[PD-2-2] ポスター:運動器疾患 2多職種協働により在宅復帰に至った事例
【緒言】回復期リハビリテーション病棟での専門性を生かした多職種協働により在宅復帰が可能となった事例について報告する.
【事例】70歳代前半女性.BMI:15.2.転倒により骨折・入院を繰り返していたが公的サービスを利用せず,近隣に住む家族の支援を受けながら独居での在宅生活を送っていた.今回,自宅で転倒し当院に救急搬送,右大腿骨頚部骨折の診断で入院となり人工骨頭置換術(BHA)施行,15病日目に回復期リハ病棟に転棟し作業療法(OT)開始となる.尚,事例提示にあたってはヘルシンキ宣言に基づき,対象者には治療経過について個人が特定されない形で発表すること,個人情報保護対策について十分に説明し,同意を得た.
【評価・介入】初期評価時,サルコペニア診断基準2019でサルコペニアに区分される状況であった.面接では礼節保たれ,「家に帰りたい」との希望が強く聞かれていた.心身機能では術部NRS:4~8,破局的思考:PCS35,不安/うつ(HADS):12/14,運動恐怖TSK:46,握力(右/左):7.9/12.9Kg,膝伸展筋力(右/左):4.2/6.8kgf,FRT:30㎜,BBS:18.ADLは車椅子を使用し,FIM(運動項目/認知項目):32/24であった.事例は在宅復帰を希望する発言が聞かれていたが,多職種カンファレンスでは家族の意向と身体機能から独居困難と判断され施設入所方向となり施設内での自立した生活を目標としたOTを開始した.
【経過】
・身体機能向上期 低栄養,身体機能低下に加え,在宅復帰が困難と判断されたこと,認知・情動を含む疼痛によりリハに対して消極的な様子がみられた.主治医による全身状態の管理と服薬調整,栄養士による栄養状態の確認,看護師による心理的支援と共に,OT,PTによる疼痛と身体活動量増加に対する教育的介入と自己決定での運動療法を実施した.結果,栄養状態改善,活動量漸増に合わせて疼痛は徐々に軽快し,病棟内ADLに改善が図られた.
入院1か月経過し,身体機能やADL能力の改善が得られたため在宅復帰を検討した.家族は支援に消極的であったため,介護保険サービスを利用しながら生活することを前提に在宅復帰へ向けた支援を開始することとなった.
・在宅復帰へ向けた介入期
看護師,リハ担当者からケアマネジャーに情報提供した後に退院前訪問指導を実施し,在宅生活に必要な住環境や福祉用具,在宅サービスの検討を実施した.事例は在宅サービスを利用することに必要性を理解していたが,実際の利用については消極的な発言が聞かれていた.OTでは実際の生活場面を想定した動作を確認し,事例自身に利用サービスを検討し自己決定を促す介入を実施した.結果,福祉用具では自宅内で使用する歩行器の導入,住環境では家具を配置転換し,100病日目に在宅復帰に至った.
【結果】NRS:0~2,破局的思考PCS:24,不安/うつ(HADS):3/9,運動恐怖TSK:36,握力:11.9/15.9Kg,膝伸展筋力:8.6/15.6kgf,FRT:180㎜,BBS:46.FIM:74/27と改善がみられ,歩行器歩行で自宅退院となった.事例からは「家に帰れて嬉しい.終活をしていきたい.」との発言が聞かれた.
【考察】今回,回復期リハ病棟において在宅復帰が困難と判断された事例を担当した.事例に関わる多職種が各々の専門性を生かした介入をしたことが事例の納得と再発防止のための住環境整備を行ったうえでの自宅退院を可能とした要因と考える.
【事例】70歳代前半女性.BMI:15.2.転倒により骨折・入院を繰り返していたが公的サービスを利用せず,近隣に住む家族の支援を受けながら独居での在宅生活を送っていた.今回,自宅で転倒し当院に救急搬送,右大腿骨頚部骨折の診断で入院となり人工骨頭置換術(BHA)施行,15病日目に回復期リハ病棟に転棟し作業療法(OT)開始となる.尚,事例提示にあたってはヘルシンキ宣言に基づき,対象者には治療経過について個人が特定されない形で発表すること,個人情報保護対策について十分に説明し,同意を得た.
【評価・介入】初期評価時,サルコペニア診断基準2019でサルコペニアに区分される状況であった.面接では礼節保たれ,「家に帰りたい」との希望が強く聞かれていた.心身機能では術部NRS:4~8,破局的思考:PCS35,不安/うつ(HADS):12/14,運動恐怖TSK:46,握力(右/左):7.9/12.9Kg,膝伸展筋力(右/左):4.2/6.8kgf,FRT:30㎜,BBS:18.ADLは車椅子を使用し,FIM(運動項目/認知項目):32/24であった.事例は在宅復帰を希望する発言が聞かれていたが,多職種カンファレンスでは家族の意向と身体機能から独居困難と判断され施設入所方向となり施設内での自立した生活を目標としたOTを開始した.
【経過】
・身体機能向上期 低栄養,身体機能低下に加え,在宅復帰が困難と判断されたこと,認知・情動を含む疼痛によりリハに対して消極的な様子がみられた.主治医による全身状態の管理と服薬調整,栄養士による栄養状態の確認,看護師による心理的支援と共に,OT,PTによる疼痛と身体活動量増加に対する教育的介入と自己決定での運動療法を実施した.結果,栄養状態改善,活動量漸増に合わせて疼痛は徐々に軽快し,病棟内ADLに改善が図られた.
入院1か月経過し,身体機能やADL能力の改善が得られたため在宅復帰を検討した.家族は支援に消極的であったため,介護保険サービスを利用しながら生活することを前提に在宅復帰へ向けた支援を開始することとなった.
・在宅復帰へ向けた介入期
看護師,リハ担当者からケアマネジャーに情報提供した後に退院前訪問指導を実施し,在宅生活に必要な住環境や福祉用具,在宅サービスの検討を実施した.事例は在宅サービスを利用することに必要性を理解していたが,実際の利用については消極的な発言が聞かれていた.OTでは実際の生活場面を想定した動作を確認し,事例自身に利用サービスを検討し自己決定を促す介入を実施した.結果,福祉用具では自宅内で使用する歩行器の導入,住環境では家具を配置転換し,100病日目に在宅復帰に至った.
【結果】NRS:0~2,破局的思考PCS:24,不安/うつ(HADS):3/9,運動恐怖TSK:36,握力:11.9/15.9Kg,膝伸展筋力:8.6/15.6kgf,FRT:180㎜,BBS:46.FIM:74/27と改善がみられ,歩行器歩行で自宅退院となった.事例からは「家に帰れて嬉しい.終活をしていきたい.」との発言が聞かれた.
【考察】今回,回復期リハ病棟において在宅復帰が困難と判断された事例を担当した.事例に関わる多職種が各々の専門性を生かした介入をしたことが事例の納得と再発防止のための住環境整備を行ったうえでの自宅退院を可能とした要因と考える.