[ON-2-2] 口述発表:地域 2他職種協働プロジェクト「まちリハ」による社会的包摂を目指した地域づくりへの取り組み
【はじめに】
地域リハビリテーション(以下,地域リハ)は,障害や高齢などにより困難を有する人々に対し,地域社会への参加と参画を支援し,社会の構成員として包み込む「社会的包摂」を理念としている.東京都大田区千束地域(以下,千束地域)では,平成27年に医療と介護の連携会「千束地域包括ケアの会」(以下,ケア会)を発足し,毎回地域課題についてグループ討議を行い多職種のネットワークづくりを進めてきた.さらに,令和元年からは,地域リハの理念である社会的包摂を実現するまちづくりを目指すべく,多職種協働プロジェクト「まちリハ」を立ち上げた.この「まちリハ」は,作業療法士,理学療法士,看護師,介護支援専門員,行政職員などにより構成された実行委員会(以下,委員会)がケア会や地域内の活動の企画・運営を担っている.今回は,ケア会での結果を基に抽出した地域課題に対し行った地域プロジェクトにより得られた経験を報告する.なお,本報告に関する内容は倫理的配慮のもと参加者の同意を得て実施した.
【方法】
千束地域の医療・介護関連職種,行政職員,民生委員,地域住民代表者を参加者としたケア会を実施した.なお,本会は地域ケア会議に位置付けられている.ケア会は,前半に作業療法士を始めとした専門職によるコロナ禍のフレイル予防に関する講義を実施し,後半に前半の内容を基に明日からできることをテーマとしたグループ討議を行った.グループ討議であがった案と課題を委員会で検討し,地域で行えるフレイル啓発企画を立案した.企画は令和3年10月1日~11月30日の2か月間で実施した.啓発用のチラシとポスターは行政が作成したものを使用し,終了後に結果を委員会で共有した.
【結果】
ケア会にはリハビリテーション専門職11名,医師2名,看護師2名,介護支援専門員11名,医療相談員5名,薬剤師18名,行政職員9名,民生委員2名,まちづくり協議会委員2名の計62名が参加した.グループ討議では,できることとして合計39案あがった.内訳はフレイル啓発が20案,高齢者のICT利活用促進が4案,新たな場づくりが8案,連携が7案であった.また,課題としては20題あがった.内訳は,情報アクセスが4題,場所が5題,高齢者のフレイルリスクが9題,活動の習慣化が2題であった.委員会では,多数あがったフレイル啓発に関する案と情報アクセス・高齢者のフレイルリスクに関する課題に注目し,ケア会で参加者が多く,フレイルリスクのある高齢者も通う可能性の高い薬局でのフレイル啓発企画を発案した.企画には8か所の薬局が参加した.チラシの配布は8か所全てが行い,うち5か所はポスター掲示も併せて行った.配布したチラシの総数は220部であった.フレイルリスクのある住民にチラシを利用して話しかけ説明が出来たという成果があった.一方,通いの場などの社会資源の情報不足,勧めた内容が実施されたかが不明という課題があがった.
【考察】
今回のケア会では,千束地域の医療・介護関連職種と住民との討議により,フレイル予防に関する新たな地域課題が抽出できた.また,その課題に対して啓発企画を行うことで,多職種の連携強化と情報発信や相談場所の増加につながった.これらは地域ケア会議の機能にある「地域課題発見」と「地域づくり・資源開発」に当てはまると考える.このケア会に,作業療法士として参画し,他職種や住民と協働しつつ地域住民の健康づくりに寄与することは,地域包括ケアシステムの中に地域リハの理念である社会的包摂を組み込んだ地域づくりをする上で重要であると考える.
地域リハビリテーション(以下,地域リハ)は,障害や高齢などにより困難を有する人々に対し,地域社会への参加と参画を支援し,社会の構成員として包み込む「社会的包摂」を理念としている.東京都大田区千束地域(以下,千束地域)では,平成27年に医療と介護の連携会「千束地域包括ケアの会」(以下,ケア会)を発足し,毎回地域課題についてグループ討議を行い多職種のネットワークづくりを進めてきた.さらに,令和元年からは,地域リハの理念である社会的包摂を実現するまちづくりを目指すべく,多職種協働プロジェクト「まちリハ」を立ち上げた.この「まちリハ」は,作業療法士,理学療法士,看護師,介護支援専門員,行政職員などにより構成された実行委員会(以下,委員会)がケア会や地域内の活動の企画・運営を担っている.今回は,ケア会での結果を基に抽出した地域課題に対し行った地域プロジェクトにより得られた経験を報告する.なお,本報告に関する内容は倫理的配慮のもと参加者の同意を得て実施した.
【方法】
千束地域の医療・介護関連職種,行政職員,民生委員,地域住民代表者を参加者としたケア会を実施した.なお,本会は地域ケア会議に位置付けられている.ケア会は,前半に作業療法士を始めとした専門職によるコロナ禍のフレイル予防に関する講義を実施し,後半に前半の内容を基に明日からできることをテーマとしたグループ討議を行った.グループ討議であがった案と課題を委員会で検討し,地域で行えるフレイル啓発企画を立案した.企画は令和3年10月1日~11月30日の2か月間で実施した.啓発用のチラシとポスターは行政が作成したものを使用し,終了後に結果を委員会で共有した.
【結果】
ケア会にはリハビリテーション専門職11名,医師2名,看護師2名,介護支援専門員11名,医療相談員5名,薬剤師18名,行政職員9名,民生委員2名,まちづくり協議会委員2名の計62名が参加した.グループ討議では,できることとして合計39案あがった.内訳はフレイル啓発が20案,高齢者のICT利活用促進が4案,新たな場づくりが8案,連携が7案であった.また,課題としては20題あがった.内訳は,情報アクセスが4題,場所が5題,高齢者のフレイルリスクが9題,活動の習慣化が2題であった.委員会では,多数あがったフレイル啓発に関する案と情報アクセス・高齢者のフレイルリスクに関する課題に注目し,ケア会で参加者が多く,フレイルリスクのある高齢者も通う可能性の高い薬局でのフレイル啓発企画を発案した.企画には8か所の薬局が参加した.チラシの配布は8か所全てが行い,うち5か所はポスター掲示も併せて行った.配布したチラシの総数は220部であった.フレイルリスクのある住民にチラシを利用して話しかけ説明が出来たという成果があった.一方,通いの場などの社会資源の情報不足,勧めた内容が実施されたかが不明という課題があがった.
【考察】
今回のケア会では,千束地域の医療・介護関連職種と住民との討議により,フレイル予防に関する新たな地域課題が抽出できた.また,その課題に対して啓発企画を行うことで,多職種の連携強化と情報発信や相談場所の増加につながった.これらは地域ケア会議の機能にある「地域課題発見」と「地域づくり・資源開発」に当てはまると考える.このケア会に,作業療法士として参画し,他職種や住民と協働しつつ地域住民の健康づくりに寄与することは,地域包括ケアシステムの中に地域リハの理念である社会的包摂を組み込んだ地域づくりをする上で重要であると考える.