[PA-4-3] ポスター:脳血管疾患等 4MiCを用いて就労資源の獲得や役割認識ができた事で新規就労に繋がった事例
【はじめに】
Making it clear「明らかにすること.地域生活,可能性,レジリエンス(回復力).高齢者のためのマニュアル」(MIC)は高齢者の地域における回復力を支援する根拠に基づいた枠組みを構築するために開発された質問紙とマニュアルである.質問紙は4件法で34項目の採点から介入する必要がある話題を特定する.その後,マニュアルにて人々と一緒に取り掛かるための質問や助言,資源の情報を提供する(山田孝監訳,2020).先行研究にて,脳卒中後の復職率は約30%と言われており(杉本香苗ら,2021),さらに就業準備性を向上させる為には職業情報の提供が望まれるとされている(相澤欽一,2021).今回,脳卒中発症を機に現職復帰が困難となった事例に対して,質問紙を用いて,役割認識の相違,就労への知識不足を明らかにした.マニュアルで価値観を共有した事により家庭内維持者として役割の認識が促された.また,就労時に必要な資源の紹介により就労準備性を高める事ができた.本事例から脳卒中発症後の就労準備性を高める方法としてMICが有効である可能性が示唆された為,報告する.本発表について本人に紙面にて同意を得ている.
【事例紹介】
A氏,50代男性.診断名は脳梗塞.合併症で右片麻痺を呈していた.妻,娘の3人暮らし.妻は無職で,A氏がハウスクリーニングの仕事で生計を立てていた.希望として現職復帰が聞かれた為,就労に向けて作業療法介入を行った.
【作業療法評価】
(入院時X日→X+13週目)BRS上肢・手指(5→6),下肢(5→6),FIM(88点→124点),STEF(16点→85点),FMA(47点→63点)と心身機能,ADLは改善した.また,X+13週目には実務に必要な窓の水滴を拭き取る事が出来る様になった.しかし,入院時から「現状では仕事先に迷惑がかかる.5割もできないと思う」等と現職復帰への不安感が聞かれ,X+13週目にも同様の認識だった.その為,MICを用いて評価をした所,(仕事-価値),(仕事-資源)において減点が見られた.
【介入】
Ⅹ+13週目にてMIC『マニュアル』(仕事-価値)を用いて仕事に対する価値観の共有を行うと「家族を守りたい,その為に稼がないといけない」との発言が多く,家族を養う事が最優先である事がわかった.その為,A氏にとって仕事を行い,稼ぐ事は勤労者としてではなく家庭内維持者という役割である事を明らかにした.MIC『マニュアル』(仕事-資源)に則って聴取した所,就労に必要な資源の知識不足が露呈した.その為,就労支援事業所,障害者雇用,障害者手帳を紹介した.
【結果】
家庭内維持者として役割を認識した事で「家族を養う為に新職も考えたい,現職にはこだわらない」等の発言が聞かれ,不安や現職復帰への焦燥感の軽減,就労に向けて視野が広がった.就労時に必要な資源を知った事でハローワークに出向き,新職に向けて情報収集が行えた.さらに障害者手帳を申請し,障害者雇用枠での新職復帰の目途が立った.
【考察】
求職活動の入り口として保健局や地域包括支援センターへつなぎ生活相談や健康支援に至る道筋をつくる事が望まれると述べている(藤原佳典,2016).また就労世代の脳卒中患者が復職を目指してリハビを行う場合,就労準備性を高めていく事が重要であると述べている(菅原英和ら,2021).今回,MICを活用した事により,仕事への価値観を知り,家庭内維持者としての役割の認識に繋がった.また,就労に必要な資源を知った事で,選択の幅が広がり就労に向けての準備が整ったと考える.本事例から脳卒中発症後の就労準備性を高める方法としてMICが有効である可能性が示唆された.
Making it clear「明らかにすること.地域生活,可能性,レジリエンス(回復力).高齢者のためのマニュアル」(MIC)は高齢者の地域における回復力を支援する根拠に基づいた枠組みを構築するために開発された質問紙とマニュアルである.質問紙は4件法で34項目の採点から介入する必要がある話題を特定する.その後,マニュアルにて人々と一緒に取り掛かるための質問や助言,資源の情報を提供する(山田孝監訳,2020).先行研究にて,脳卒中後の復職率は約30%と言われており(杉本香苗ら,2021),さらに就業準備性を向上させる為には職業情報の提供が望まれるとされている(相澤欽一,2021).今回,脳卒中発症を機に現職復帰が困難となった事例に対して,質問紙を用いて,役割認識の相違,就労への知識不足を明らかにした.マニュアルで価値観を共有した事により家庭内維持者として役割の認識が促された.また,就労時に必要な資源の紹介により就労準備性を高める事ができた.本事例から脳卒中発症後の就労準備性を高める方法としてMICが有効である可能性が示唆された為,報告する.本発表について本人に紙面にて同意を得ている.
【事例紹介】
A氏,50代男性.診断名は脳梗塞.合併症で右片麻痺を呈していた.妻,娘の3人暮らし.妻は無職で,A氏がハウスクリーニングの仕事で生計を立てていた.希望として現職復帰が聞かれた為,就労に向けて作業療法介入を行った.
【作業療法評価】
(入院時X日→X+13週目)BRS上肢・手指(5→6),下肢(5→6),FIM(88点→124点),STEF(16点→85点),FMA(47点→63点)と心身機能,ADLは改善した.また,X+13週目には実務に必要な窓の水滴を拭き取る事が出来る様になった.しかし,入院時から「現状では仕事先に迷惑がかかる.5割もできないと思う」等と現職復帰への不安感が聞かれ,X+13週目にも同様の認識だった.その為,MICを用いて評価をした所,(仕事-価値),(仕事-資源)において減点が見られた.
【介入】
Ⅹ+13週目にてMIC『マニュアル』(仕事-価値)を用いて仕事に対する価値観の共有を行うと「家族を守りたい,その為に稼がないといけない」との発言が多く,家族を養う事が最優先である事がわかった.その為,A氏にとって仕事を行い,稼ぐ事は勤労者としてではなく家庭内維持者という役割である事を明らかにした.MIC『マニュアル』(仕事-資源)に則って聴取した所,就労に必要な資源の知識不足が露呈した.その為,就労支援事業所,障害者雇用,障害者手帳を紹介した.
【結果】
家庭内維持者として役割を認識した事で「家族を養う為に新職も考えたい,現職にはこだわらない」等の発言が聞かれ,不安や現職復帰への焦燥感の軽減,就労に向けて視野が広がった.就労時に必要な資源を知った事でハローワークに出向き,新職に向けて情報収集が行えた.さらに障害者手帳を申請し,障害者雇用枠での新職復帰の目途が立った.
【考察】
求職活動の入り口として保健局や地域包括支援センターへつなぎ生活相談や健康支援に至る道筋をつくる事が望まれると述べている(藤原佳典,2016).また就労世代の脳卒中患者が復職を目指してリハビを行う場合,就労準備性を高めていく事が重要であると述べている(菅原英和ら,2021).今回,MICを活用した事により,仕事への価値観を知り,家庭内維持者としての役割の認識に繋がった.また,就労に必要な資源を知った事で,選択の幅が広がり就労に向けての準備が整ったと考える.本事例から脳卒中発症後の就労準備性を高める方法としてMICが有効である可能性が示唆された.