[PI-8-5] ポスター:発達障害 8当院の肢体不自由児におけるADOC-Sを用いた目標共有に対する取り組みについて
OTに実施したアンケート結果の分析
【はじめに】
当院では,肢体不自由児の外来リハビリで本人・家族との目標共有の促進を目的にAid for Decision in Occupation Choice for School(以下,ADOC-S)を今年度より導入した.ADOC-Sの導入後に肢体不自由児担当OT(以下,小児OT)に「ADOC-S導入前後の目標共有について」アンケートを行うと,特に経験年数の浅い職員を中心に小児OT全体でADOC-Sの導入により本人・家族との目標共有が促進されたことが分かった.また,「活動・参加面の目標」設定の重要性についても検討したため,以下に報告する.
【対象・方法】
ADOC-Sの実施は,小児OT8名が,各々リハビリを担当している対象者に行った.今回の対象者は,当院外来作業療法を1回/1〜2週で通う3〜18歳の患者様(脳性麻痺,その他の脳血管疾患,精神運動発達遅滞,遺伝子疾患)もしくはその両親とした.また,対象の脳性麻痺児の粗大運動能力をGMFCSⅠ〜Ⅳレベルとし,その他の疾患でも,同等レベルの児を対象にした.ADOC-S実施後,小児OTに対象者ごとのアンケートの記載を依頼した.アンケート内容は(1)ADOC-S導入により目標共有を行いやすくなったか,(2)ADOC-S導入前の目標共有の状態(目標共有を行えていたか,目標設定の内容),(3)自由記載の3点を聴取した.尚,発表にあたり小児O Tの方々には同意を得ている.
【結果】
アンケートは対象者29名分を回収することができた.
(1)29名中25名の対象者でADOC-Sの導入により目標共有が行いやすくなったと回答があった.目標共有が行えなかった4名の主な理由は,「現在,活動・参加面のニーズが無い」が挙げられた.
(2)ADOC-S導入前の目標共有については9名の対象者と目標共有を上手く行えていなかったが,そのうち7名が, ADOC-Sの導入により目標共有を行うことができたと回答した.目標共有を上手く行えていなかった9名の目標設定は,5名が「心身機能面の目標」,2名は「活動・参加面の目標」,残りの2名で「目標設定自体が上手くできていなかった」と回答した.導入前より目標共有を行えていると回答した16名全員が「活動・参加面の目標」を設定していた.
(3)自由記載では,経験年数が2年未満の小児OTで「本人・家族と目標について話し合う機会があまり作れていなかったため,良い機会となった」という意見が多く聞かれた.また,経験年数が2年以上の小児OTでも「本人・家族と改めて目標を整理する機会となった」という意見が多く聞かれた.
【考察】
ADOC-Sの導入前は,対象者の約3割と目標共有を上手く行えていなかった.経験年数が2年未満の小児OTの多くが,目標共有を上手く行えていないと感じていた.経験年数が2年以上の小児OTでも目標共有を上手く行えていないと感じていた方がいた.そのため,本人・家族と目標やその関連事項を話し合う機会を設けるためにもADOC-Sは有効であったと考える.
また, ADOC-Sの導入前は目標共有を上手く行えていなかったと回答した内の約半数が「心身機能面の目標」を設定していた.そして導入前より目標共有を行えていたと回答した中に,「心身機能面の目標」の設定をしている方は1人もいなかった.このことから「心身機能面の目標」は,「目標達成が見えにくい」などの理由から本人・家族と目標共有がされにくいと考える.一方,「活動・参加面の目標」では「目標達成が見えやすい」,「目標達成が日常生活へ汎化されやすい」などの点で,本人・家族も目標共有しやすいと考える.目標を共有しやすい分,本人・家族も日常生活の中で目標を意識しやすくなり,治療効果にも繋がると考える.以上より「活動・参加面の目標」の共有が大事である点を鑑みてADOC-Sの使用は有効であったと考える.
当院では,肢体不自由児の外来リハビリで本人・家族との目標共有の促進を目的にAid for Decision in Occupation Choice for School(以下,ADOC-S)を今年度より導入した.ADOC-Sの導入後に肢体不自由児担当OT(以下,小児OT)に「ADOC-S導入前後の目標共有について」アンケートを行うと,特に経験年数の浅い職員を中心に小児OT全体でADOC-Sの導入により本人・家族との目標共有が促進されたことが分かった.また,「活動・参加面の目標」設定の重要性についても検討したため,以下に報告する.
【対象・方法】
ADOC-Sの実施は,小児OT8名が,各々リハビリを担当している対象者に行った.今回の対象者は,当院外来作業療法を1回/1〜2週で通う3〜18歳の患者様(脳性麻痺,その他の脳血管疾患,精神運動発達遅滞,遺伝子疾患)もしくはその両親とした.また,対象の脳性麻痺児の粗大運動能力をGMFCSⅠ〜Ⅳレベルとし,その他の疾患でも,同等レベルの児を対象にした.ADOC-S実施後,小児OTに対象者ごとのアンケートの記載を依頼した.アンケート内容は(1)ADOC-S導入により目標共有を行いやすくなったか,(2)ADOC-S導入前の目標共有の状態(目標共有を行えていたか,目標設定の内容),(3)自由記載の3点を聴取した.尚,発表にあたり小児O Tの方々には同意を得ている.
【結果】
アンケートは対象者29名分を回収することができた.
(1)29名中25名の対象者でADOC-Sの導入により目標共有が行いやすくなったと回答があった.目標共有が行えなかった4名の主な理由は,「現在,活動・参加面のニーズが無い」が挙げられた.
(2)ADOC-S導入前の目標共有については9名の対象者と目標共有を上手く行えていなかったが,そのうち7名が, ADOC-Sの導入により目標共有を行うことができたと回答した.目標共有を上手く行えていなかった9名の目標設定は,5名が「心身機能面の目標」,2名は「活動・参加面の目標」,残りの2名で「目標設定自体が上手くできていなかった」と回答した.導入前より目標共有を行えていると回答した16名全員が「活動・参加面の目標」を設定していた.
(3)自由記載では,経験年数が2年未満の小児OTで「本人・家族と目標について話し合う機会があまり作れていなかったため,良い機会となった」という意見が多く聞かれた.また,経験年数が2年以上の小児OTでも「本人・家族と改めて目標を整理する機会となった」という意見が多く聞かれた.
【考察】
ADOC-Sの導入前は,対象者の約3割と目標共有を上手く行えていなかった.経験年数が2年未満の小児OTの多くが,目標共有を上手く行えていないと感じていた.経験年数が2年以上の小児OTでも目標共有を上手く行えていないと感じていた方がいた.そのため,本人・家族と目標やその関連事項を話し合う機会を設けるためにもADOC-Sは有効であったと考える.
また, ADOC-Sの導入前は目標共有を上手く行えていなかったと回答した内の約半数が「心身機能面の目標」を設定していた.そして導入前より目標共有を行えていたと回答した中に,「心身機能面の目標」の設定をしている方は1人もいなかった.このことから「心身機能面の目標」は,「目標達成が見えにくい」などの理由から本人・家族と目標共有がされにくいと考える.一方,「活動・参加面の目標」では「目標達成が見えやすい」,「目標達成が日常生活へ汎化されやすい」などの点で,本人・家族も目標共有しやすいと考える.目標を共有しやすい分,本人・家族も日常生活の中で目標を意識しやすくなり,治療効果にも繋がると考える.以上より「活動・参加面の目標」の共有が大事である点を鑑みてADOC-Sの使用は有効であったと考える.