[PG-2-1] ポスター:内科疾患 2COVID-19による新しい生活様式への変化に対して良好な血糖コントロールに必要な因子の検討
【諸言】
COVID-19の拡大により多くの人々が生活様式に大きな変化が起こり,糖尿病患者にとっても身体的・精神的・社会的に活動制限が伴うことによって血糖コントロールに影響を及ぼしていると考える.糖尿病患者ではCOVID-19の重症化リスクが高くなることが示されており,重症化を防ぐためにも新しい生活様式に適応することで良好な血糖コントロールが求められる.
【目的】
当院では,教育入院から外来受診時の療養指導に多職種協同での「糖尿病支援チーム」を組織し,作業療法士(以下OT)も自己管理行動の支援を行なっている.当院作成のOT介入プロトコールによる介入(PAID評価や精神心理面の評価,QOL評価など)の情報を教育指導に活かすことで,患者の個別性を重視した介入が可能となり,自己管理行動の支援に繋がっている.今回,新しい生活様式への変化に対してアンケートとHbA1cの推移を調査し,良好な血糖コントロールに必要な因子を報告する.
【方法】
当院にて糖尿病教育入院後に外来通院を継続している症例16名(男性:14名,女性:2名,就業率:44%,平均年齢:59.6歳,平均HbA1c:生活様式変化前8.8%)に対して,外来受診時にOTが新しい生活様式に対する変化についてのアンケート(食事,運動,服薬,精神心理面,活動と参加の項目について,行った・変わらない・行っていないを聴取)を行い,また変化前後のHbA1cの推移を後方視的に調査した.なお,対象者に本発表の趣旨を文書及び口頭で説明し同意を得た.
【結果】
アンケート結果では,運動への取り組み(変化前:38%,変化後:19%)と精神心理面の悪化(変化前:31%,変化後:50%)や「活動と参加」の悪化(変化前:25%,変化後:44%)の変化が大きかった.食事は悪化したと感じている(変化前25%,変化後19%)と改善あり, 服薬の継続は(変化前13%,変化後13%)変化が少なかった.平均HbA1cの推移は全体的に改善傾向(変化前:8.8%から変化後:7.6%)であったが,精神心理面や「活動と参加」の変化が大きい症例で悪化傾向であった.
【考察】
新しい生活様式に変化によって全体的な活動への取り組みは減少傾向であったが,元の生活様式と大きく変化している症例が少なく,COVID-19感染による「活動と参加」制限や重症化への恐れから生活習慣が是正されていたことがHbA1cの改善に繋がっていると考える.ICF(国際生活機能分類)は健康の構成要素の分類であり,「生きることの全体像」を示している.その中でも「活動と参加」は生きがいや目指すべき治療目標となると考える.患者の多くは個別性に富んだ問題を抱えているが,「活動と参加」への配慮は十分とは言えない現状がある.そのため,OTの評価結果を多職種で共有することで統一した関わりの中で治療効果やQOL向上に向けた行動変容を導くことが出来ると考える.
【結語】
糖尿病治療の目標は,良好な血糖コントロールによって合併症の発症・増悪を予防し,健常人と同様のQOLや寿命を全うすることとなる.そのためには,新しい生活様式の変化に適応することが患者の最終的な治療目標となり,生きがいとなる「活動と参加」へ与える影響に対して評価・支援が出来る専門性を有しているOTの積極的な 介入が求められる.
COVID-19の拡大により多くの人々が生活様式に大きな変化が起こり,糖尿病患者にとっても身体的・精神的・社会的に活動制限が伴うことによって血糖コントロールに影響を及ぼしていると考える.糖尿病患者ではCOVID-19の重症化リスクが高くなることが示されており,重症化を防ぐためにも新しい生活様式に適応することで良好な血糖コントロールが求められる.
【目的】
当院では,教育入院から外来受診時の療養指導に多職種協同での「糖尿病支援チーム」を組織し,作業療法士(以下OT)も自己管理行動の支援を行なっている.当院作成のOT介入プロトコールによる介入(PAID評価や精神心理面の評価,QOL評価など)の情報を教育指導に活かすことで,患者の個別性を重視した介入が可能となり,自己管理行動の支援に繋がっている.今回,新しい生活様式への変化に対してアンケートとHbA1cの推移を調査し,良好な血糖コントロールに必要な因子を報告する.
【方法】
当院にて糖尿病教育入院後に外来通院を継続している症例16名(男性:14名,女性:2名,就業率:44%,平均年齢:59.6歳,平均HbA1c:生活様式変化前8.8%)に対して,外来受診時にOTが新しい生活様式に対する変化についてのアンケート(食事,運動,服薬,精神心理面,活動と参加の項目について,行った・変わらない・行っていないを聴取)を行い,また変化前後のHbA1cの推移を後方視的に調査した.なお,対象者に本発表の趣旨を文書及び口頭で説明し同意を得た.
【結果】
アンケート結果では,運動への取り組み(変化前:38%,変化後:19%)と精神心理面の悪化(変化前:31%,変化後:50%)や「活動と参加」の悪化(変化前:25%,変化後:44%)の変化が大きかった.食事は悪化したと感じている(変化前25%,変化後19%)と改善あり, 服薬の継続は(変化前13%,変化後13%)変化が少なかった.平均HbA1cの推移は全体的に改善傾向(変化前:8.8%から変化後:7.6%)であったが,精神心理面や「活動と参加」の変化が大きい症例で悪化傾向であった.
【考察】
新しい生活様式に変化によって全体的な活動への取り組みは減少傾向であったが,元の生活様式と大きく変化している症例が少なく,COVID-19感染による「活動と参加」制限や重症化への恐れから生活習慣が是正されていたことがHbA1cの改善に繋がっていると考える.ICF(国際生活機能分類)は健康の構成要素の分類であり,「生きることの全体像」を示している.その中でも「活動と参加」は生きがいや目指すべき治療目標となると考える.患者の多くは個別性に富んだ問題を抱えているが,「活動と参加」への配慮は十分とは言えない現状がある.そのため,OTの評価結果を多職種で共有することで統一した関わりの中で治療効果やQOL向上に向けた行動変容を導くことが出来ると考える.
【結語】
糖尿病治療の目標は,良好な血糖コントロールによって合併症の発症・増悪を予防し,健常人と同様のQOLや寿命を全うすることとなる.そのためには,新しい生活様式の変化に適応することが患者の最終的な治療目標となり,生きがいとなる「活動と参加」へ与える影響に対して評価・支援が出来る専門性を有しているOTの積極的な 介入が求められる.