[PA-4-10] ポスター:脳血管疾患等 4複合的アプローチにより復職,趣味であるゴルフの獲得に至った,中等度麻痺を呈した事例
「目的」
脳卒中後に生じる上肢麻痺については様々な予後予測が存在しているが,急性期における予後予測は正確な回復段階を予測しにくい.近年にはRick van der Vlietらの上肢機能回復段階の混合モデルとして,経過週と複数点のFMAをモデルにあてはめることで5群に分類し機能予後を予測できる事が示された.今回Branch atheromatous disease(BAD)を呈した中等度麻痺を呈した患者を担当する機会を得た.発症時は予後良好でない可能性があったが,その後の回復段階から再度予測を行い,予後良好の可能性が示された.そこで上肢運動麻痺の回復段階に合わせShared decision making(SDM)やEvidence-Based Medicine(EBM)に基づいた時期別に適切なアプローチ選択を行うことで上肢機能改善と復職,そして本人の意味のある作業であるゴルフの再獲得に至った為ここに機能回復の手続きを報告する.
「評価」評価項目はFugl-Meyer Assessment(FMA),ブルンストロームステージ(Brs)Simple Test for Evaluating hand Function(STEF)Modified Ashworth Scale (MAS),Motor Activity Log(MAL)amount of use(AOU)とquality of movement(QOM)内省報告とした.
「方法」急性期における治療は促通反復療法を作業療法で3単位.低周波治療器はESPURGE(伊藤超短波)を併用して単関節運動を100回とshaping課題を2週間実施した.回復期では促通反復療法,修正Constraint induced movement therapy (CI療法)を行った.自主トレーニングはIVES(MURO Solution:Pasificsupply)を使用してshaping項目から7項目選定した.トランスファーパッケージではADOC-Hを使用し,生活上での麻痺側上肢の使用場面設定と問題解決指導を行ない,週1回の振り返りと日記を実施した.痙性抑制には振動刺激と装具療法を併用して行った.
尚本報告は症例に同意を得ている.当院倫理委員会より承認を得ている.
「経過」対象は橋梗塞BADで中等度麻痺を呈した男性である.急性期では入院翌日に増悪しFMA14/66,Brs上肢Ⅱ手指Ⅱ下肢Ⅱ,右上下肢にMAS1程度の筋緊張亢進を認めた.回復期入棟時はBrsⅢ-Ⅳ-ⅢでFMA34/66,MALはAOU0.28点,QOM0.35,MAS2で肩疼痛も認めた.17週後にBrsⅥ-Ⅴ-Ⅴ,FMA61/66点STEF93点,MALはQOM3.5,AOU3.8点,MAS1となり日常生活は右上肢を使用して自立,パソコン操作も可能となった.またスイング練習やパター練習を取り入れる事で趣味であるゴルフスイングが可能となった.回復期病棟を退院後外来にて上肢機能訓練と自主トレを継続し,退院後1か月で復職,ゴルフ練習を経てコースでのプレーも再開することができた.
「考察」竹林らは上肢運動麻痺に対しCI療法は皮質の可塑性変化を増加させると報告し,原は電気刺激併用で皮質運動野の興奮性が増加するとしている.症例は修正型CI療法とIVESの併用にて皮質再構成を促進し上肢機能が改善したと考える.また課題指向型訓練とトランスファーパッケージにより生活で上肢使用頻度が増加しFMAとMALが改善.痙縮には振動刺激,装具療法,IVESを加えた修正CI療法で改善,その結果復職と趣味活動の再開に至ったと考える.上肢麻痺の予後についてはRick van der Vliet らの回復モデルに急性期からの詳細な評価をあてはめた結果,予後予測に近い17週でFMA61点となり,ADL自立,パソコン操作やゴルフ再開できた.また上肢機能の改善については急性期,回復期におけるFMA,MALにおけるMCIDを超える改善を認めた.今回は単一事例ではあるが,予後予測を行い,回復段階に合わせ複合的な上肢機能アプローチを行うことで上肢機能改善,復職,趣味活動の再開につながる可能性があると考えられた.
