[PJ-7-1] ポスター:高齢期 724時間の周期回帰分析で解析した入院高齢患者における退院後の生活リズムの変化
【序論】高齢者の生活リズムの乱れと認知症や循環器疾患発症等に関連があることが報告されている.特に高齢者は生活の場を移行したときに生活リズムが乱れやすい.入院中は規則正しい生活を送っている高齢患者が,退院した際に生活リズムを乱す可能性がある.しかし,退院後の生活リズムがどのように変化したかを視覚化できる指標にて捉えた報告は見当たらない.
【目的】入院中の高齢患者の生活リズムが退院後にどのように変化するのかを調査すること.
【方法】回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期病棟)入院時をベースラインとして,自宅退院後に追跡調査を行った.対象は,回復期病棟に入院したMMSE26点以上の65歳以上の高齢者6名(脳血管疾患2名,整形外科疾患4名.男性2名,女性4名,年齢平均77±8歳).入院中毎日約2時間40分の理学療法や作業療法を受けていた.入院1ヶ月後と退院1ヶ月後に身体活動量計(日立システムズ社製: ライフ顕微鏡)を1週間装着して活動強度を測定した.1週間の起床時間と就寝時間は記録表へ記入してもらった.属性として,FIM移動項目での歩行自立度を評価した.活動強度に対して24時間の周期回帰分析を実施し,生活リズムの指標となる3つのパラメータを得た: メサーは周期回帰曲線の平均値で24時間中の全体の活動強度の平均を示す.アンプリチュードは周期回帰曲線の最も高い値と最も低い値の差の半分で,活動強度の範囲を示す.アクロフェイズは周期回帰曲線の最大値の位相角を時間に換算したもので,24時間中の活動時間のピークを示す.統計解析は,起床と就寝時間,生活リズムのパラメータに対してWilcoxonの符号付順位検定を実施した.SPSS statistics ver,28.0を使用して有意水準を5%未満とした.A病院倫理審査委員会の承認(承認番号: 2019-4)を受け,対象者に研究の同意を得た.
【結果】入院中は6例中4例で歩行が自立(FIM6点以上)し,2例に介助が必要であった.退院後は6例とも自立していた.起床時間は入院中5時40分(4時37分-6時5分),退院後7時15分(5時52分-8時07分)で有意差を認めた(p = 0.03).就床時間は入院中22時04分(21時31分-22時31分),退院後22時30分(20時-24時22分)で有意差を認めなかった(p = 0.6).生活リズムのメサーは,入院中1.25(1.19-1.36)METs,退院後1.27(1.1-1.38)METsで有意差を認めなかった(p = 0.75).アンプリチュードは入院中0.13(0.10-0.25)METs,退院後0.15(0.12-0.20)METsで有意差を認めなかった (p = 0.75).アクロフェイズは,入院中12時54分(12時11分-13時53分),退院後14時25分 (13時35分-16時21分)で有意に後相していた(p = 0.03).数値は中央値(25%oil-75%oil)で表記.
【考察】生活リズムでは,入院中から退院後にかけて24時間全体の活動強度や日中の活動のレベルは入院中と著変なく,入院中に実施していた理学療法や作業療法での活動と同等レベルの活動が退院後も維持されていた.これは,6例ともに自宅退院後に移動が自立していたことから,移動に介助を必要とせず時間や場所に著明な制限を受けずに自宅やその周辺で自由に活動が出来たことが要因として考えられた.入院中と退院後で起床時間は1時間半程度遅くなっていたが,就寝時間は著変なかった.一方で,活動時間帯は入院中から退院後で1時間半程度遅くなっていたことから,退院後は入院中よりも活動の開始時間が遅くなったことで,活動のピークとなる時間帯も遅くなったことが考えられた.
今回の研究にて,回復期病棟退院後は活動時間のピークが遅くなる傾向があることが示唆された.作業療法士は,必要に応じて退院後の生活リズムを是正する必要があることが考えられた.
【目的】入院中の高齢患者の生活リズムが退院後にどのように変化するのかを調査すること.
【方法】回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期病棟)入院時をベースラインとして,自宅退院後に追跡調査を行った.対象は,回復期病棟に入院したMMSE26点以上の65歳以上の高齢者6名(脳血管疾患2名,整形外科疾患4名.男性2名,女性4名,年齢平均77±8歳).入院中毎日約2時間40分の理学療法や作業療法を受けていた.入院1ヶ月後と退院1ヶ月後に身体活動量計(日立システムズ社製: ライフ顕微鏡)を1週間装着して活動強度を測定した.1週間の起床時間と就寝時間は記録表へ記入してもらった.属性として,FIM移動項目での歩行自立度を評価した.活動強度に対して24時間の周期回帰分析を実施し,生活リズムの指標となる3つのパラメータを得た: メサーは周期回帰曲線の平均値で24時間中の全体の活動強度の平均を示す.アンプリチュードは周期回帰曲線の最も高い値と最も低い値の差の半分で,活動強度の範囲を示す.アクロフェイズは周期回帰曲線の最大値の位相角を時間に換算したもので,24時間中の活動時間のピークを示す.統計解析は,起床と就寝時間,生活リズムのパラメータに対してWilcoxonの符号付順位検定を実施した.SPSS statistics ver,28.0を使用して有意水準を5%未満とした.A病院倫理審査委員会の承認(承認番号: 2019-4)を受け,対象者に研究の同意を得た.
【結果】入院中は6例中4例で歩行が自立(FIM6点以上)し,2例に介助が必要であった.退院後は6例とも自立していた.起床時間は入院中5時40分(4時37分-6時5分),退院後7時15分(5時52分-8時07分)で有意差を認めた(p = 0.03).就床時間は入院中22時04分(21時31分-22時31分),退院後22時30分(20時-24時22分)で有意差を認めなかった(p = 0.6).生活リズムのメサーは,入院中1.25(1.19-1.36)METs,退院後1.27(1.1-1.38)METsで有意差を認めなかった(p = 0.75).アンプリチュードは入院中0.13(0.10-0.25)METs,退院後0.15(0.12-0.20)METsで有意差を認めなかった (p = 0.75).アクロフェイズは,入院中12時54分(12時11分-13時53分),退院後14時25分 (13時35分-16時21分)で有意に後相していた(p = 0.03).数値は中央値(25%oil-75%oil)で表記.
【考察】生活リズムでは,入院中から退院後にかけて24時間全体の活動強度や日中の活動のレベルは入院中と著変なく,入院中に実施していた理学療法や作業療法での活動と同等レベルの活動が退院後も維持されていた.これは,6例ともに自宅退院後に移動が自立していたことから,移動に介助を必要とせず時間や場所に著明な制限を受けずに自宅やその周辺で自由に活動が出来たことが要因として考えられた.入院中と退院後で起床時間は1時間半程度遅くなっていたが,就寝時間は著変なかった.一方で,活動時間帯は入院中から退院後で1時間半程度遅くなっていたことから,退院後は入院中よりも活動の開始時間が遅くなったことで,活動のピークとなる時間帯も遅くなったことが考えられた.
今回の研究にて,回復期病棟退院後は活動時間のピークが遅くなる傾向があることが示唆された.作業療法士は,必要に応じて退院後の生活リズムを是正する必要があることが考えられた.