[PG-1-1] ポスター:内科疾患 1下部尿路症状のある中年女性に対する排尿カウンセリングによるQOLの変化
ADOCを併用した事例
【はじめに】下部尿路症状(以下LUTS)は女性のQOLを低減する(女性下部尿路症状ガイドライン2013).排尿カウンセリングは日本コンチネンス協会が電話相談で行っているが,匿名のため効果検証は困難である.今回,排尿カウンセリングの効果検証,更にADOCを用いLUTSやQOLの変化を捉える目的で症例検討を行った.
【対象】半年以上LUTSがあり受診歴がなく改善を指向する地域在住40歳代既婚女性.適切な飲水量1400ml/日.
【方法】排尿カウンセリングのみの期間とADOCを併用して目標設定を行った期間のLUTSをCLSS(主要症状質問票),OABSS(過活動膀胱質問票),QOLをコンチネンス自己効力感調査票,SF36v2,で比較.1日の排尿量・時間,LUTSを期間中3回測定.同日に飲水量,種類,時間の記載も依頼.
【倫理的配慮】東京都立大学荒川キャンパス研究倫理委員会にて承認(19081号).
【経過】≪初期評価:排尿カウンセリングの期間≫
LUTSは,CLSSで腹圧性尿失禁(以下SUI),切迫感,排尿時痛,残尿感等を認め9/30点.最も困る症状はSUI.OABSSは4/15点で軽度の過活動膀胱(以下OAB).排尿回数日中8~9回・夜間0~1回.飲水量1150m,排尿量610ml.カフェイン・アルコール飲料摂取あり.コンチネンス自己効力感調査票では93/160点.SF36v2(NBS)では,SF(社会生活機能):30.8,RE(日常役割機能):35.3,MH(心の健康):41.1であった.この結果より適切な飲水量,排尿を促す飲み物・タイミングの知識の供与,骨盤底筋訓練(以下PFMT)の指導を行った.期間中は毎日LUTS,PFMT実施回数の記録を依頼.排尿時痛等については受診を勧めた.
≪中間評価:排尿カウンセリングとADOCで目標設定をした期間≫
CLSSでLUTSは著変なく9点で,最も困る症状は残尿感.OABSSは3点でOABの改善を認めた.排尿回数日中6~9回・夜間0~1回.飲水量1300ml,排尿量1380ml.飲水種類著変なし.コンチネンス自己効力感調査票122点でPFMTは平均15/最大50/最小0回.SF36v2(NBS)では,SF:30.8,RE:43.8,MH:49.1と若干改善した.飲水量の増加,SUI・OABの改善を認めたが,前回同様の対応の継続を依頼した.ADOCでは,「1カ月以内に犬の散歩以外に運動する」を目標とした.
≪最終評価:排尿カウンセリングとADOCで目標設定した期間の終了時≫
CLSSでLUTSは著変なく8点,最も困る症状は残尿感.OABSSは2点.排尿回数日中変化なし・夜間0回.飲水量1100ml,排尿量1000ml.カフェイン飲料の摂取あり.コンチネンス自己効力感調査票139点.PFMTは平均11回/最大20/最小10回,と毎日実施.SF36v2(NBS)では,SF:50.5,RE:52.3,MH:59.7と国民平均以上に改善した.ADOCでは,ゲーム機を購入し,毎日自宅で全身運動,犬の散歩,PFMTが行えた.
【結果】最も困るSUIがこの期間中は消失していた.SF36v2では変化を認め,ADOCを実施した期間の方が上昇の傾きが大きかった.ADOCで生活を振り返ってゲーム機購入に至り,随時運動ができたと話した.
【考察】排尿カウンセリングで飲水や運動の知識の供与を行ったため,コンチネンス自己効力感は上昇したと考える.また,ADOCで生活全体を俯瞰したことで 運動習慣を作りたいと思っていたことに気付け,排尿症状の変化は少なかったが,SF36v2の改善がみられた. PFMTを継続して排尿症状が改善するとQOLが改善すると言われている(谷口2013)が,この症例において,排尿カウンセリングにADOCを組み合わせたことがQOLの改善を促した可能性がある.
【対象】半年以上LUTSがあり受診歴がなく改善を指向する地域在住40歳代既婚女性.適切な飲水量1400ml/日.
【方法】排尿カウンセリングのみの期間とADOCを併用して目標設定を行った期間のLUTSをCLSS(主要症状質問票),OABSS(過活動膀胱質問票),QOLをコンチネンス自己効力感調査票,SF36v2,で比較.1日の排尿量・時間,LUTSを期間中3回測定.同日に飲水量,種類,時間の記載も依頼.
【倫理的配慮】東京都立大学荒川キャンパス研究倫理委員会にて承認(19081号).
【経過】≪初期評価:排尿カウンセリングの期間≫
LUTSは,CLSSで腹圧性尿失禁(以下SUI),切迫感,排尿時痛,残尿感等を認め9/30点.最も困る症状はSUI.OABSSは4/15点で軽度の過活動膀胱(以下OAB).排尿回数日中8~9回・夜間0~1回.飲水量1150m,排尿量610ml.カフェイン・アルコール飲料摂取あり.コンチネンス自己効力感調査票では93/160点.SF36v2(NBS)では,SF(社会生活機能):30.8,RE(日常役割機能):35.3,MH(心の健康):41.1であった.この結果より適切な飲水量,排尿を促す飲み物・タイミングの知識の供与,骨盤底筋訓練(以下PFMT)の指導を行った.期間中は毎日LUTS,PFMT実施回数の記録を依頼.排尿時痛等については受診を勧めた.
≪中間評価:排尿カウンセリングとADOCで目標設定をした期間≫
CLSSでLUTSは著変なく9点で,最も困る症状は残尿感.OABSSは3点でOABの改善を認めた.排尿回数日中6~9回・夜間0~1回.飲水量1300ml,排尿量1380ml.飲水種類著変なし.コンチネンス自己効力感調査票122点でPFMTは平均15/最大50/最小0回.SF36v2(NBS)では,SF:30.8,RE:43.8,MH:49.1と若干改善した.飲水量の増加,SUI・OABの改善を認めたが,前回同様の対応の継続を依頼した.ADOCでは,「1カ月以内に犬の散歩以外に運動する」を目標とした.
≪最終評価:排尿カウンセリングとADOCで目標設定した期間の終了時≫
CLSSでLUTSは著変なく8点,最も困る症状は残尿感.OABSSは2点.排尿回数日中変化なし・夜間0回.飲水量1100ml,排尿量1000ml.カフェイン飲料の摂取あり.コンチネンス自己効力感調査票139点.PFMTは平均11回/最大20/最小10回,と毎日実施.SF36v2(NBS)では,SF:50.5,RE:52.3,MH:59.7と国民平均以上に改善した.ADOCでは,ゲーム機を購入し,毎日自宅で全身運動,犬の散歩,PFMTが行えた.
【結果】最も困るSUIがこの期間中は消失していた.SF36v2では変化を認め,ADOCを実施した期間の方が上昇の傾きが大きかった.ADOCで生活を振り返ってゲーム機購入に至り,随時運動ができたと話した.
【考察】排尿カウンセリングで飲水や運動の知識の供与を行ったため,コンチネンス自己効力感は上昇したと考える.また,ADOCで生活全体を俯瞰したことで 運動習慣を作りたいと思っていたことに気付け,排尿症状の変化は少なかったが,SF36v2の改善がみられた. PFMTを継続して排尿症状が改善するとQOLが改善すると言われている(谷口2013)が,この症例において,排尿カウンセリングにADOCを組み合わせたことがQOLの改善を促した可能性がある.