[PJ-8-2] ポスター:高齢期 8女性認知症高齢者を対象にした動画解析による歩行機能評価手法の検討
Artificial Intelligenceアプリトルトを使用して
【序言】
現在わが国では高齢化率が28.8%となり認知症者も増加し,社会保障費の抑制のために認知症者の早期介入が重要である.認知症は早期から歩行状態が不安定になることが報告されており,認知症者の歩行状態を検査測定することが認知機能低下者の早期発見に有効であることが示されている.しかし,その手法は加速度計や足圧計によるものが多く,人工知能(Artificial Intelligence:AI)を使用した手法は十分に確立されていない.そこで本研究では認知症者を対象にAIを用いた動画解析により認知機能と歩行機能関連性を明らかにすることを目的とした.
【方法】
対象はデイサービス利用中の女性41名とした(平均年齢86.6歳).本研究は平成医療短期大学研究倫理委員会の承認(番号 R03-01)を得て実施した.なお,本研究に関してCOI関係にある企業等はない.対象者の年齢,介護度を聞き取った.心身機能についてはMental State Examination(以下,MMSE),Trail Making Test(以下,TMT),Geriatric depression scale 15(以下,GDS),Barthel Index(以下,BI)とLowtonのInstrumental Activities of Daily Living(以下,IADL)評価尺度,Fall Risk Index(以下,FRI)を評価した.また歩行についてはトルト(エクサウィザーズ社製)を使い評価した.トルトはiOSデバイスに描出された画面上における頸部と左右の股関節の中心をランドマークとし垂直方向の画素長の時間変化率で5mの歩行を分析した.この骨格抽出には,株式会社エクサウィザーズのオリジナルアルゴリズム(OpenPose機械学習ライブラリに基づく姿勢推定と環境検出)を用いて,画面上の頭部,頸部,肩関節,股関節,膝関節,足関節の座標を検出した.サンプリングレートは30fpsとした.足関節位置の時系列データから得られた波形の各ピーク点をY軸とし,その間の期間を平均値として歩様を解析した.歩行速度は,5mを推定5m歩行完了までの時間で割った値として算出した.歩行区間は10mとしその中央5mを測定区間とした.統計学的分析として各評価項目の相関についてPearsonの相関分析を行った.有意水準は5%とした.
【結果】
デイサービス利用中の女性41名の心身機能を評価しトルトの結果との相関を検討した.その結果,トルトの速度とMMSE,BI,FRIに相関が認められた.トルトのふらつきとBIに相関が認められた.
【考察】
今回,デイサービス女性利用者41名を対象にトルトと心身機能の相関を検討した.MMSEとBIのスコアが低く,転倒リスクが高い対象者は歩行速度が遅延することが明らかとなった.認知症者は快適歩行速度が遅延することが報告されている1).認知症者の脳は萎縮や血流の低下などの状態にあるため認知機能と歩行機能には関連性があることが考えられる.また,BIやFRIは下位項目のなかで歩行機能に関する内容が含まれているため相関が認められたと考える.トルトのふらつきが低スコアの対象者はADLが低い結果となった.これは,BIの各設問が身体機能の影響を大きく受ける内容であるためと考える.
【引用文献】
1)Callisaya ML, et al: (2017). Cognitive status, fast walking speed and walking speed reserve—the Gait and Alzheimer Interactions Tracking (GAIT) study. Geroscience, 39(2), 231-239
現在わが国では高齢化率が28.8%となり認知症者も増加し,社会保障費の抑制のために認知症者の早期介入が重要である.認知症は早期から歩行状態が不安定になることが報告されており,認知症者の歩行状態を検査測定することが認知機能低下者の早期発見に有効であることが示されている.しかし,その手法は加速度計や足圧計によるものが多く,人工知能(Artificial Intelligence:AI)を使用した手法は十分に確立されていない.そこで本研究では認知症者を対象にAIを用いた動画解析により認知機能と歩行機能関連性を明らかにすることを目的とした.
【方法】
対象はデイサービス利用中の女性41名とした(平均年齢86.6歳).本研究は平成医療短期大学研究倫理委員会の承認(番号 R03-01)を得て実施した.なお,本研究に関してCOI関係にある企業等はない.対象者の年齢,介護度を聞き取った.心身機能についてはMental State Examination(以下,MMSE),Trail Making Test(以下,TMT),Geriatric depression scale 15(以下,GDS),Barthel Index(以下,BI)とLowtonのInstrumental Activities of Daily Living(以下,IADL)評価尺度,Fall Risk Index(以下,FRI)を評価した.また歩行についてはトルト(エクサウィザーズ社製)を使い評価した.トルトはiOSデバイスに描出された画面上における頸部と左右の股関節の中心をランドマークとし垂直方向の画素長の時間変化率で5mの歩行を分析した.この骨格抽出には,株式会社エクサウィザーズのオリジナルアルゴリズム(OpenPose機械学習ライブラリに基づく姿勢推定と環境検出)を用いて,画面上の頭部,頸部,肩関節,股関節,膝関節,足関節の座標を検出した.サンプリングレートは30fpsとした.足関節位置の時系列データから得られた波形の各ピーク点をY軸とし,その間の期間を平均値として歩様を解析した.歩行速度は,5mを推定5m歩行完了までの時間で割った値として算出した.歩行区間は10mとしその中央5mを測定区間とした.統計学的分析として各評価項目の相関についてPearsonの相関分析を行った.有意水準は5%とした.
【結果】
デイサービス利用中の女性41名の心身機能を評価しトルトの結果との相関を検討した.その結果,トルトの速度とMMSE,BI,FRIに相関が認められた.トルトのふらつきとBIに相関が認められた.
【考察】
今回,デイサービス女性利用者41名を対象にトルトと心身機能の相関を検討した.MMSEとBIのスコアが低く,転倒リスクが高い対象者は歩行速度が遅延することが明らかとなった.認知症者は快適歩行速度が遅延することが報告されている1).認知症者の脳は萎縮や血流の低下などの状態にあるため認知機能と歩行機能には関連性があることが考えられる.また,BIやFRIは下位項目のなかで歩行機能に関する内容が含まれているため相関が認められたと考える.トルトのふらつきが低スコアの対象者はADLが低い結果となった.これは,BIの各設問が身体機能の影響を大きく受ける内容であるためと考える.
【引用文献】
1)Callisaya ML, et al: (2017). Cognitive status, fast walking speed and walking speed reserve—the Gait and Alzheimer Interactions Tracking (GAIT) study. Geroscience, 39(2), 231-239