第56回日本作業療法学会

講演情報

ポスター

脳血管疾患等

[PA-6] ポスター:脳血管疾患等 6

2022年9月17日(土) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (イベントホール)

[PA-6-10] ポスター:脳血管疾患等 6Dot末梢課題とドライブシミュレータとの相関関係ついての検討

小川 拓実1高山 直也1村上 まどか1相宗 大介1 山口 達之2 (1京都中部総合医療センターリハビリテーション科,2京都中部総合医療センター神経内科)

【はじめに】
当センターでは,脳血管疾患患者の自動車運転再開支援として脳卒中ドライバーのスクリーニング評価(以下: SDSA-J)やドライブシミュレータ(以下:DS)を用いて運転支援評価を行っている.SDSAJはDot抹消,方向スクエアマトリックス(スクエア),コンパススクエアマトリクス(コンパス)道路標識の4つの下位項目からなる.コンパス,スクエア,道路標識の3つの下位項目はDot末梢より実車評価結果との関連性が高いと考えられる(山田恭平ら 2018)と報告されている.それに対してドット抹消とDSの関連性があると述べている報告は少ない.
【目的】
本研究ではドット抹消課題の誤り数とDSを用いた自動車運転時の事故発生との相関性について検討した.
【方法】
対象は2020年8月から2021年11月の期間に当センターで自動車運転が必要となる脳血管疾患者とした.また著明な運動麻痺を認めず.且つ神経心理学テスト(TMT-J,BIT,)の基準値以上とした男性8名を対象とした.
評価項目は,Dot末梢課題とDSの総合体験学習(市街地運転)とした.統計にはスピアマンの順位相関係数を用いた.
【結果】
ドット末梢課題の誤り数とDSを用いた自動車運転の事故発生数の相関係数は(rs)=0.40と相関がみられた.ドット抹消課題とDSの市街地運転の交通事故数との相関性を認めた.
【考察】
先行研究では,Dot末梢に比べて他の3つの検査の方が実車評価結果との関連性が高い(山田恭平ら2018)と報告されており,ドット末梢課題と実車評価との相関関係は低いとされている.それに対して,当院での研究ではドット末梢課題とDS(総合体験)での事故発生との相関があることが示唆された.Dot末梢試験の特性として,注意機能,視覚性認知,情報処理能力が必要とされる(渡邊修ら2016).また,安全な運転を実現するためには,注意機能,遂行機能,視覚走査能力,時間推定能力,視空間認知機能,視覚・運動変換能力,迅速な情報処理能力が必要とされている.上記より,Dot末梢課題と自動車運転において注意機能,視覚性認知,情報処理能力などの共通点を認め,それらが当院での研究結果に反映されたと考える.今回の,検討ではドット末梢試験とDSとの相関を認める結果となった,しかし.症例数の件数が少ないことで結果に偏りが生じた可能性もあるため,今後症例数を増やしての検討を行っていきたい.