脳卒中後に生じる上肢麻痺については様々な予後予測が存在しているが,急性期における予後予測は正確な回復段階を予測しにくい.近年にはRick van der Vlietらの上肢機能回復段階の混合モデルとして,経過週と複数点のFMAをモデルにあてはめることで5群に分類し機能予後を予測できる事が示された.今回Branch atheromatous disease(BAD)を呈した中等度麻痺を呈した患者を担当する機会を得た.発症時は予後良好でない可能性があったが,その後の回復段階から再度予測を行い,予後良好の可能性が示された.そこで上肢運動麻痺の回復段階に合わせShared decision making(SDM)やEvidence-Based Medicine(EBM)に基づいた時期別に適切なアプローチ選択を行うことで上肢機能改善と復職,そして本人の意味のある作業であるゴルフの再獲得に至った為ここに機能回復の手続きを報告する.
「評価」評価項目はFugl-Meyer Assessment(FMA),ブルンストロームステージ(Brs)Simple Test for Evaluating hand Function(STEF)Modified Ashworth Scale (MAS),Motor Activity Log(MAL)amount of use(AOU)とquality of movement(QOM)内省報告とした.
「方法」急性期における治療は促通反復療法を作業療法で3単位.低周波治療器はESPURGE(伊藤超短波)を併用して単関節運動を100回とshaping課題を2週間実施した.回復期では促通反復療法,修正Constraint induced movement therapy (CI療法)を行った.自主トレーニングはIVES(MURO Solution:Pasificsupply)を使用してshaping項目から7項目選定した.トランスファーパッケージではADOC-Hを使用し,生活上での麻痺側上肢の使用場面設定と問題解決指導を行ない,週1回の振り返りと日記を実施した.痙性抑制には振動刺激と装具療法を併用して行った.
尚本報告は症例に同意を得ている.当院倫理委員会より承認を得ている.
「経過」対象は橋梗塞BADで中等度麻痺を呈した男性である.急性期では入院翌日に増悪しFMA14/66,Brs上肢Ⅱ手指Ⅱ下肢Ⅱ,右上下肢にMAS1程度の筋緊張亢進を認めた.回復期入棟時はBrsⅢ-Ⅳ-ⅢでFMA34/66,MALはAOU0.28点,QOM0.35,MAS2で肩疼痛も認めた.17週後にBrsⅥ-Ⅴ-Ⅴ,FMA61/66点STEF93点,MALはQOM3.5,AOU3.8点,MAS1となり日常生活は右上肢を使用して自立,パソコン操作も可能となった.またスイング練習やパター練習を取り入れる事で趣味であるゴルフスイングが可能となった.回復期病棟を退院後外来にて上肢機能訓練と自主トレを継続し,退院後1か月で復職,ゴルフ練習を経てコースでのプレーも再開することができた.
「考察」竹林らは上肢運動麻痺に対しCI療法は皮質の可塑性変化を増加させると報告し,原は電気刺激併用で皮質運動野の興奮性が増加するとしている.症例は修正型CI療法とIVESの併用にて皮質再構成を促進し上肢機能が改善したと考える.また課題指向型訓練とトランスファーパッケージにより生活で上肢使用頻度が増加しFMAとMALが改善.痙縮には振動刺激,装具療法,IVESを加えた修正CI療法で改善,その結果復職と趣味活動の再開に至ったと考える.上肢麻痺の予後についてはRick van der Vliet らの回復モデルに急性期からの詳細な評価をあてはめた結果,予後予測に近い17週でFMA61点となり,ADL自立,パソコン操作やゴルフ再開できた.また上肢機能の改善については急性期,回復期におけるFMA,MALにおけるMCIDを超える改善を認めた.今回は単一事例ではあるが,予後予測を行い,回復段階に合わせ複合的な上肢機能アプローチを行うことで上肢機能改善,復職,趣味活動の再開につながる可能性があると考えられた.