[PJ-5-5] ポスター:高齢期 5農園芸の機会を剥奪された患者に対する作業療法士の実践の質的解明
【はじめに】
植物の必要性は多くの医療従事者に認知され,様々な効果が認められているにも関わらず,実施には場所や資金不足など多くの外的問題がある上,季節や天候の影響や植物の生育期間の長さが医学的リハビリの範疇では利用しにくいという現状がある(山根寛,2009).一方,高齢者にとって大変興味関心が高く,やりたい作業の1つに農園芸がある.しかし入院を機に外的要因から農園芸ができなくなる剥奪の状態にある患者は少なくない.そこで本研究の目的は,入院により農園芸を作業剥奪された患者に対して,園芸活動実践のために作業療法士(以下,OT)がどのように活動するかの特徴を質的に明らかにし,理論的枠組みを作成することである.
【方法】
対象は,一般病院に勤務かつ園芸療法実践の経験が5年ある30歳代の作業療法士1名である.研究デザインは質的研究である.調査方法はインタビューガイドに沿って半構造化面接をZoomで60分程度実施.分析方法は,構造構成的質的研究法を主とし,カテゴリー分類を行った後,特徴をモデル図で可視化した.データ分析は,分析過程が明示的で小規模データに適応可能なSteps for Coding And Theorization(SCAT)を用いた.本研究は,吉備国際大学倫理審査委員会の承認(20-13)を得ている.
【結果】
SCATで生成されたテーマ構成概念を意味コードとして,意味コードからテーマ『 』,テーマからカテゴリー【 】を生成した.テーマ・構成概念52,テーマ25,カテゴリー8であった.
理論的枠組みは,OTが入院により【作業剥奪+作業疎外】の状態にある患者に対し,【その人らしい園芸支援のための理想像】を根底に,【リスク管理と支援者確保のための多職種連携】,【患者の能力や背景に合わせた対応】,【物理的環境への対応】を行いながら,地道に【園芸推進運動】を行う実践がある.実践の結果として,【患者の作業機能障害の改善とOTへの波及効果】が確認され,【未来につながる園芸活動】の継続を可能とする概念図が立ち現れた.
【考察】
OTは『介入方法の選択肢の提示』を行うこと,そして園芸活動を選択した場合,『クライエントの希望に沿った活動』,『人と植物が共生できる空間の創生』,『外的問題で園芸を剥奪されることのない自由に使える環境』という【その人らしい園芸支援のための理想像】を実践のベースに持っていた.その上で,OTは,【作業剥奪+作業疎外】の患者に対して『医師と連携したリスク管理』や『多職種との情報共有と支援者数の確保』という【リスク管理と支援者確保のための多職種連携】,『難易度調整』や『馴染みのある作業の選択』等の【患者の能力や背景に合わせた対応】,『勤務時間外での準備』や『メンテナンスのしやすい道具の選択』等という【物理的環境への対応】の全てに対応することが必要であったと考える.そして,医療制度の中で園芸活動を実施していくには, 『メインとなる季節の園芸活動への部分的な関わり』や『短期間で育つ野菜中心の活動』といった植物の成長と医療の範疇に合わせたプログラムを立案していると考える.
さらに高齢者施設での園芸活動は参加する患者だけでなく支援する職員にも良好な影響を与えるとされている(増谷順子,2015)が,医療機関においても『自律性の向上』,『充足感と仕事のやりがいの獲得』等【患者の作業機能障害の改善とOTへの波及効果】が確認され先行研究と同様の結果となった.これは,患者とOTが一緒に『五感を通して充足感で満たされる活動』と『未来を創生する活動』の連続性を体験しているためだと考える.
植物の必要性は多くの医療従事者に認知され,様々な効果が認められているにも関わらず,実施には場所や資金不足など多くの外的問題がある上,季節や天候の影響や植物の生育期間の長さが医学的リハビリの範疇では利用しにくいという現状がある(山根寛,2009).一方,高齢者にとって大変興味関心が高く,やりたい作業の1つに農園芸がある.しかし入院を機に外的要因から農園芸ができなくなる剥奪の状態にある患者は少なくない.そこで本研究の目的は,入院により農園芸を作業剥奪された患者に対して,園芸活動実践のために作業療法士(以下,OT)がどのように活動するかの特徴を質的に明らかにし,理論的枠組みを作成することである.
【方法】
対象は,一般病院に勤務かつ園芸療法実践の経験が5年ある30歳代の作業療法士1名である.研究デザインは質的研究である.調査方法はインタビューガイドに沿って半構造化面接をZoomで60分程度実施.分析方法は,構造構成的質的研究法を主とし,カテゴリー分類を行った後,特徴をモデル図で可視化した.データ分析は,分析過程が明示的で小規模データに適応可能なSteps for Coding And Theorization(SCAT)を用いた.本研究は,吉備国際大学倫理審査委員会の承認(20-13)を得ている.
【結果】
SCATで生成されたテーマ構成概念を意味コードとして,意味コードからテーマ『 』,テーマからカテゴリー【 】を生成した.テーマ・構成概念52,テーマ25,カテゴリー8であった.
理論的枠組みは,OTが入院により【作業剥奪+作業疎外】の状態にある患者に対し,【その人らしい園芸支援のための理想像】を根底に,【リスク管理と支援者確保のための多職種連携】,【患者の能力や背景に合わせた対応】,【物理的環境への対応】を行いながら,地道に【園芸推進運動】を行う実践がある.実践の結果として,【患者の作業機能障害の改善とOTへの波及効果】が確認され,【未来につながる園芸活動】の継続を可能とする概念図が立ち現れた.
【考察】
OTは『介入方法の選択肢の提示』を行うこと,そして園芸活動を選択した場合,『クライエントの希望に沿った活動』,『人と植物が共生できる空間の創生』,『外的問題で園芸を剥奪されることのない自由に使える環境』という【その人らしい園芸支援のための理想像】を実践のベースに持っていた.その上で,OTは,【作業剥奪+作業疎外】の患者に対して『医師と連携したリスク管理』や『多職種との情報共有と支援者数の確保』という【リスク管理と支援者確保のための多職種連携】,『難易度調整』や『馴染みのある作業の選択』等の【患者の能力や背景に合わせた対応】,『勤務時間外での準備』や『メンテナンスのしやすい道具の選択』等という【物理的環境への対応】の全てに対応することが必要であったと考える.そして,医療制度の中で園芸活動を実施していくには, 『メインとなる季節の園芸活動への部分的な関わり』や『短期間で育つ野菜中心の活動』といった植物の成長と医療の範疇に合わせたプログラムを立案していると考える.
さらに高齢者施設での園芸活動は参加する患者だけでなく支援する職員にも良好な影響を与えるとされている(増谷順子,2015)が,医療機関においても『自律性の向上』,『充足感と仕事のやりがいの獲得』等【患者の作業機能障害の改善とOTへの波及効果】が確認され先行研究と同様の結果となった.これは,患者とOTが一緒に『五感を通して充足感で満たされる活動』と『未来を創生する活動』の連続性を体験しているためだと考える.