[PA-1-6] ポスター:脳血管疾患等 1脳卒中後遺症による麻痺手に対する課題指向型訓練の有用性~訪問リハビリテーションでの実践~
【はじめに】訪問リハビリテーション(リハ)の利用者には,脳卒中後遺症により実生活で使用が減ってしまった麻痺手の訓練を希望する者が存在する.実生活で麻痺手の使用頻度を向上させるには徒手療法を中心とした機能指向型訓練よりも作業活動を用いた課題指向型訓練が効果的とされているが,訪問リハの場面における課題指向型訓練の効果について検討した報告は少ない.今回,訪問リハ利用者に麻痺手の課題指向型訓練を実施し,その有用性を検討した.
【症例】訪問リハ利用者で,上肢機能訓練に強い希望を持ち,課題指向型訓練に同意した4例(年齢61±3.6歳)を対象とした.4例ともに脳出血で,発症から37ヵ月以上経過した自宅療養中の利用者である.本研究は当法人倫理委員会の承認を受け実施した(受付番号111-03).
【方法】症例ごとに麻痺手を利用した参加・活動目標と自主訓練で行う作業内容を協議し,決定した.参加・活動目標は,麻痺手の使用状況を日誌につけ自主訓練の効果を随時確認した.自主訓練の作業内容は,課題指向型訓練の手法であるShaping(関節運動などに焦点化した作業),Task Practice(実際に参加・活動を難易度調整して行う作業)とした.自主訓練時間は効果が推奨される1日30分以上,累計45時間以上(約4ヵ月)を目標にした.評価は1ヶ月ごとにFugel-Meyer Assessment(FMA)の上肢運動項目とMotor Activity Log(MAL)のAmount of Useで行った.なお,参加・活動目標と自主訓練内容は経過に応じて修正した.
【経過】症例1,2,3はShapingを中心に作業内容を希望し,Task Practiceは模擬的に自主訓練時間に行った.症例4は開始時にShapingを取り入れたが,すぐにTask Practiceのみを希望し,自主訓練時間は作らずに実生活の生活行為に麻痺手を用い,特に参加・活動目標である調理動作に麻痺手を参加させていた.セラピストはShaping,Task Practiceともに段階的に難易度調整,環境設定を行い,動機づけをしながら関わった.
【結果】症例1はFMA,MALともにMinimal Clinical Important Difference(MCID)を超える変化はなく,症例2,3はFMAのみMCIDを超えたがMALに変化はなかった.症例4はFMAに変化はなくMALにMCIDを超える変化があり,調理動作などの実生活で麻痺手の使用頻度が増加した.
【考察】生活期における訪問リハ利用者に課題指向型訓練を行った結果,Shapingを中心に行った症例は実生活への反映が乏しくMALは向上しなかった.一方,実生活にTask Practiceを取り入れた症例はMALが向上した.Task Practiceは実生活で麻痺手を使用することにより課題への動機付けが得られやすく,自ら問題点の解決に対応することが可能であったと思われる.また,Task PracticeはShapingよりもセラピストが指導した難易度調整,環境設定が実生活に反映され易く,麻痺手の使用頻度増加に繋がったと考えられる.訪問リハにおける課題指向型訓練は,病院入院中のリハと比較して直接的に関わる時間が限定的であるため,より参加・活動目標に沿った作業内容の選択が求められ,Task Practiceを取り入れた症例のように,参加・活動目標に沿った作業内容を協議し合意を得たうえで,生活場面に介入する特性を生かした訓練を取り入れることにより麻痺手の使用頻度増加に繋がる可能性が示唆された.
【症例】訪問リハ利用者で,上肢機能訓練に強い希望を持ち,課題指向型訓練に同意した4例(年齢61±3.6歳)を対象とした.4例ともに脳出血で,発症から37ヵ月以上経過した自宅療養中の利用者である.本研究は当法人倫理委員会の承認を受け実施した(受付番号111-03).
【方法】症例ごとに麻痺手を利用した参加・活動目標と自主訓練で行う作業内容を協議し,決定した.参加・活動目標は,麻痺手の使用状況を日誌につけ自主訓練の効果を随時確認した.自主訓練の作業内容は,課題指向型訓練の手法であるShaping(関節運動などに焦点化した作業),Task Practice(実際に参加・活動を難易度調整して行う作業)とした.自主訓練時間は効果が推奨される1日30分以上,累計45時間以上(約4ヵ月)を目標にした.評価は1ヶ月ごとにFugel-Meyer Assessment(FMA)の上肢運動項目とMotor Activity Log(MAL)のAmount of Useで行った.なお,参加・活動目標と自主訓練内容は経過に応じて修正した.
【経過】症例1,2,3はShapingを中心に作業内容を希望し,Task Practiceは模擬的に自主訓練時間に行った.症例4は開始時にShapingを取り入れたが,すぐにTask Practiceのみを希望し,自主訓練時間は作らずに実生活の生活行為に麻痺手を用い,特に参加・活動目標である調理動作に麻痺手を参加させていた.セラピストはShaping,Task Practiceともに段階的に難易度調整,環境設定を行い,動機づけをしながら関わった.
【結果】症例1はFMA,MALともにMinimal Clinical Important Difference(MCID)を超える変化はなく,症例2,3はFMAのみMCIDを超えたがMALに変化はなかった.症例4はFMAに変化はなくMALにMCIDを超える変化があり,調理動作などの実生活で麻痺手の使用頻度が増加した.
【考察】生活期における訪問リハ利用者に課題指向型訓練を行った結果,Shapingを中心に行った症例は実生活への反映が乏しくMALは向上しなかった.一方,実生活にTask Practiceを取り入れた症例はMALが向上した.Task Practiceは実生活で麻痺手を使用することにより課題への動機付けが得られやすく,自ら問題点の解決に対応することが可能であったと思われる.また,Task PracticeはShapingよりもセラピストが指導した難易度調整,環境設定が実生活に反映され易く,麻痺手の使用頻度増加に繋がったと考えられる.訪問リハにおける課題指向型訓練は,病院入院中のリハと比較して直接的に関わる時間が限定的であるため,より参加・活動目標に沿った作業内容の選択が求められ,Task Practiceを取り入れた症例のように,参加・活動目標に沿った作業内容を協議し合意を得たうえで,生活場面に介入する特性を生かした訓練を取り入れることにより麻痺手の使用頻度増加に繋がる可能性が示唆された.