[PA-10-1] ポスター:脳血管疾患等 10OTIPMに基づいた急性期病院からの短期復職支援の一例
【はじめに】若年性の脳血管障害者では復職の希望が聞かれることが多く,急性期の早期より復職支援を行うことが重要である.しかし,早期退院が言われる中,急性期から患者の復職に必要な活動を直接的・継続的に支援した報告はほとんどみられていない.今回,急性期病院に入院した若年の脳血管障害患者に対して,作業療法介入プロセスモデル(OTIPM)に基づき入院早期からのADLと復職支援,退院後の外来OTによる作業を基盤とした就労業務支援を行い,短期期間での職場復帰を果たした事例について報告する.なお,本報告は事例の同意を得ている.
【事例紹介・作業療法評価】40歳代の男性,認知症でコミュニケーションが上手くとれない母親と二人暮らし.自宅にて脳梗塞を発症し,入院となる.翌日より作業療法開始,介入時面接より復職の希望が聞かれた.以下,A氏の「仕事をする」という作業と関連する要素(situational eleemts)についてtransactional model of occupationに基づき整理した .
〈クライアント要素〉病前は家事と仕事を行っていた. 仕事はエリアマネージャーとして,管轄する店舗の機器の入れ替えや,社員指導・管理,人員の確保のための面接,本社へ各店舗の報告や運営であった.脳梗塞の発症により,ADLは概ね自立しているが,手指・上肢機能と歩行機能の低下により,食事で箸が持てない,ペンは持てるが字を書くことが出来ない.仕事では,書字,パソコンの使用,移動が必要である.パソコンに入力する際に,右手でキーボードがうまく押せず時間がかかる,用紙に文字の記入が出来ない.仕事では屋外の移動が多く不安がある.復職に関して強い意志があり,リハビリテーションに意欲的に取り組む姿勢が伺えた.
〈時間的要素〉高校を卒業後,現在の職場でアルバイトを行い,上司との関係性が良く,正社員,マネージャーへと昇格し勤続約20年.
〈社会文化的要素〉母親が要介護状態で身の回りのことは自分で行うことが期待されている.
〈環境的要素 社会的〉上司との関係性は良好で休職など連絡を取っている.エリアにある店舗の店長やアルバイトスタッフと関わる.認知症の母親の介護でヘルパーの定期的な訪問がある.仕事は休職中.
〈環境的要素 物理的〉自宅は二階建ての一軒家.職場は都内まで電車で1時間程度,担当エリアは郊外の店舗であり,電車やタクシーを使って複数の店舗を担当していた.
〈課題的要素〉自分を社員まで引き挙げてくれた上司のために,仕事に戻り働いて恩返しがしたい.現職に関して不安な気持ちがあるが,職場からは時間をかけても,復帰が期待されている.
【経過・結果】作業療法介入は,入院中は週5回,1ヶ月間はADL・IADL練習に加え,仕事内容の確認や必要な能力の聞き取りなど復職に向けたニーズ評価と職場との情報共有,業務で必要な活動の遂行分析と課題分析を行った.入院から約1ヶ月後に自宅退院となり,復職に必要なパソコン操作と書字の遂行技能は運動技能の向上とともに自信の回復がみられた.退院時には明確な「フルタイムで仕事に復職する」ことを目標とした.その後,外来作業療法は週1~2回を2ヶ月,模擬的な技能練習と遂行状況,会社とのやり取りや復職方法の検討を外来リハにて実施した.退院から1ヶ月で時短勤務を経て,その後1ヶ月で病前同様の形態での復職することが出来た.
【考察】本事例より,OTIPMに基づき,仕事をするという作業に焦点を当てクライアントを理解し,入院期間や空間・道具などが制限された急性期病院で,状態に応じて復職に関する作業を直接練習する支援を早期より継続的に行なうことが,復職に有効である可能性があると示唆された.
【事例紹介・作業療法評価】40歳代の男性,認知症でコミュニケーションが上手くとれない母親と二人暮らし.自宅にて脳梗塞を発症し,入院となる.翌日より作業療法開始,介入時面接より復職の希望が聞かれた.以下,A氏の「仕事をする」という作業と関連する要素(situational eleemts)についてtransactional model of occupationに基づき整理した .
〈クライアント要素〉病前は家事と仕事を行っていた. 仕事はエリアマネージャーとして,管轄する店舗の機器の入れ替えや,社員指導・管理,人員の確保のための面接,本社へ各店舗の報告や運営であった.脳梗塞の発症により,ADLは概ね自立しているが,手指・上肢機能と歩行機能の低下により,食事で箸が持てない,ペンは持てるが字を書くことが出来ない.仕事では,書字,パソコンの使用,移動が必要である.パソコンに入力する際に,右手でキーボードがうまく押せず時間がかかる,用紙に文字の記入が出来ない.仕事では屋外の移動が多く不安がある.復職に関して強い意志があり,リハビリテーションに意欲的に取り組む姿勢が伺えた.
〈時間的要素〉高校を卒業後,現在の職場でアルバイトを行い,上司との関係性が良く,正社員,マネージャーへと昇格し勤続約20年.
〈社会文化的要素〉母親が要介護状態で身の回りのことは自分で行うことが期待されている.
〈環境的要素 社会的〉上司との関係性は良好で休職など連絡を取っている.エリアにある店舗の店長やアルバイトスタッフと関わる.認知症の母親の介護でヘルパーの定期的な訪問がある.仕事は休職中.
〈環境的要素 物理的〉自宅は二階建ての一軒家.職場は都内まで電車で1時間程度,担当エリアは郊外の店舗であり,電車やタクシーを使って複数の店舗を担当していた.
〈課題的要素〉自分を社員まで引き挙げてくれた上司のために,仕事に戻り働いて恩返しがしたい.現職に関して不安な気持ちがあるが,職場からは時間をかけても,復帰が期待されている.
【経過・結果】作業療法介入は,入院中は週5回,1ヶ月間はADL・IADL練習に加え,仕事内容の確認や必要な能力の聞き取りなど復職に向けたニーズ評価と職場との情報共有,業務で必要な活動の遂行分析と課題分析を行った.入院から約1ヶ月後に自宅退院となり,復職に必要なパソコン操作と書字の遂行技能は運動技能の向上とともに自信の回復がみられた.退院時には明確な「フルタイムで仕事に復職する」ことを目標とした.その後,外来作業療法は週1~2回を2ヶ月,模擬的な技能練習と遂行状況,会社とのやり取りや復職方法の検討を外来リハにて実施した.退院から1ヶ月で時短勤務を経て,その後1ヶ月で病前同様の形態での復職することが出来た.
【考察】本事例より,OTIPMに基づき,仕事をするという作業に焦点を当てクライアントを理解し,入院期間や空間・道具などが制限された急性期病院で,状態に応じて復職に関する作業を直接練習する支援を早期より継続的に行なうことが,復職に有効である可能性があると示唆された.