[ON-4-5] 口述発表:地域 4訪問リエイブルメント!
~多職種協働で目指す利用者のありたい姿~
【はじめに】リエイブルメントは再び自分でできるようにするという意味であり,近年海外で盛んに取り入れられている考え方である.山口県防府市(以下,市)では,2021年1月よりリエイブルメントをキーワードとして短期集中予防型通所サービスを開始した.一方で訪問型サービスについても検討をしている.今回,新しく訪問型リエイブルメントとして事業を設計した経緯と,地域包括支援センター担当者(以下,包括担当者),ヘルパー,リハ職が協働で介入した事例について報告する.今回の発表に対し,利用者と関係者及び市の同意を得ている.
【実施までの経緯】訪問型サービスについての検討は2020年9月より,市とリハビリテーション専門職(以下,リハ職),事業所等で構成された短期集中予防型サービス検討委員会(以下,検討委員会)にて始まった.そこで,地域リハビリテーション活動支援事業を利用し,リハ職による初回と3か月後の2回の訪問,及び週1回のヘルパーによるプログラム遂行によって実施される訪問型リエイブルメントが考案された.その後,モデル実施に先立ち地域包括支援センター職員やリハ職,参入事業所のヘルパーに対して,市や作業療法士による事業説明とリエイブルメントに関する研修会を行っている.また,対象者は包括担当者により選定される.
【事例情報】70代女性,自宅敷地内の畑で転倒し,左大腿骨頸部骨折,左橈骨遠位端骨折を受傷した.股関節は左人工骨頭置換術,手関節は保存的加療を行う.その後転院するが,本人希望で早期退院される.退院時,杖歩行は可能であった.短期集中予防型通所サービスを勧めるが通所は拒否され,期間限定でヘルパーを利用してみることとなった.
【初回リハ職訪問】退院1週間後にリハ職と包括担当者の初回訪問を行った.左上下肢筋力低下や左手関節の関節可動域制限があるが,杖歩行や伝い歩きにて屋内ADLは自立,家事は調理可能だが掃除は困難な状態であった.本人の希望は,「掃除機で掃除をしたい」,「250m先の郵便局に行きたい」が挙がり,週1回ヘルパーが訪問して調理や掃除を一緒に行うこと,3か月後には「自分だけで家事ができるようになる」,「郵便局に歩いて行けるようになる」という合意形成を行い訪問は終了した.尚,自主プログラムについては大腿四頭筋の筋力強化,近隣の散歩,またモップ掃除を利用すれば左手の可動域練習になると助言した.ヘルパーにはプログラムや生活の状況を確認してもらうよう包括担当者より伝えた.
【3か月後リハ職訪問】3ヶ月後,ヘルパー支援終了前にリハ職,包括担当者がヘルパー利用時間に合わせて訪問した.包括担当者が記録表を作成し,本人が記載,その内容をヘルパーが確認するポジティブフィードバックの仕組みが作られていた.目標だった一人で家事を行うことや,郵便局に行くことは達成しており,さらに遠くのドラッグストアに行くこともできていた.畑仕事も再開しており,本人より「もう一人でもできます」と予定通りヘルパーは終了となった.また,支援に入ったヘルパーからも「一緒にできて楽しかった,私も元気をもらった」という発言が聞けたことが印象的だった.
【考察】リエイブルメントを進める上で重要なのは,本人を含む全ての関係者の規範的統合が図られていることであると考える.今回の訪問型リエイブルメントモデル事業においても利用者のありたい姿を目指すという規範的統合のもと,本人と各々の職種が役割を果たした結果,リエイブルメントを実現することができた.そして,リエイブルメント事業においてリハ職は事業形成時に先導者として,事業展開時に補完者として多面的な役割を期待されており,その中でも作業療法士が強みを活かしていくべきものと考える.
【実施までの経緯】訪問型サービスについての検討は2020年9月より,市とリハビリテーション専門職(以下,リハ職),事業所等で構成された短期集中予防型サービス検討委員会(以下,検討委員会)にて始まった.そこで,地域リハビリテーション活動支援事業を利用し,リハ職による初回と3か月後の2回の訪問,及び週1回のヘルパーによるプログラム遂行によって実施される訪問型リエイブルメントが考案された.その後,モデル実施に先立ち地域包括支援センター職員やリハ職,参入事業所のヘルパーに対して,市や作業療法士による事業説明とリエイブルメントに関する研修会を行っている.また,対象者は包括担当者により選定される.
【事例情報】70代女性,自宅敷地内の畑で転倒し,左大腿骨頸部骨折,左橈骨遠位端骨折を受傷した.股関節は左人工骨頭置換術,手関節は保存的加療を行う.その後転院するが,本人希望で早期退院される.退院時,杖歩行は可能であった.短期集中予防型通所サービスを勧めるが通所は拒否され,期間限定でヘルパーを利用してみることとなった.
【初回リハ職訪問】退院1週間後にリハ職と包括担当者の初回訪問を行った.左上下肢筋力低下や左手関節の関節可動域制限があるが,杖歩行や伝い歩きにて屋内ADLは自立,家事は調理可能だが掃除は困難な状態であった.本人の希望は,「掃除機で掃除をしたい」,「250m先の郵便局に行きたい」が挙がり,週1回ヘルパーが訪問して調理や掃除を一緒に行うこと,3か月後には「自分だけで家事ができるようになる」,「郵便局に歩いて行けるようになる」という合意形成を行い訪問は終了した.尚,自主プログラムについては大腿四頭筋の筋力強化,近隣の散歩,またモップ掃除を利用すれば左手の可動域練習になると助言した.ヘルパーにはプログラムや生活の状況を確認してもらうよう包括担当者より伝えた.
【3か月後リハ職訪問】3ヶ月後,ヘルパー支援終了前にリハ職,包括担当者がヘルパー利用時間に合わせて訪問した.包括担当者が記録表を作成し,本人が記載,その内容をヘルパーが確認するポジティブフィードバックの仕組みが作られていた.目標だった一人で家事を行うことや,郵便局に行くことは達成しており,さらに遠くのドラッグストアに行くこともできていた.畑仕事も再開しており,本人より「もう一人でもできます」と予定通りヘルパーは終了となった.また,支援に入ったヘルパーからも「一緒にできて楽しかった,私も元気をもらった」という発言が聞けたことが印象的だった.
【考察】リエイブルメントを進める上で重要なのは,本人を含む全ての関係者の規範的統合が図られていることであると考える.今回の訪問型リエイブルメントモデル事業においても利用者のありたい姿を目指すという規範的統合のもと,本人と各々の職種が役割を果たした結果,リエイブルメントを実現することができた.そして,リエイブルメント事業においてリハ職は事業形成時に先導者として,事業展開時に補完者として多面的な役割を期待されており,その中でも作業療法士が強みを活かしていくべきものと考える.