[PC-1-5] ポスター:呼吸器疾患 1重症COVID-19患者への作業療法介入の経験
【はじめに】 重症COVID-19患者に対する急性期のリハビリ介入は徐々に散見されるようになってきたが,回復期かつ作業療法(OT)介入による報告は少ない.今回,重症COVID-19に罹患し,酸素療法及び呼吸器症状が残存している患者に呼吸機能練習や運動療法,日常生活動作(ADL)練習等を実施した.徐々に呼吸器症状が軽減し,酸素療法が終了となって自宅退院に至ったため,以下に報告する.症例にはこの報告について,説明し同意を得た.
【症例紹介】 60歳代男性.身長173.5cm,体重87.4kg,BMI29.0.現病歴は発熱や咽頭痛,咳嗽,倦怠感を主訴に当院救急搬送され,COVID-19と診断.酸素療法及びステロイド治療を実施.5病日後に症状増悪のため転院.転院先では集中治療室でネーザルハイフロー療法(FiO2=0.8)管理されたが,気胸の併発や呼吸状態の増悪を繰り返した.27病日に隔離解除.29病日から理学療法のみ3日間実施したが,ADLは全般的に介助.32病日に在宅酸素療法の導入及びリハビリ目的で当院に再転院.33病日に理学療法とOTを開始.既往歴は糖尿病,高血圧,先端肥大症.入院前は独居で,ADL自立.仕事はアルバイト勤務.本人の希望は,酸素吸入なしでの自宅退院と復職であった.
【OT評価】 COVID-19の症状は咳嗽や喀痰,呼吸困難,倦怠感,不安感があった.酸素流量は3L投与された.ADLは全般的に介助で,SpO2>90%,修正Borg scaleは3で経過.mMRC scale:4.NRADL:20点.MMT:4.握力(右/左):30.4/28.7kg.MMSE:29点.HADS:不安6うつ8.6MWT:60m(38病日にRoom airで実施.開始から約1分後,距離30mでSpO2=85%へ低下)
【経過・結果】 当院転院後は呼吸器症状が残存し,酸素療法が継続していた.OT介入時にも咳嗽や呼吸困難を認め,積極的な介入は困難だった.酸素3L投与下でコンディショニングや呼吸機能練習,ベッド周囲ADL練習から開始し,徐々に低負荷での運動療法を開始.パルスオキシメータを用いてセルフモニタリングしながら,呼吸困難が軽減される動作を指導・練習した.練習中はSpO2>90%,修正Borg scaleは3で経過.病棟生活でもセルフモニタリングできるようにパルスオキシメータの使用を促した.39病日に酸素療法が終了し,入浴評価を実施.酸素化評価や動作指導,環境調整を実施し,評価後は看護師に情報提供して病棟ADLに繋げた.症例は自宅退院を希望しており,退院前カンファレンスにて今後の方針や各部門の役割確認を行なった.自宅退院の方針になり,ADL練習に加えて買い物等の手段的ADL練習を行なった.51病日に自宅退院となった.退院後はかかりつけ医での診察となり,外来OT介入はできなかった.COVID-19の症状は咳嗽,呼吸困難が残存.mMRC scale:2.NRADL:76点.MMT:5.握力(右/左):33.8/31.7kg.MMSE:未実施.HADS:不安3うつ7.6MWT:213m(Room airで SpO2>90%).退院後は家族の協力を得て,パルスオキシメータでモニタリングしながら,独居で生活している.復職には至らず.
【考察】 今回,酸素療法及び呼吸器症状がある症例に対して呼吸リハビリを行ない,呼吸器症状の軽減や運動耐容能が向上して自宅退院に至った.COVID-19患者にも呼吸リハビリは有効であると考える.反省として症例に外来OT介入ができなかったことである.昨今,集中力低下や記憶障害などのBrain fogが報告されている.COVID-19に罹患して呼吸器症状が残存した生活,または酸素療法を継続しながらの生活を余儀なくされた患者,Brain fogで日常生活に支障をきたしている患者は多く,今後も増加する可能性がある.生活障害を抱えたCOVID-19患者への治療チームの一員としてOTが参画し,フォローアップすることが求められると考える.
【症例紹介】 60歳代男性.身長173.5cm,体重87.4kg,BMI29.0.現病歴は発熱や咽頭痛,咳嗽,倦怠感を主訴に当院救急搬送され,COVID-19と診断.酸素療法及びステロイド治療を実施.5病日後に症状増悪のため転院.転院先では集中治療室でネーザルハイフロー療法(FiO2=0.8)管理されたが,気胸の併発や呼吸状態の増悪を繰り返した.27病日に隔離解除.29病日から理学療法のみ3日間実施したが,ADLは全般的に介助.32病日に在宅酸素療法の導入及びリハビリ目的で当院に再転院.33病日に理学療法とOTを開始.既往歴は糖尿病,高血圧,先端肥大症.入院前は独居で,ADL自立.仕事はアルバイト勤務.本人の希望は,酸素吸入なしでの自宅退院と復職であった.
【OT評価】 COVID-19の症状は咳嗽や喀痰,呼吸困難,倦怠感,不安感があった.酸素流量は3L投与された.ADLは全般的に介助で,SpO2>90%,修正Borg scaleは3で経過.mMRC scale:4.NRADL:20点.MMT:4.握力(右/左):30.4/28.7kg.MMSE:29点.HADS:不安6うつ8.6MWT:60m(38病日にRoom airで実施.開始から約1分後,距離30mでSpO2=85%へ低下)
【経過・結果】 当院転院後は呼吸器症状が残存し,酸素療法が継続していた.OT介入時にも咳嗽や呼吸困難を認め,積極的な介入は困難だった.酸素3L投与下でコンディショニングや呼吸機能練習,ベッド周囲ADL練習から開始し,徐々に低負荷での運動療法を開始.パルスオキシメータを用いてセルフモニタリングしながら,呼吸困難が軽減される動作を指導・練習した.練習中はSpO2>90%,修正Borg scaleは3で経過.病棟生活でもセルフモニタリングできるようにパルスオキシメータの使用を促した.39病日に酸素療法が終了し,入浴評価を実施.酸素化評価や動作指導,環境調整を実施し,評価後は看護師に情報提供して病棟ADLに繋げた.症例は自宅退院を希望しており,退院前カンファレンスにて今後の方針や各部門の役割確認を行なった.自宅退院の方針になり,ADL練習に加えて買い物等の手段的ADL練習を行なった.51病日に自宅退院となった.退院後はかかりつけ医での診察となり,外来OT介入はできなかった.COVID-19の症状は咳嗽,呼吸困難が残存.mMRC scale:2.NRADL:76点.MMT:5.握力(右/左):33.8/31.7kg.MMSE:未実施.HADS:不安3うつ7.6MWT:213m(Room airで SpO2>90%).退院後は家族の協力を得て,パルスオキシメータでモニタリングしながら,独居で生活している.復職には至らず.
【考察】 今回,酸素療法及び呼吸器症状がある症例に対して呼吸リハビリを行ない,呼吸器症状の軽減や運動耐容能が向上して自宅退院に至った.COVID-19患者にも呼吸リハビリは有効であると考える.反省として症例に外来OT介入ができなかったことである.昨今,集中力低下や記憶障害などのBrain fogが報告されている.COVID-19に罹患して呼吸器症状が残存した生活,または酸素療法を継続しながらの生活を余儀なくされた患者,Brain fogで日常生活に支障をきたしている患者は多く,今後も増加する可能性がある.生活障害を抱えたCOVID-19患者への治療チームの一員としてOTが参画し,フォローアップすることが求められると考える.