第56回日本作業療法学会

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一般演題

管理運営

[OQ-3] 一般演題:管理運営 3/援助機器 2

Sat. Sep 17, 2022 1:40 PM - 2:40 PM 第6会場 (RoomB-1)

座長:林 亜遊(大阪医療福祉専門学校)

[OQ-3-3] 口述発表:管理運営 3/援助機器 2日高リハビリテーション病院リハビリテーションセンターにおけるグループ間で切磋琢磨し成果を挙げるシステムの導入

平石 武士1岩本 紘樹1本間 佑介1神戸 照世1 (1医療法人社団日高会 日高リハビリテーション病院リハビリテーションセンター)

【目的】当センターは,自身の達成項目と部下への指導項目から成るクリニカルラダーに基づいたジョブグレードを導入している.また担当者の技量や経験による患者への不利益や365日リハ施行上,担当不在時の不利益への対応として,各グレードから選出したメンバーで構成されるグループ担当制を敷いている.Peter Sengeは,組織の成長にはビジョン・成果の共有化と達成に向けた組織員の結集が重要と述べている.松尾睦氏は,組織を構成する個人の成長戦略の一つとして「切磋琢磨」や「前向きな競争」を挙げている.今回,組織や組織員の成果向上を目的に組織が目指す5つの指標をグループに提示,共有化を図り,達成手段はグル-プに任せ,グル-プ間で切磋琢磨するシステムの導入を試みた.【方法】対象は,リーダー,サブリーダー,一般メンバー計3~4人からなる9グループ.課した指標は,Ⅰ実績指数疾患別比率(実績指数除外者を除きグループ担当患者を回復期リハ協会で報告している疾患別リハ実績指数で除した比率の中央値),Ⅱ在宅退院患者の社会参加率(東京都健康長寿医療センターで定義している社会参加,即ち,就労,ボランティア活動,自己啓発(趣味・学習・保健)活動,友人・隣人等とのインフォーマルな交流,通所型サービス利用のいずれかに移行できた方の割合),Ⅲ教育達成度(リーダーがサブリーダーに対し指導を行う直接指導項目とサブリーダーを介して一般メンバーの達成を目指す間接指導項目を挙げ,達成計画も作成,4名の管理者が評価,即ち列挙項目・計画の妥当性,計画の実行度,達成度,サブリーダーの自己評価の総合10点満点で評価),Ⅳ業務の効率性(複数資料を基に作成した効率性評価10項目に対し,所属員35名が各項目ごとに上位3グループに投票,合計投票数によりグループ順位を付ける),Ⅴ学術研鑽(論文2点,研究発表1点,紹介発表・症例報告・講演0.5点,学会・研修会参加0.1点,育児中の主婦は得点2倍で合計し,グループ員の平均を算出),各指標ごとにグル-プ順位を付け,9位が1点,順位が上がる度に1点を追加(2位は8点),1位のみ10点として,各指標の得点を合計し,総合順位を決定,総合ベスト3と各指標の1位を表彰,表彰されたリーダーより工夫点を発表.また全グル-プに今回のシステムの妥当性,改善点等を挙げて頂いた.実施期間は,2020年4月~2021年2月とし,2021年3月に集計・表彰した.【結果】各指標における1位-5位(中央)-9位の結果を以下に示す.Ⅰ実績指数比率1.45(実績指数中央値69.4)-1.35(54.0)-0.91(43.7), 実施前の年度全実績指数中央値51.4から実施後57.7へ向上.(Mann–Whitney U test P値0.0096)Ⅱ社会参加96.9%-88.4%-81.3%,Ⅲ教育達成度9点-6点-4点,Ⅳ業務の効率性145票-102票-12票,Ⅴ学術研鑽4.93点-0.55点-0.30点.総合1位のグループは,Ⅴで1位,Ⅱ・Ⅳで2位,Ⅲで3位と全般的に好成績で,工夫として常に指標を意識して部下と頻回にコミュニケーションをとる事を心掛けていたとの事.またグループ全体から今回のシステム導入について,概ね妥当との意見が多かったが,Ⅲで,達成項目が指導対象者によって異なる為,成果指標の妥当性に疑問を生じる,Ⅴで,一日がかりの研修会からweb開催で15分の研修会もあり,参加した研修会の時間に合わせて点数を付けた方が良い等の意見が出された.【考察】本システムは,達成手段をグル-プに任せている為,リーダーのモチベーションと統率力に大きく影響を受ける.上手くいかないグル-プへのフォローは大切と感じるが,将来の組織の発展,将来を担うリーダーや所属員の成長には有効なシステムと考える.(発表にあたり倫理審査委員会の承認を得ております.利益相反もございません.)