[PF-6-5] ポスター:がん 6胸水貯留を繰り返し酸素流量の決定と不安感軽減に難渋した肺癌を合併した気腫合併肺線維症の1例
【はじめに】肺癌を合併した気腫合併肺線維症の患者で胸水貯留を繰り返し,独居への不安に呼吸指導と共に,ADLを中心とした作業療法が有効であった症例を経験したので報告する. なお,本症例の同意はえている.
【症例】77歳男性,診断名は右肺癌,がん性胸膜炎疑い,気腫合併肺線維症.生活状況は独居で,家族との関係性は希薄.他院で肺炎との診断で抗生剤治療を施行,改善なく当院へ紹介され,精査と加療目的で入院.入院2日目より,リハビリテーション(以下リハ)介入となった.
【経過】リハ開始時,胸水貯留で胸腔ドレーン挿入中.安静時・労作時共に酸素は1 L使用しSpO2 90%前半で頻脈であった.主治医より床上安静指示とされ,活動量・ADLに低下が見られ廃用予防目的でリハ介入となった.抗癌剤治療を施行し一旦,胸腔ドレーン抜去となったが再び胸水貯留あり,咳嗽や息切れ,頻脈悪化を繰り返し,その都度,酸素流量が変更.また治療に伴う倦怠感や易疲労などの副作用により,動作への強い不安や意欲低下が出現.リ3ハでは移動動作練習,ADL練習を呼吸指導と共に実施していた.13日目に胸水貯留に伴い,安静時でも呼吸困難増強.その際に不眠などの訴えがあり,安静時のパニックコントロールを開始.呼吸困難から不安が強く出現し,リハでの動作・歩行拒否が出現.そこで呼吸困難と不安の軽減を目標とし,補助としてサークル型歩行器を使用した歩行練習に変更.補助具を使用することで酸素消費量が削減,呼吸困難と不安が軽減し,2輪カートで独歩可能となり活動量の拡大へとつながった.ADL練習では呼吸と動作の同調練習,活動量調整,環境調整,呼吸困難が起こりにくい姿勢と動作指導,休憩のタイミングを指導しながら実施.活動量が拡大すると酸素流量を自分で変更する場面もあり,主治医と共にスタッフ全員で指導.独居に対する不安が強いため,退院後に必要なことがすぐに確認できるよう,酸素流量,酸素ボンベの使い方や注意点,各所の電話番号,呼吸方法を1枚の書面にまとめて指導を行った.その結果,バーセルインデックスは15点から80点,NRADLは32点から43点に向上し,72日目,酸素流量が安静時2L,労作時5Lで安定しているため,自宅退院となった.
【考察とまとめ】独居による不安感などで心理的に苦悩する場面がみられた.今回,具体的な生活指導を行い,日常生活に必要な事項を1枚にまとめた書面にすることで,不安感の軽減につながったと考えられる.作業療法士として患者に寄り添い,死への不安を傾聴し作業療法を提供することで,自分らしい生活を保つことが可能となると実感した.
【症例】77歳男性,診断名は右肺癌,がん性胸膜炎疑い,気腫合併肺線維症.生活状況は独居で,家族との関係性は希薄.他院で肺炎との診断で抗生剤治療を施行,改善なく当院へ紹介され,精査と加療目的で入院.入院2日目より,リハビリテーション(以下リハ)介入となった.
【経過】リハ開始時,胸水貯留で胸腔ドレーン挿入中.安静時・労作時共に酸素は1 L使用しSpO2 90%前半で頻脈であった.主治医より床上安静指示とされ,活動量・ADLに低下が見られ廃用予防目的でリハ介入となった.抗癌剤治療を施行し一旦,胸腔ドレーン抜去となったが再び胸水貯留あり,咳嗽や息切れ,頻脈悪化を繰り返し,その都度,酸素流量が変更.また治療に伴う倦怠感や易疲労などの副作用により,動作への強い不安や意欲低下が出現.リ3ハでは移動動作練習,ADL練習を呼吸指導と共に実施していた.13日目に胸水貯留に伴い,安静時でも呼吸困難増強.その際に不眠などの訴えがあり,安静時のパニックコントロールを開始.呼吸困難から不安が強く出現し,リハでの動作・歩行拒否が出現.そこで呼吸困難と不安の軽減を目標とし,補助としてサークル型歩行器を使用した歩行練習に変更.補助具を使用することで酸素消費量が削減,呼吸困難と不安が軽減し,2輪カートで独歩可能となり活動量の拡大へとつながった.ADL練習では呼吸と動作の同調練習,活動量調整,環境調整,呼吸困難が起こりにくい姿勢と動作指導,休憩のタイミングを指導しながら実施.活動量が拡大すると酸素流量を自分で変更する場面もあり,主治医と共にスタッフ全員で指導.独居に対する不安が強いため,退院後に必要なことがすぐに確認できるよう,酸素流量,酸素ボンベの使い方や注意点,各所の電話番号,呼吸方法を1枚の書面にまとめて指導を行った.その結果,バーセルインデックスは15点から80点,NRADLは32点から43点に向上し,72日目,酸素流量が安静時2L,労作時5Lで安定しているため,自宅退院となった.
【考察とまとめ】独居による不安感などで心理的に苦悩する場面がみられた.今回,具体的な生活指導を行い,日常生活に必要な事項を1枚にまとめた書面にすることで,不安感の軽減につながったと考えられる.作業療法士として患者に寄り添い,死への不安を傾聴し作業療法を提供することで,自分らしい生活を保つことが可能となると実感した.