第56回日本作業療法学会

講演情報

一般演題

教育

[OR-5] 一般演題:教育 5/理論 2

2022年9月18日(日) 09:40 〜 10:40 第4会場 (RoomA)

座長:井村 亘(玉野総合医療専門学校)

[OR-5-2] 口述発表:教育 5/理論 2作業療法士向けのポータルサイト設立におけるアンケート調査

川畑 祥子1柳本 麻里2高木 洋平3細川 雄平4山内 匡也5 (1医療法人 康生会 豊中平成病院リハビリテーション部,2医療療法人 平成博愛会 徳島平成病院リハビリテーション部,3医療法人社団 大和会 平成扇病院リハビリテーション部,4平成リハビリテーション専門学校リハビリテーション部,5医療法人社団 淡路平成会 東浦平成病院リハビリテーション部)

【背景・目的】我々が属する平成医療福祉グループ (以下,グループ) は,420名を超える作業療法士 (以下,OT) が在籍している.グループに所属する療法士の卒後教育として様々な支援体制を整えているが,OTに特化した教育支援は各施設の指導体制に委ねられている.そのため,ネットワークを通じて,どこからでも受けられる教育支援が必要と感じ,2018年2月よりOT推進チーム (以下,チーム) を発足し,同年11月よりOTポータルサイト (以下,サイト) を設立した.こうした取り組みがグループ内のOTにどのように反映されているかを把握するためアンケートを実施し,有効に運用するための検討材料とした.
【方法】サイトはGoogleサイトを用いてチームメンバーのOT11名で運用している.サイトには,OTに関連する評価・訓練道具,文献,自助具,作業活動,動画などの紹介,毎月,SNSやトピックスを配信している.また,より多くのOTに認知してもらうため,更新したサイトの内容はNEWSLETTERという広報紙で各病院・施設のリハ役職者宛に毎月配信している.閲覧者は,様々なデバイスを利用しどこでも無料で閲覧することが可能となっている.この他,事例相談のあったOTにチームよりアドバイスを行っている.上述した取り組みに対して,グループに所属するOT420名に対し,Googleフォームを用いたアンケート調査を実施した.アンケート期間は2021年12月13日から2022年1月7日までとし,内容はサイトの利用頻度や有用性,今後の展望などとした.形式は,無記名で選択肢もしくは一部自由記述とし,統計処理は記述統計とした.倫理的配慮として,アンケートの目的,内容ならびに回答の有無により職務上の不利益が生じない旨を依頼書で説明し,書面にて同意を得た.
【結果】有効回答は58% (244名) であった.「サイトを知っている」と回答したOTは70.1%で,うち閲覧したことがあるOTは86.5%であり,1か月に1度以上閲覧しているOTは20.7%であった.満足度は,「非常に満足している」「満足している」が59.7%であった.知識や技術に新たな気付きがあったかについては,「とてもあった」「あった」が68%であった.使いやすさについては,「非常に感じる」「感じる」が52.1%で,有用性については,「非常に感じる」「感じる」が62.9%であった.意見としては,「ログイン方法がわからない」「見たいページにたどり着かない」「専門領域の違い」等の回答があった.取り組んでほしい企画については,疾患ごとのより具体的なアプローチを求める声や事例検討等の意見交換,各病院独自の取り組み等の他院のOTの考えや活動について知りたいという回答が多かった.要望や改善点については,「使いやすい」という意見がある一方で,ログイン方法についての意見が多数あった.
【考察】本調査において満足度や有用性等について,約6割の意見が好評であった.その一方で約4割のOTが閲覧方法や発信する情報等についての要望を示した結果となった.これらの意見を参考に,各施設の分野や領域別に応じた作業療法や集団リハビリテーションなどの配信,広報活動の一環としてチームの紹介など,オンラインを通じた広報活動も検討している.今後もより多くのOTに利用され,教育体制の強化につながる運用と周知を目指していきたい.