[ON-9-5] 口述発表:地域 9COVID-19流行下におけるオンラインによる国際協力の可能性の検討
~ミャンマーへの継続的支援の経験から~
【はじめに】
2020年に世界的拡大を見せたCOVID-19の流行は,2021年になっても収束せず,我々の生活のあらゆる側面に大きな影響を与え続けている.国際協力の分野では,NGO職員やJICA海外協力隊など現地駐在の派遣が再開されているものの,防疫の観点による海外渡航の制限は依然として続いている.このため,この分野での活動は2019年以前と比較すると,著しく停滞していると言わざるを得ない.一方,このような社会環境下にあって急速に普及したオンライン会議システムは,一般的なビジネスの分野だけでなく,国際協力の分野においても必須なツールの一つになった.昨年度の本学会において,筆者はオンライン会議システムを使った複数国における国際協力活動の萌芽的経験を報告した.今回はミャンマーを対象として継続的にオンライン会議システムによる国際協力活動を実施することで,その可能性を検討する機会を得たのでここに報告する.
【目的】
本報告の目的は,オンライン会議システムを使った国際協力活動の継続的実施を振り返ることで,その活用可能性を検討することである.
【方法】
本研究では,2021年7月~11月の期間,特定非営利活動法人 難民を助ける会[AAR Japan]が実施したオンライン国際協力活動を研究対象とした.活動はミャンマーを対象に計3回実施され,そのすべてに筆者は外部専門家として参加した.分析に当たっては,筆者が作成した研修資料や実施報告書を情報源とし,それらの活動の外形的な特徴の分類・整理を行った.なお,本研究は文献研究であり,また,個人情報や著作権に配慮を要する資料は対象に含んでいない.
【結果】
今回分析対象とした3回の国際協力活動はいずれも,オンライン会議システムとしてZoomを使用した.また,それぞれの実施状況は時系列順に以下の通りであった.
・第1回:7月8日開催:ミャンマー人現地職員が「現行事業進捗報告」「異なる障害を持つ児童を対象とした活動の進め方」「障害児を地域で支えるグループメンバーの能力強化について」という3つのテーマで発表を行い,その内容に基づいて外部専門家である著者も含めて検討・議論を行った.
・第2回:9月8日開催:ミャンマー人現地職員による「現行事業進捗報告」「オンラインでの地域活動実施の検討」という2つの発表ののち,著者も含めて検討・議論を行った.また,googlejamboardを使用した事例検討を実施した.
・第3回 11月11日開催:ミャンマー人現地職員が「コミュニティボランティアのエンパワメント研修の実施方法」「特別支援教育活動の進め方」という2つのテーマで,また,筆者が「個別指導計画の紹介」というテーマで発表を行ったのち,それぞれ議論と検討を実施した.
【考察】
今回の経験から,COVID-19パンデミックと政情不安という複合的困難下であっても,オンラインでの国際協力活動が一定程度実現可能であると確認された.また全3回を通じた現地職員の発表テーマの変遷を見ると,内容が徐々に具体化していることが分かる.これは,継続的なオンライン活動の経験を通して,参加者自身がオンライン会議システムをツールとした企画を主体的に立案できる可能性を示唆するものと考えられる.次のステップとして,参加者主体の企画を具現化するために必要な支援・協力の提供に取り組みたい.
2020年に世界的拡大を見せたCOVID-19の流行は,2021年になっても収束せず,我々の生活のあらゆる側面に大きな影響を与え続けている.国際協力の分野では,NGO職員やJICA海外協力隊など現地駐在の派遣が再開されているものの,防疫の観点による海外渡航の制限は依然として続いている.このため,この分野での活動は2019年以前と比較すると,著しく停滞していると言わざるを得ない.一方,このような社会環境下にあって急速に普及したオンライン会議システムは,一般的なビジネスの分野だけでなく,国際協力の分野においても必須なツールの一つになった.昨年度の本学会において,筆者はオンライン会議システムを使った複数国における国際協力活動の萌芽的経験を報告した.今回はミャンマーを対象として継続的にオンライン会議システムによる国際協力活動を実施することで,その可能性を検討する機会を得たのでここに報告する.
【目的】
本報告の目的は,オンライン会議システムを使った国際協力活動の継続的実施を振り返ることで,その活用可能性を検討することである.
【方法】
本研究では,2021年7月~11月の期間,特定非営利活動法人 難民を助ける会[AAR Japan]が実施したオンライン国際協力活動を研究対象とした.活動はミャンマーを対象に計3回実施され,そのすべてに筆者は外部専門家として参加した.分析に当たっては,筆者が作成した研修資料や実施報告書を情報源とし,それらの活動の外形的な特徴の分類・整理を行った.なお,本研究は文献研究であり,また,個人情報や著作権に配慮を要する資料は対象に含んでいない.
【結果】
今回分析対象とした3回の国際協力活動はいずれも,オンライン会議システムとしてZoomを使用した.また,それぞれの実施状況は時系列順に以下の通りであった.
・第1回:7月8日開催:ミャンマー人現地職員が「現行事業進捗報告」「異なる障害を持つ児童を対象とした活動の進め方」「障害児を地域で支えるグループメンバーの能力強化について」という3つのテーマで発表を行い,その内容に基づいて外部専門家である著者も含めて検討・議論を行った.
・第2回:9月8日開催:ミャンマー人現地職員による「現行事業進捗報告」「オンラインでの地域活動実施の検討」という2つの発表ののち,著者も含めて検討・議論を行った.また,googlejamboardを使用した事例検討を実施した.
・第3回 11月11日開催:ミャンマー人現地職員が「コミュニティボランティアのエンパワメント研修の実施方法」「特別支援教育活動の進め方」という2つのテーマで,また,筆者が「個別指導計画の紹介」というテーマで発表を行ったのち,それぞれ議論と検討を実施した.
【考察】
今回の経験から,COVID-19パンデミックと政情不安という複合的困難下であっても,オンラインでの国際協力活動が一定程度実現可能であると確認された.また全3回を通じた現地職員の発表テーマの変遷を見ると,内容が徐々に具体化していることが分かる.これは,継続的なオンライン活動の経験を通して,参加者自身がオンライン会議システムをツールとした企画を主体的に立案できる可能性を示唆するものと考えられる.次のステップとして,参加者主体の企画を具現化するために必要な支援・協力の提供に取り組みたい.