[PA-8-12] ポスター:脳血管疾患等 8退院支援の揉め事で家族仲の悪化があったが想いを汲み取った事で事例も納得した退院に繋がった経験
【はじめに】本事例は, AMPSで生活での援助が必要な状態で,家族の協力が必要であった.家族と事例は退院までの支援方法に関して,意見の相違があった.その為,退院方法について家族や支援者で相談するが,事例は感情的になり話が進まず家族仲の悪化や支援停滞があった.そこで,ABCR-14を使用してO Tが事例に対して,対等な関係で関わる事の重要性に気づき,支援者で事例に対して「共感する」,「分かりやすい情報共有」をする事を首尾一貫して行った.結果,折り合いがつき自宅退院に至った為,報告する.本報告にあたり事例から同意を得ている.
【事例紹介】年齢:80代 性別:女性 診断名:脳梗塞 既往歴:特発性血小板減少性紫斑病 現病歴:左半身の異常を訴え救急搬送.脳梗塞の診断で入院し,保存加療.発症52病日目に当院へ転院. 性格:頑固で意見をはっきり話す. 家族構成:娘様,お孫様と三人暮らし.事例は自身が家族の面倒を見ていた自負がある.
【初期評価】Br-stage:Ⅴ-Ⅴ-Ⅴ MMSE-J:20/30点 TMT-A:中止基準により中止 AMPS:運動技能0,6プロセス技能-0,4 ABCR-14:60点
【介入】①共感する対応の提案②動画や紙面などの形に残る媒体でのFBの提案③役割分担の明確化④退院後サービスのメリット,デメリットの説明
【経過】入院一か月後に,引っ越す事を事例は知り「なぜ家に帰れないの」と発言があった. 家族との電話では,大声で「不動産屋に騙されている」などと,冷静さを失っているような発言が聞かれ,家族と口論になっていた.作業療法中は,家族の不満話で他の事は手がつかない状態であった.ABCR-14は60点で,多職種連携を見直す必要があった.OTは脳梗塞後遺症による病識低下により物事の適切な判断が困難と評価していた.しかし,話の内容を確認すると辻褄の合った話をしていた.その事から,OTは事例自身の思いを傾聴しつつ対等な関係で関わる事の重要性に気づいた.対応は,支援者間で事例に対して共感する,動画や紙面でのFBで現状を共有した.結果,事例からは「新しい家に行ってもいいかな」と理解が得られる発言があった.退院時期が近づき,サービスの相談を始めた.支援者は小規模多機能型施設と訪問リハビリの利用を提案したが,事例は「自分の時間が無くなるから通わない」と発言があった.作業療法中にサービスの相談をすると事例自身の話しかできなくなった.この時点でのABCR-14は41点であった.対応は,具体的に嫌な理由を聞いた上で,脳梗塞後遺症による現状とそれによる今後の生活での影響について伝えた.多職種とは役割を分担し,事例に合ったメリットやデメリットを伝え,事例の考えに沿ってサービスが変更できる事を理解してもらった.その後 ,デイケアと訪問リハビリに対しては「通ってみようかな」と受け入れが可能となった.サービスの説明後のABCR-14は33点だった.その後,引越し先へ自宅退院となった.
【結果】自宅生活:ADL自立,IADL介助 家族への発言:「私の為に色々動いてくれていたんだね」 支援者への発言:「訪問リハビリは今までみたいなリハビリができるから使いたい」「デイケアは休む事も,回数を減らす事もできるんだよね」 ABCR-14:33点
【考察】河野らは,捉え方の転換の重要性を述べており,OTは事例に対して高次脳機能障害があり正しく判断が出来ないと捉えていた.しかし,事例は人として当たり前に思う不安を述べており,対等な関係で関わる事の重要性に気づいた.その事により,多職種に事例の気持ちを考慮した情報提供ができ事例も納得のいく退院支援になったと考えた.事例の思いに共感する事で捉え方の転換ができ,ABCR-14の点数改善を認め,より良い多職種連携に繋がったと考える.
【事例紹介】年齢:80代 性別:女性 診断名:脳梗塞 既往歴:特発性血小板減少性紫斑病 現病歴:左半身の異常を訴え救急搬送.脳梗塞の診断で入院し,保存加療.発症52病日目に当院へ転院. 性格:頑固で意見をはっきり話す. 家族構成:娘様,お孫様と三人暮らし.事例は自身が家族の面倒を見ていた自負がある.
【初期評価】Br-stage:Ⅴ-Ⅴ-Ⅴ MMSE-J:20/30点 TMT-A:中止基準により中止 AMPS:運動技能0,6プロセス技能-0,4 ABCR-14:60点
【介入】①共感する対応の提案②動画や紙面などの形に残る媒体でのFBの提案③役割分担の明確化④退院後サービスのメリット,デメリットの説明
【経過】入院一か月後に,引っ越す事を事例は知り「なぜ家に帰れないの」と発言があった. 家族との電話では,大声で「不動産屋に騙されている」などと,冷静さを失っているような発言が聞かれ,家族と口論になっていた.作業療法中は,家族の不満話で他の事は手がつかない状態であった.ABCR-14は60点で,多職種連携を見直す必要があった.OTは脳梗塞後遺症による病識低下により物事の適切な判断が困難と評価していた.しかし,話の内容を確認すると辻褄の合った話をしていた.その事から,OTは事例自身の思いを傾聴しつつ対等な関係で関わる事の重要性に気づいた.対応は,支援者間で事例に対して共感する,動画や紙面でのFBで現状を共有した.結果,事例からは「新しい家に行ってもいいかな」と理解が得られる発言があった.退院時期が近づき,サービスの相談を始めた.支援者は小規模多機能型施設と訪問リハビリの利用を提案したが,事例は「自分の時間が無くなるから通わない」と発言があった.作業療法中にサービスの相談をすると事例自身の話しかできなくなった.この時点でのABCR-14は41点であった.対応は,具体的に嫌な理由を聞いた上で,脳梗塞後遺症による現状とそれによる今後の生活での影響について伝えた.多職種とは役割を分担し,事例に合ったメリットやデメリットを伝え,事例の考えに沿ってサービスが変更できる事を理解してもらった.その後 ,デイケアと訪問リハビリに対しては「通ってみようかな」と受け入れが可能となった.サービスの説明後のABCR-14は33点だった.その後,引越し先へ自宅退院となった.
【結果】自宅生活:ADL自立,IADL介助 家族への発言:「私の為に色々動いてくれていたんだね」 支援者への発言:「訪問リハビリは今までみたいなリハビリができるから使いたい」「デイケアは休む事も,回数を減らす事もできるんだよね」 ABCR-14:33点
【考察】河野らは,捉え方の転換の重要性を述べており,OTは事例に対して高次脳機能障害があり正しく判断が出来ないと捉えていた.しかし,事例は人として当たり前に思う不安を述べており,対等な関係で関わる事の重要性に気づいた.その事により,多職種に事例の気持ちを考慮した情報提供ができ事例も納得のいく退院支援になったと考えた.事例の思いに共感する事で捉え方の転換ができ,ABCR-14の点数改善を認め,より良い多職種連携に繋がったと考える.