[PI-3-1] ポスター:発達障害 3肢体不自由児における,生活動作の自立度向上を目指した集中リハビリテーションの効果
【はじめに】体格の成長によって機能向上が望みにくくなるとされる10歳未満の時期での集中リハビリテーション(以下,集中リハ)が推奨されている.集中リハにおける粗大運動能力の向上に関する報告は多いが,生活動作の自立度に関する報告は少ない.また,朝貝(2020)は,肢体不自由児は,介助され受け身になることが多く,依存心が増したり,消極的になったりすると報告しており,将来的な介護負担の増加が懸念される.今回,生活動作に対し消極的・依存的な外傷性脳損傷児に,目標設定の工夫や病棟内での自主練習,生活動作への汎化に繋がるような多職種連携を行い,生活動作の自立度向上を認めたため以下に報告する.本報告は対象児と保護者に同意を得ている.また,当センターの倫理審査委員会の許可を得ている.
【症例紹介】9歳男児.X年に外傷性脳損傷による痙性四肢麻痺を呈し,X+3年に粗大運動・上肢機能・生活動作・言語訓練目的に当センターに入院.Brunnstrom Recovery stage(右/左)上肢Ⅴ/Ⅴ,手指Ⅴ/Ⅵ,下肢Ⅳ/Ⅳ(参考値:GMFCSレベルⅣ,MACSレベルⅡ),WISC-ⅣでIQ76,地域の学校の特別支援学級に在籍している.入院前より週2回訪問リハ(PT,OT)と月1回当センターの外来リハ(PT,OT,ST)を利用していた.生活動作は妹・弟の世話等の時間的制約によりほぼ全介助で,本人は介助されることが普通だと認識していた.遂行場面では「できない」「やって下さい」とネガティブ・依存的な発言が聞かれた.
【評価】目標設定はCanadian Occupational Performance Measure(COPM)を用い,遂行度と満足度の調査を行った.上肢機能はSimple Test for Evaluating Hand Function(STEF),Box and Block Test(BBT),Action Research Arm Test(ARAT),Fugl-Meyer Assessment(FMA),下肢機能はGross Motor Function Measure-88(GMFM-88),生活動作は障害児の包括的評価表マニュアルの基本的ADL評価法(JASPER・ADL Ver3.2)を用い,介入前後,介入から1年後に評価した.
【介入方法】週5日,1日2時間のリハ(PT,OT,ST)と,自主練習を58日間実施.リハは Constraint-induced movement therapyを参考に課題指向型リハを実施.目標は成功体験に繋がるよう,短期間で達成可能な目標に修正した.また,リハ場面で実施可能な動作を病棟生活場面で取り組められるよう,病棟スタッフと連携し生活場面への汎化を図った.
【結果(入院時/退院時/1年後)】COPM(遂行度):3.8/4.8,COPM(満足度):5.0/4.0,STEF(右):35点/56点/63点,STEF(左):85点/93点/96点,BBT(右):16個/22個/24個,BBT(左):28個/31個/45個,ARAT(右):51点/52点/54点,FMA(右):55点/56点/56点,GMFM-88(総合点):59%/65%/66%,JASPER(自立度):61/83/103,JASPER(介助度):78/59/49と変化した.本人からは「自分でやる」「手伝わないで」などポジティブな発言が聞かれるようになった.COPMは退院後に再設定したため入院時と退院時の評価のみとした.
【考察】本人主体で目標決定することで,リハに対するモチベーションの維持ができた.また,達成可能な目標に修正したことで成功体験に繋がり,自信や挑戦する気持ちなどの行動変容が見られ,持続的な生活動作の自立度向上が得られた.リハで得られた機能を生活場面に汎化させるためには,病棟生活で介助を減らし,自身で取り組められるように病棟スタッフと連携が重要である.集中リハにおける作業療法士の役割として,本人主体に取り組める支援を行うとともに,病棟スタッフとの連携を行い,生活場面で本人の力が発揮でき,持続可能となる環境調整が必要だと考える.
【症例紹介】9歳男児.X年に外傷性脳損傷による痙性四肢麻痺を呈し,X+3年に粗大運動・上肢機能・生活動作・言語訓練目的に当センターに入院.Brunnstrom Recovery stage(右/左)上肢Ⅴ/Ⅴ,手指Ⅴ/Ⅵ,下肢Ⅳ/Ⅳ(参考値:GMFCSレベルⅣ,MACSレベルⅡ),WISC-ⅣでIQ76,地域の学校の特別支援学級に在籍している.入院前より週2回訪問リハ(PT,OT)と月1回当センターの外来リハ(PT,OT,ST)を利用していた.生活動作は妹・弟の世話等の時間的制約によりほぼ全介助で,本人は介助されることが普通だと認識していた.遂行場面では「できない」「やって下さい」とネガティブ・依存的な発言が聞かれた.
【評価】目標設定はCanadian Occupational Performance Measure(COPM)を用い,遂行度と満足度の調査を行った.上肢機能はSimple Test for Evaluating Hand Function(STEF),Box and Block Test(BBT),Action Research Arm Test(ARAT),Fugl-Meyer Assessment(FMA),下肢機能はGross Motor Function Measure-88(GMFM-88),生活動作は障害児の包括的評価表マニュアルの基本的ADL評価法(JASPER・ADL Ver3.2)を用い,介入前後,介入から1年後に評価した.
【介入方法】週5日,1日2時間のリハ(PT,OT,ST)と,自主練習を58日間実施.リハは Constraint-induced movement therapyを参考に課題指向型リハを実施.目標は成功体験に繋がるよう,短期間で達成可能な目標に修正した.また,リハ場面で実施可能な動作を病棟生活場面で取り組められるよう,病棟スタッフと連携し生活場面への汎化を図った.
【結果(入院時/退院時/1年後)】COPM(遂行度):3.8/4.8,COPM(満足度):5.0/4.0,STEF(右):35点/56点/63点,STEF(左):85点/93点/96点,BBT(右):16個/22個/24個,BBT(左):28個/31個/45個,ARAT(右):51点/52点/54点,FMA(右):55点/56点/56点,GMFM-88(総合点):59%/65%/66%,JASPER(自立度):61/83/103,JASPER(介助度):78/59/49と変化した.本人からは「自分でやる」「手伝わないで」などポジティブな発言が聞かれるようになった.COPMは退院後に再設定したため入院時と退院時の評価のみとした.
【考察】本人主体で目標決定することで,リハに対するモチベーションの維持ができた.また,達成可能な目標に修正したことで成功体験に繋がり,自信や挑戦する気持ちなどの行動変容が見られ,持続的な生活動作の自立度向上が得られた.リハで得られた機能を生活場面に汎化させるためには,病棟生活で介助を減らし,自身で取り組められるように病棟スタッフと連携が重要である.集中リハにおける作業療法士の役割として,本人主体に取り組める支援を行うとともに,病棟スタッフとの連携を行い,生活場面で本人の力が発揮でき,持続可能となる環境調整が必要だと考える.