[OP-2-4] 口述発表：基礎研究 2/内科疾患 1本邦の救命救急センター・集中治療室における作業療法に関する文献レビュー
【はじめに】
近年，救命病棟センターや集中治療室における重症患者に対する早期リハビリテーションや集中治療後症候群（ＰＩＣＳ）への対応が着目されている．理学療法の有用性は示されてきているが，作業療法の実践に関する研究は少なく，エビデンスは乏しい．また本邦における作業療法に関する報告はどの程度なされているかの検討は乏しい状況にある．そこで今回は，本邦における救命救急センター・集中治療室での作業療法に関する文献レビューを行い，報告の総数，種類，作業療法実践内容とその評価指標ついて示唆を得ることとした．本調査において開示すべきCOI関係にある企業等はない．
【方法】
文献データベースとして，医学中央雑誌，CiNiiを用いた．また，より網羅的に文献を収集するため，Googleによるハンドサーチ（1～10ページ）を行った．医学中央雑誌の検索式を(集中治療室/TA or 集中治療/TA or ICU/TA or 救命/TA or 救命病棟/TA or 救命救急センター/TA ) and (作業療法/TA)とし，検索期間は1980年１月～2021年12月とした．対象文献の選定基準は，①査読のある学術誌または紀要に掲載された論文であること（原著），②邦文であること，③集中治療室，救命救急センターにおいての作業療法に関するもの④成人患者であり中途障害者を対象としたもの，これら4つの基準をすべて満たすものとした．また除外基準として冠疾患集中治療室（Coronary Care Unit：CCU），準 集 中 治 療 室（High Care Unit：HCU），新生児集中治療室（Neonatal Inten sive Care Unit：NICU），脳卒中集中治療室（Stroke Care Unit：SCU）に入室しているもの，そして特定の疾患・病態のみを対象としたものとした．CiNii，Googleによるハンドサーチの検索式は，医学中央雑誌と同様の条件となるように作成した．
【結果】
データベース検索により抽出された論文は257件であり，これらから基準を満たした論文は13件であった．論文の種類ではシステマティックレビュー１件，調査研究が４件，実践報告が8件であった．論文の年代は2007年が1件，2017年2件，2018年5件，2019年2件，2020年1件，2021年2件であった．作業療法の実践内容は関節可動域訓練，離床としての端坐位・立位・車椅子乗車訓練，ADL訓練（食事・整容・排泄），環境調整（ベッド・カレンダー・ポータブルトイレ・自助具等），上肢機能訓練，認知機能訓練，作業の提供などであった．評価指標としては身体機能としてMMT，握力，MRC-score，FSS-ICU等，精神機能としてCAM-ICU，J-NCS，MMSE，SMSF，日常生活としてBI，FIMであった．
【考察】
本邦において救命救急センター・集中治療室に関する論文数はまだまだ乏しい状況にあった．しかし2017年から報告数は増加し，本邦において少しずつ救急救命センターや集中治療室における重症患者に対する作業療法の関心の高さが伺えた．今後も研究や実践報告の増加を期待し，更なるエビデンスレベルの高い作業療法研究の発展が必要である．
近年，救命病棟センターや集中治療室における重症患者に対する早期リハビリテーションや集中治療後症候群（ＰＩＣＳ）への対応が着目されている．理学療法の有用性は示されてきているが，作業療法の実践に関する研究は少なく，エビデンスは乏しい．また本邦における作業療法に関する報告はどの程度なされているかの検討は乏しい状況にある．そこで今回は，本邦における救命救急センター・集中治療室での作業療法に関する文献レビューを行い，報告の総数，種類，作業療法実践内容とその評価指標ついて示唆を得ることとした．本調査において開示すべきCOI関係にある企業等はない．
【方法】
文献データベースとして，医学中央雑誌，CiNiiを用いた．また，より網羅的に文献を収集するため，Googleによるハンドサーチ（1～10ページ）を行った．医学中央雑誌の検索式を(集中治療室/TA or 集中治療/TA or ICU/TA or 救命/TA or 救命病棟/TA or 救命救急センター/TA ) and (作業療法/TA)とし，検索期間は1980年１月～2021年12月とした．対象文献の選定基準は，①査読のある学術誌または紀要に掲載された論文であること（原著），②邦文であること，③集中治療室，救命救急センターにおいての作業療法に関するもの④成人患者であり中途障害者を対象としたもの，これら4つの基準をすべて満たすものとした．また除外基準として冠疾患集中治療室（Coronary Care Unit：CCU），準 集 中 治 療 室（High Care Unit：HCU），新生児集中治療室（Neonatal Inten sive Care Unit：NICU），脳卒中集中治療室（Stroke Care Unit：SCU）に入室しているもの，そして特定の疾患・病態のみを対象としたものとした．CiNii，Googleによるハンドサーチの検索式は，医学中央雑誌と同様の条件となるように作成した．
【結果】
データベース検索により抽出された論文は257件であり，これらから基準を満たした論文は13件であった．論文の種類ではシステマティックレビュー１件，調査研究が４件，実践報告が8件であった．論文の年代は2007年が1件，2017年2件，2018年5件，2019年2件，2020年1件，2021年2件であった．作業療法の実践内容は関節可動域訓練，離床としての端坐位・立位・車椅子乗車訓練，ADL訓練（食事・整容・排泄），環境調整（ベッド・カレンダー・ポータブルトイレ・自助具等），上肢機能訓練，認知機能訓練，作業の提供などであった．評価指標としては身体機能としてMMT，握力，MRC-score，FSS-ICU等，精神機能としてCAM-ICU，J-NCS，MMSE，SMSF，日常生活としてBI，FIMであった．
【考察】
本邦において救命救急センター・集中治療室に関する論文数はまだまだ乏しい状況にあった．しかし2017年から報告数は増加し，本邦において少しずつ救急救命センターや集中治療室における重症患者に対する作業療法の関心の高さが伺えた．今後も研究や実践報告の増加を期待し，更なるエビデンスレベルの高い作業療法研究の発展が必要である．