[PA-8-9] ポスター:脳血管疾患等 8促通反復療法により上肢機能と物品操作,日常生活動作が改善した頸椎症性脊髄症の一例
【はじめに】
頸椎症性脊髄症(CSM)は,錐体路症状を認め,臨床症状として手指の巧緻性低下や痙縮が出現する.この上肢機能障害が進行すると箸操作やボタン操作などの日常生活動作(ADL)や生活の質に影響を及ぼすとされる.また,痙縮によって運動速度や運動範囲が縮小し,運動の継続が困難となる.しかし,CSMに対するリハビリテーション治療法の確立はされていない.運動麻痺や物品操作障害に対する治療法には,持続的電気刺激下の促通反復療法(RFE under cNMES)があり,頸髄症や不全頸髄損傷後の上肢機能障害に対しての有効性も示されている.我々は,CSM術後の患者に対して,RFE under cNMESと振動刺激を併用し,効率的に上肢機能や物品操作能力の改善が図れた結果,ADL上のセルフケア能力の改善につながるのではないかと考えた.そこで今回CSM術後麻痺に対してRFE under cNMESと振動刺激を併用し,上肢機能と物品操作能力,セルフケア能力が改善した一例を報告する.
【対象】
症例は,80歳代の右利きの女性.X月Y日に自宅で転倒し,四肢の筋力低下が出現し,歩行困難となり当院に受診される.その後,X月Y+40日にA病院にて椎弓形成術(C4,6 skip laminoplasty)施行し,X月Y+50日にリハビリテーション治療目的の為,当院回復期に転院となった.入院時のMiniMental State Examinationは21/30点であったが,指示理解等良好であり,作業療法実施には問題はなかった.American Spinal Injury Associationは,運動65/100点,痛覚98/112点,触覚98/112点であった. Stroke Impairment Assessment Setの膝口テスト(SIAS膝口)は右4/5点,左5/5点,手指テスト(SIAS手指)は右1C/5点,左4/5点であった.Modified Ashworth Scaleの肘関節屈筋(MAS肘関節)は右2/4点,左1+/4点,手関節屈筋(MAS手関節)は右2/4点,左1+/4点と痙縮を認めた.Simple Test Evaluating Hand Function(STEF)において右26/100点,左64/100点,Box and Block test(BBT)は右21個,左35個であった.Functional Independence Measureが運動27点,認知35点であり,Spinal Cord Independence Measure(SCIM)セルフケア項目は2点であり,ADL全般介助を要している状態であった.
【方法】
作業療法は,入院時から4週時までRFE under cNMESを80分と通常作業療法を20分間実施した.評価項目は,SIAS膝口,SIAS手指,MAS肘関節,MAS手関節,STEF,BBT,SCIMのセルフケア項目を挙げ,介入時,2週時,4週時に実施した.
【結果】
結果は,入院時→2週時→4週時の順で示す.SIAS膝口は点数の変化は認めなかった.SIAS手指は右1C→2→2点,左4→4→5点に改善した.MAS肘関節は右2→1+→1+,左1+→1→1に軽減した.MAS手関節は右2→1+→1+,左1+→1→1に軽減した.STEFは右26→36→40点,左64→70→75点に改善した.BBT右21→26→35個,左35→49→50個に改善した.SCIMセルフケア項目は4→8→14点に改善した.
【考察】
CSM例の上肢麻痺に対して,RFE under cNMESや振動刺激を4週実施し,上肢機能と物品操作,セルフケア能力の改善が得られた.本症例は,RFE under cNMESと振動刺激により,上肢機能や痙縮が改善し,上肢操作が容易となったことでセルフケア動作の改善に寄与したと考える.
頸椎症性脊髄症(CSM)は,錐体路症状を認め,臨床症状として手指の巧緻性低下や痙縮が出現する.この上肢機能障害が進行すると箸操作やボタン操作などの日常生活動作(ADL)や生活の質に影響を及ぼすとされる.また,痙縮によって運動速度や運動範囲が縮小し,運動の継続が困難となる.しかし,CSMに対するリハビリテーション治療法の確立はされていない.運動麻痺や物品操作障害に対する治療法には,持続的電気刺激下の促通反復療法(RFE under cNMES)があり,頸髄症や不全頸髄損傷後の上肢機能障害に対しての有効性も示されている.我々は,CSM術後の患者に対して,RFE under cNMESと振動刺激を併用し,効率的に上肢機能や物品操作能力の改善が図れた結果,ADL上のセルフケア能力の改善につながるのではないかと考えた.そこで今回CSM術後麻痺に対してRFE under cNMESと振動刺激を併用し,上肢機能と物品操作能力,セルフケア能力が改善した一例を報告する.
【対象】
症例は,80歳代の右利きの女性.X月Y日に自宅で転倒し,四肢の筋力低下が出現し,歩行困難となり当院に受診される.その後,X月Y+40日にA病院にて椎弓形成術(C4,6 skip laminoplasty)施行し,X月Y+50日にリハビリテーション治療目的の為,当院回復期に転院となった.入院時のMiniMental State Examinationは21/30点であったが,指示理解等良好であり,作業療法実施には問題はなかった.American Spinal Injury Associationは,運動65/100点,痛覚98/112点,触覚98/112点であった. Stroke Impairment Assessment Setの膝口テスト(SIAS膝口)は右4/5点,左5/5点,手指テスト(SIAS手指)は右1C/5点,左4/5点であった.Modified Ashworth Scaleの肘関節屈筋(MAS肘関節)は右2/4点,左1+/4点,手関節屈筋(MAS手関節)は右2/4点,左1+/4点と痙縮を認めた.Simple Test Evaluating Hand Function(STEF)において右26/100点,左64/100点,Box and Block test(BBT)は右21個,左35個であった.Functional Independence Measureが運動27点,認知35点であり,Spinal Cord Independence Measure(SCIM)セルフケア項目は2点であり,ADL全般介助を要している状態であった.
【方法】
作業療法は,入院時から4週時までRFE under cNMESを80分と通常作業療法を20分間実施した.評価項目は,SIAS膝口,SIAS手指,MAS肘関節,MAS手関節,STEF,BBT,SCIMのセルフケア項目を挙げ,介入時,2週時,4週時に実施した.
【結果】
結果は,入院時→2週時→4週時の順で示す.SIAS膝口は点数の変化は認めなかった.SIAS手指は右1C→2→2点,左4→4→5点に改善した.MAS肘関節は右2→1+→1+,左1+→1→1に軽減した.MAS手関節は右2→1+→1+,左1+→1→1に軽減した.STEFは右26→36→40点,左64→70→75点に改善した.BBT右21→26→35個,左35→49→50個に改善した.SCIMセルフケア項目は4→8→14点に改善した.
【考察】
CSM例の上肢麻痺に対して,RFE under cNMESや振動刺激を4週実施し,上肢機能と物品操作,セルフケア能力の改善が得られた.本症例は,RFE under cNMESと振動刺激により,上肢機能や痙縮が改善し,上肢操作が容易となったことでセルフケア動作の改善に寄与したと考える.