と受動課題はともに,袖の選択,対側手を通すと正の相関を認め,能動課題ではさらにボタンの操作と正の相関を認めた.視線課題は,手を入れる,手を通すに正の相関を認めた.コースI.Q.は,肩にかける,背中から衣服を回す,対側手を通す,対側肩にかけると正の相関を認め,TMT-JAは,手を入れる,手を通す,肘まで上げる,ボタンの操作と負の相関を認めた.上肢手指BRSは,手を入れる,手を通す,肘まで上げる,肩にかける,ボタンの操作と正の相関を認めた.
【考察】
FDAの合計点は,BIT,CBS,能動課題と相関を認め,右半球損傷における着衣障害はUSNとの関連性が高いことが示された.FDAの各動作工程では,BITは,背中から衣服を回す,対側肩にかける以外の全ての項目,CBSは,対側肩にかける以外の全ての項目で相関を認め,着衣動作の各工程においてもUSNの影響が強いといえるが,対側肩にかける項目はUSNの影響が少ないと考えられる.@ATTENTIONの能動課題と受動課題はともに,袖の選択や対側の手を通すと相関を認めたが,視線課題は,麻痺側の手を入れる,手を通すと相関を認めた.@ATTENTIONの各検査は,着衣と関連する項目が異なっており,右半球損傷患者が最も難渋する麻痺側の手を入れる,手を通すは,視覚的定位が重要であることが示された.
認知機能評価であるコースI.Q.とTMT-JAは更衣の全く異なる項目において相関を認め,全般的な知的機能や注意機能が影響する項目が明確になったと考える.麻痺側の手を入れる,手を通す,肘まで上げる,ボタンの操作は,USNに加え,注意機能との関連が示された.上肢手の運動機能は,麻痺側の手を入れ,肩までかける,そしてボタンの操作と相関を認めた.これらは,麻痺側の操作や本来両手で行う動作であり,運動機能の影響が強いと考えられる.
右半球損傷における着衣障害は,全体,各項目ともにUSNの影響が強く,また全般的な知的機能や注意機能,運動機能と関連しているが,各工程に影響する機能障害は異なることが示された.