[PA-3-7] ポスター:脳血管疾患等 3回復期脳卒中患者にShared Decision Making for Rehabilitationを使用することで訓練の満足度が高かった一例
【はじめに】リハビリテーション医療のShared-Decision-Makingを測定する患者報告式尺度として Shared Decision Making for Rehabilitation(以下,SDM-Reha)が開発されているが回復期脳卒中患者に導入した報告は少ない.今回,SDM-Rehaを使用し訓練手法の再検討を行う事で訓練に対する満足度が高かった経験を報告する.本発表に関して,事例から書面に同意を得ている.
【事例紹介】事例は右視床出血と診断された40歳代の男性である.43病日目に当院回復期リハビリテーション病棟に入院した.病前の職業は広告代理店のデータ事業部で,趣味はプラモデル,絵を描くことであった.入院時のBrunnstrom Recovery Stage(以下:BRS)は左上肢Ⅱ・手 指Ⅱ,Fugl-Meyer Assessment上肢項目(以下:FMA-UE)は9点,Action Research Arm Test(以下:ARAT)は 0点,Motor Activity Log(以下:MAL)のAmount of use(以下:AOU),Quality of movement(以下:QOM)はどちらも0点であった.意欲の指標であるVitality Index(以下:VI)は7点,やる気スコアは13点と発動性の低下がみられ,意思決定の葛藤を評価できるSure of myself;Understand information;Risk-benefit ratio;Encouragement test(以下:SURE Test)は合計2/4点であった.
【経過】
第1期(第44〜82病日):診療ガイドラインを使用して上肢機能訓練の説明を行うが受動的で主体的に選択することが出来なかった.電気刺激療法と反復促通療法を行なうと,麻痺側の単関節運動を積極的に動かそうとする様子がみられた.ミラーセラピーは「手指が反応しているのがわかります」と受け入れが良好であった.振動療法を行ったが特に反応はなかった.
第2期(第83〜103病日):SDM-Rehaは「障害や症状の説明」「リハビリ内容の選択の提示」に減点があり.合計得点は50点であった.「訓練の長所と短所がわかり,今後のプランを具体的に教えてほしいです」と返答があったため,SDMの目標設定支援ツールである Goal Boardを使用した.「復職に必要な集中力,持久力の体力をつけること」「左上肢の運動麻痺が改善し,生活上で麻痺手を使用できること」を最初の目標にした.介入選択では再度,診療ガイドラインを用いて訓練の長所と短所を伝えると「ミラー,電気,反復は自分に合っているが気する.振動はあまり好きじゃないかな」と選択することができた.生活の中で麻痺手の使用頻度を増やすため,修正CI療法の説明を行い今後の訓練に組み込むこととした.Goal Boardは紙面化し事例に渡した.
第3期(第104〜134病日):Transfer Packageを行い訓練時間以外に病棟生活で自主練習を取り組むようになった.空き時間で他患者の似顔絵を描いたり自発的に取り組むようになった.SDM-Rehaを再度評価すると「訓練の選択肢が自分に合っており,納得のいくリハビリができている」と話し,合計得点は58点であった.
【結果】第1期から第3期にかけてBRSは左上肢・手指ともにⅡからⅢ,FMA-UEは9から28点,ARATは 0から5点,MALのAOU,QOMはどちらも0から0.7点に改善した. VIは7から10点,やる気スコアは13から9点と発動性の向上を認めた.SURE testは合計2/4点であり,意思決定の葛藤はみられなかった.
【考察】FMAは臨床上意味のある最小変化量(以下:MCID)を超える改善を認めたが,MAL,ARATのMCIDを超える事ができず機能的動作の改善には至らなかった.しかしながら,発動性はVI,やる気スコアで改善がみられ,内省からも満足度の向上が伺えた.SDM-Rehaによる介入手法の再検討を行い意思決定による葛藤が減少した結果,訓練に対する満足度が高い傾向にあったと考えられる.
【事例紹介】事例は右視床出血と診断された40歳代の男性である.43病日目に当院回復期リハビリテーション病棟に入院した.病前の職業は広告代理店のデータ事業部で,趣味はプラモデル,絵を描くことであった.入院時のBrunnstrom Recovery Stage(以下:BRS)は左上肢Ⅱ・手 指Ⅱ,Fugl-Meyer Assessment上肢項目(以下:FMA-UE)は9点,Action Research Arm Test(以下:ARAT)は 0点,Motor Activity Log(以下:MAL)のAmount of use(以下:AOU),Quality of movement(以下:QOM)はどちらも0点であった.意欲の指標であるVitality Index(以下:VI)は7点,やる気スコアは13点と発動性の低下がみられ,意思決定の葛藤を評価できるSure of myself;Understand information;Risk-benefit ratio;Encouragement test(以下:SURE Test)は合計2/4点であった.
【経過】
第1期(第44〜82病日):診療ガイドラインを使用して上肢機能訓練の説明を行うが受動的で主体的に選択することが出来なかった.電気刺激療法と反復促通療法を行なうと,麻痺側の単関節運動を積極的に動かそうとする様子がみられた.ミラーセラピーは「手指が反応しているのがわかります」と受け入れが良好であった.振動療法を行ったが特に反応はなかった.
第2期(第83〜103病日):SDM-Rehaは「障害や症状の説明」「リハビリ内容の選択の提示」に減点があり.合計得点は50点であった.「訓練の長所と短所がわかり,今後のプランを具体的に教えてほしいです」と返答があったため,SDMの目標設定支援ツールである Goal Boardを使用した.「復職に必要な集中力,持久力の体力をつけること」「左上肢の運動麻痺が改善し,生活上で麻痺手を使用できること」を最初の目標にした.介入選択では再度,診療ガイドラインを用いて訓練の長所と短所を伝えると「ミラー,電気,反復は自分に合っているが気する.振動はあまり好きじゃないかな」と選択することができた.生活の中で麻痺手の使用頻度を増やすため,修正CI療法の説明を行い今後の訓練に組み込むこととした.Goal Boardは紙面化し事例に渡した.
第3期(第104〜134病日):Transfer Packageを行い訓練時間以外に病棟生活で自主練習を取り組むようになった.空き時間で他患者の似顔絵を描いたり自発的に取り組むようになった.SDM-Rehaを再度評価すると「訓練の選択肢が自分に合っており,納得のいくリハビリができている」と話し,合計得点は58点であった.
【結果】第1期から第3期にかけてBRSは左上肢・手指ともにⅡからⅢ,FMA-UEは9から28点,ARATは 0から5点,MALのAOU,QOMはどちらも0から0.7点に改善した. VIは7から10点,やる気スコアは13から9点と発動性の向上を認めた.SURE testは合計2/4点であり,意思決定の葛藤はみられなかった.
【考察】FMAは臨床上意味のある最小変化量(以下:MCID)を超える改善を認めたが,MAL,ARATのMCIDを超える事ができず機能的動作の改善には至らなかった.しかしながら,発動性はVI,やる気スコアで改善がみられ,内省からも満足度の向上が伺えた.SDM-Rehaによる介入手法の再検討を行い意思決定による葛藤が減少した結果,訓練に対する満足度が高い傾向にあったと考えられる.