第56回日本作業療法学会

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一般演題

管理運営

[OQ-1] 一般演題:管理運営 1

Fri. Sep 16, 2022 1:20 PM - 2:20 PM 第5会場 (RoomB)

座長:小川 真寛(神戸学院大学)

[OQ-1-2] 口述発表:管理運営 1コロナ禍における当院作業療法課での情報共有システムの再考について

松石 健一郎1竹下 宏史1佐古 英樹1藤木 卓1 (1医療法人智仁会 佐賀リハビリテーション病院リハビリテーション部 作業療法課)

【はじめに】当院の回復期病棟に所属している作業療法課の人員は26名(R4.2現在)であり,第1~4係(1係につき6~7名)に分かれ,情報共有における取り組みの一つとして係毎に2回/月のミーティングを実施している.ハード面における当課の特徴としてはスタッフルームの座席が係毎となっており,情報共有といった視点では非常に恵まれた環境である.しかし,実際は日々の臨床業務に追われ,コロナ禍による時間的な制約がある中でミーティング開催における効果検証や情報共有システムの見直しは昨今の課題となっていた.そこで今回は当院作業療法課における係運営の再考として第1期(R2.4~R3.3)と第2期(R3.4~R4.3)に分け,アンケート調査を中心に活動した結果に考察を添えて報告する.尚,発表に際し当院の倫理委員会の承認を得ている.
【第1期の取り組み】既存の情報共有システムの見直しとして問題点と改善項目立案の期間.
H31年度までは係毎における情報共有システムは統一されておらず課内及び部内の年間目標に則した係運営には程遠い状況であった.また臨床業務後に係毎でミーティングを行い担当患者の進捗状況を確認することや若年スタッフの教育的サポートも実施していたため1度に費やすミーティング時間は2時間に及ぶこともあった.費やす時間に対して得られる効果は乏しく,ミーティングにおける運営方法の見直しは第2期の検討課題とした.
【第2期の取り組み】ミーティングの存続と情報共有システムの実情を確かめる期間.
第1期で抽出した問題点に対する改善項目として,ミーティング開催におけるスタッフ1人あたりの報告時間を10分とし,また「今回は〇〇氏の〇〇について報告します」といった具合に検討内容を明確にすることを必須条件とした.アンケート調査では,年間を通してミーティングを実施/非実施とした場合における①臨床業務への影響力②情報の伝達力③効率性④実行性について「全くその通り」「その通り」「違う」「全く違う」の4件法を用いて全3回(1回目:R3.2 2回目:R3.10 3回目:R4.2)実施し,更にABABデザインを用いて前後比較した.
【結果】ベースライン期とインターベンション期で最も改善率が高かった項目は④実行性でありアンケートの「その通り」で約35%,次いで②情報伝達力の「全くその通り」で約25%,①臨床業務への影響力の「その通り」で約16%それぞれ向上し,インターベンション期においても維持された.③効率性では3回のアンケート結果で平均して約43%が「違う」という期待に反する結果であった.
【考察・まとめ】①臨床業務への影響力と②情報の伝達力は第2期におけるミーティング開催にあたり制限時間を設定し,且つ検討内容を明確にしたことで当課の行動目標の一つでもある「限られた条件下で相手に伝える能力を養う」ことと結びつき,各個人の意識改革につながった結果と考えた.③効率性について,当院回復期病棟は年間を通して病棟稼働率や入院患者の重症度割合,また在宅復帰率により臨床以外の業務量も変動する.このような状況下ではスタッフ自身における心身のゆとりが少なからず影響を及ぼしていると推測される.今後は年間を通して,閑散期に従来通りのミーティングを開催し,また繁忙期はスタッフルームの座席が係毎となっている当課のハード面の強みを最大限に活かし,軒下カンファレンス中心に実施するなどして状況に合わせたより効果的な情報共有システムの構築を目指し,第3期の取り組みとして継続していく.