[PI-2-5] ポスター:発達障害 2学校教員による児童・生徒の不器用さに対する支援に関するアンケート調査
【はじめに】
発達性協調運動障害の有病率は学齢期児童の5~6%であり,そのうち50~70%は青年期,成人期まで継続すると報告されている.協調運動の問題に対して早期より療育的介入が試行されているが,高等学校を含む青年期を対象とした支援に関する報告は少ない.そこで今回,保育,教育現場における「不器用さ」に対する取り組み状況を明らかにすることを目的に,幼稚園や小中高等学校,高等部を含む特別支援学校の教員にアンケート調査を実施した.また,これは今後作業療法士が特別支援学校高等部に訪問支援を行うための予備的調査である.
【方法】
対象は特別支援学校高等部主催の発達障害に関する研修会に出席の幼稚園,小中高等学校,特別支援学校教員107名.方法は研修会開催1か月前よりWebアンケートを実施し,メールによる返信もしくは研修会時に回収した.アンケートは無記名自由記述とし,設問は1)対象者所属,2)明らかな運動障害や重度の知的障害がない児童,生徒に対して①不器用さを感じる場面,②不器用さへの対応・支援,③支援時の困り事,悩み事である.書面にて研究目的を説明し,アンケートの回収により調査協力への同意とみなした.得られた記述内容をラベル化し,設問ごとに類似のラベルをまとめカテゴリー化し分析した.本研究は姫路獨協大学生命倫理委員会の承認を得ている.
【結果】
回収率36%,有効回収率34%(36名/107名),所属は幼稚園5名,小学校通常学級・通級指導・特別支援学校小学部13名,中学校通常学級・通級指導4名,高等学校・特別支援学校高等部13名,養護教諭1名であった.得られたカテゴリー数は,設問➀は4,設問②は8,設問③は7であった.以下にラベルを“ ”,カテゴリーを「」で示す.①不器用さを感じる場面は,“戸外での遊び”などの「遊び」や,“体育”や“工作時のハサミの扱い”等の「実技教科」,“書字”や“定規の使用“といった「座学での活動」,そして“更衣”等の「ADL」であった.中学高等校では“詰襟のホック”や“髪結い”等の身辺動作も「ADL」に加わった.②対応・支援は,幼稚園や小学校では,“指先を使ったゲーム”など「活動を通して力を育む」ことや,“手を添える”「補助」などの個別な関わりが多かった.“箸の持ち方を教える”といった「指導・助言」は全年代に見られ,高校では“(実習時に)点検の仕方を伝える”といった自己確認の助言もあった.また,課題ごとに“図示や写真でモデルを示す”などの「見本提示」や「スモールステップ」,「反復練習」も実施されていた.中高等学校では「補助具の活用」や,“姿勢の確認”などの「評価」がみられた.③困り事は,幼稚園や小学校で“この支援方法であっているのか”という「支援方法や方向性に対する不安」が多く,その他“うまく説明できない”等の「伝え方」や,“意欲低下”や“くじけやすい”など「心理面への配慮」,「効果の見られにくさ」が全年代で見られた.また少数だが,“個人差がある”などの「障害特性」や,“継続することが難しい”といった環境要因に係る「実施の難しさ」があった.「悩みなし」もあった.
【考察】
保育,教育現場では,先行研究の報告と同じく児の力を育む関わりやスモールステップ,補助具の利用等の支援をしているものの,支援方法の判断や効果の見られにくさなど不安を抱えていることが明らかになった.求められる活動レベルが高くなる青年期では,運動スキルの向上より代替手段の獲得を支援する傾向にあると考えた.作業療法士は,個別性の高い障害特性を捉え,具体的な支援手段を提案することが求められると考える.
発達性協調運動障害の有病率は学齢期児童の5~6%であり,そのうち50~70%は青年期,成人期まで継続すると報告されている.協調運動の問題に対して早期より療育的介入が試行されているが,高等学校を含む青年期を対象とした支援に関する報告は少ない.そこで今回,保育,教育現場における「不器用さ」に対する取り組み状況を明らかにすることを目的に,幼稚園や小中高等学校,高等部を含む特別支援学校の教員にアンケート調査を実施した.また,これは今後作業療法士が特別支援学校高等部に訪問支援を行うための予備的調査である.
【方法】
対象は特別支援学校高等部主催の発達障害に関する研修会に出席の幼稚園,小中高等学校,特別支援学校教員107名.方法は研修会開催1か月前よりWebアンケートを実施し,メールによる返信もしくは研修会時に回収した.アンケートは無記名自由記述とし,設問は1)対象者所属,2)明らかな運動障害や重度の知的障害がない児童,生徒に対して①不器用さを感じる場面,②不器用さへの対応・支援,③支援時の困り事,悩み事である.書面にて研究目的を説明し,アンケートの回収により調査協力への同意とみなした.得られた記述内容をラベル化し,設問ごとに類似のラベルをまとめカテゴリー化し分析した.本研究は姫路獨協大学生命倫理委員会の承認を得ている.
【結果】
回収率36%,有効回収率34%(36名/107名),所属は幼稚園5名,小学校通常学級・通級指導・特別支援学校小学部13名,中学校通常学級・通級指導4名,高等学校・特別支援学校高等部13名,養護教諭1名であった.得られたカテゴリー数は,設問➀は4,設問②は8,設問③は7であった.以下にラベルを“ ”,カテゴリーを「」で示す.①不器用さを感じる場面は,“戸外での遊び”などの「遊び」や,“体育”や“工作時のハサミの扱い”等の「実技教科」,“書字”や“定規の使用“といった「座学での活動」,そして“更衣”等の「ADL」であった.中学高等校では“詰襟のホック”や“髪結い”等の身辺動作も「ADL」に加わった.②対応・支援は,幼稚園や小学校では,“指先を使ったゲーム”など「活動を通して力を育む」ことや,“手を添える”「補助」などの個別な関わりが多かった.“箸の持ち方を教える”といった「指導・助言」は全年代に見られ,高校では“(実習時に)点検の仕方を伝える”といった自己確認の助言もあった.また,課題ごとに“図示や写真でモデルを示す”などの「見本提示」や「スモールステップ」,「反復練習」も実施されていた.中高等学校では「補助具の活用」や,“姿勢の確認”などの「評価」がみられた.③困り事は,幼稚園や小学校で“この支援方法であっているのか”という「支援方法や方向性に対する不安」が多く,その他“うまく説明できない”等の「伝え方」や,“意欲低下”や“くじけやすい”など「心理面への配慮」,「効果の見られにくさ」が全年代で見られた.また少数だが,“個人差がある”などの「障害特性」や,“継続することが難しい”といった環境要因に係る「実施の難しさ」があった.「悩みなし」もあった.
【考察】
保育,教育現場では,先行研究の報告と同じく児の力を育む関わりやスモールステップ,補助具の利用等の支援をしているものの,支援方法の判断や効果の見られにくさなど不安を抱えていることが明らかになった.求められる活動レベルが高くなる青年期では,運動スキルの向上より代替手段の獲得を支援する傾向にあると考えた.作業療法士は,個別性の高い障害特性を捉え,具体的な支援手段を提案することが求められると考える.