[PK-1-5] ポスター:認知障害(高次脳機能障害を含む) 1抑制課題実行中の前頭前野における脳賦活変化
【はじめに】
日常生活において実行機能は重要な役割があり,特に抑制機能はIADLの低下に関連すると報告されている.そのため,前頭葉の萎縮が生じる高齢者や前頭葉機能障害者の抑制機能を評価する事は重要であると考える.前頭葉の役割には,実行機能と高次な認知機能がある.実行機能は目的をもった一連の行動を自立して有効に成し遂げるために必要な機能と定義される.実行機能は主に前頭前野の担うワーキングメモリ,注意,干渉制御,反応抑制などが該当する.実行機能が低下することにより,優先順位がわからない,抑制障害などの問題が生じる.よって,本研究では行動抑制課題としてGo/NoGo課題を選択した.
【目的】
本研究では,抑制課題であるGo/NoGo課題中の前頭前野のオキシヘモグロビン濃度値を計測し,前頭前野の脳賦活を検討することを目的とする.
【方法】
健常成人30名(22.0 ± 1.5歳,男性6名・女性24名)に測定を行った.選定条件は過去に中枢性疾患の既往がなく,エジンバラ利き手テストにおいて優位手が右側の者とした.課題は,タスク1としてボタン押し動作を行う「O」の条件提示が7割,ボタン押しを抑制する「S」の条件提示が3割とし,タスク2として逆の割合の条件で設定した.測定は,30秒間安静の後,30秒間課題を実施し,30秒間安静するブロックデザインとした.ベースライン課題を3回繰り返した後,行動抑制課題のタスク1またはタスク2をランダムに提示し,各々3回,計6回行った.分析は測定課題の3群間比較には,反復計測の一元配置分散分析を行い,多重比較検定には,ボンフェローニ法を用いた.全試行を加算平均した後の前額部の全チャンネルを左右に分けた2群間比較では,対応のないt検定を行った.なお,統計にはSPSS27を用いた.本研究は所属施設の倫理審査委員会の承認を得て行った.
【結果】
全対象者30名のオキシヘモグロビン濃度ピーク値の平均は,ベースライン課題において0.031 ± 0.003mMmm,タスク1では0.034 ± 0.005mMmm,タスク2では0.019 ± 0.003mMmmとなった.反復計測の一元配置分散分析により3群間の平均値に統計学的有意差があると認められた(p < 0.001).ボンフェローニ法により,ベースライン課題とタスク2の平均値に統計学的に有意な差が認められた(p = 0.008).同様に,タスク1とタスク2の平均値にも統計学的に有意な差が認められた(p = 0.008).また,すべての行動抑制課題(Go/NoGo課題)のオキシヘモグロビン濃度値をチャンネル別に右側(Ch1~Ch7)と左側(Ch10~Ch16)に分類し加算波形を作成した.右側のオキシヘモグロビン濃度ピーク値の平均は0.031 ± 0.020mMmm,左側の平均は0.020 ± 0.011mMmmとなった.対応のないt検定により,左右の平均値に統計学的に有意な差が認められた(p = 0.015).
【考察】
HsiehらはGo刺激の提示頻度が多いほど神経活動が増加するとしており,本研究においてもベースライン課題より行動抑制課題タスク2のオキシヘモグロビン濃度値が有意に低いことから一致した結果であった.ベースライン課題の方がタスク2よりGo刺激の提示頻度が多いため,オキシヘモグロビン濃度値が上昇したと考える.行動抑制課題のタスク1とタスク2の比較では,タスク1はNoGoの刺激頻度が少ないことにより,より脳を賦活させると考えられた.これもHsiehらの研究から裏付けられ,本研究結果においてもタスク1が,タスク2に比べオキシヘモグロビン濃度値が上昇したと考える.また,行動抑制課題時のオキシヘモグロビン濃度値の前頭部の左右での比較では,右前頭部が左前頭部に比べオキシヘモグロビン濃度値が有意に上昇した.これは視覚情報に関するワーキングメモリの関与により右前頭部が左前頭部に比べ賦活したと考えられた.
日常生活において実行機能は重要な役割があり,特に抑制機能はIADLの低下に関連すると報告されている.そのため,前頭葉の萎縮が生じる高齢者や前頭葉機能障害者の抑制機能を評価する事は重要であると考える.前頭葉の役割には,実行機能と高次な認知機能がある.実行機能は目的をもった一連の行動を自立して有効に成し遂げるために必要な機能と定義される.実行機能は主に前頭前野の担うワーキングメモリ,注意,干渉制御,反応抑制などが該当する.実行機能が低下することにより,優先順位がわからない,抑制障害などの問題が生じる.よって,本研究では行動抑制課題としてGo/NoGo課題を選択した.
【目的】
本研究では,抑制課題であるGo/NoGo課題中の前頭前野のオキシヘモグロビン濃度値を計測し,前頭前野の脳賦活を検討することを目的とする.
【方法】
健常成人30名(22.0 ± 1.5歳,男性6名・女性24名)に測定を行った.選定条件は過去に中枢性疾患の既往がなく,エジンバラ利き手テストにおいて優位手が右側の者とした.課題は,タスク1としてボタン押し動作を行う「O」の条件提示が7割,ボタン押しを抑制する「S」の条件提示が3割とし,タスク2として逆の割合の条件で設定した.測定は,30秒間安静の後,30秒間課題を実施し,30秒間安静するブロックデザインとした.ベースライン課題を3回繰り返した後,行動抑制課題のタスク1またはタスク2をランダムに提示し,各々3回,計6回行った.分析は測定課題の3群間比較には,反復計測の一元配置分散分析を行い,多重比較検定には,ボンフェローニ法を用いた.全試行を加算平均した後の前額部の全チャンネルを左右に分けた2群間比較では,対応のないt検定を行った.なお,統計にはSPSS27を用いた.本研究は所属施設の倫理審査委員会の承認を得て行った.
【結果】
全対象者30名のオキシヘモグロビン濃度ピーク値の平均は,ベースライン課題において0.031 ± 0.003mMmm,タスク1では0.034 ± 0.005mMmm,タスク2では0.019 ± 0.003mMmmとなった.反復計測の一元配置分散分析により3群間の平均値に統計学的有意差があると認められた(p < 0.001).ボンフェローニ法により,ベースライン課題とタスク2の平均値に統計学的に有意な差が認められた(p = 0.008).同様に,タスク1とタスク2の平均値にも統計学的に有意な差が認められた(p = 0.008).また,すべての行動抑制課題(Go/NoGo課題)のオキシヘモグロビン濃度値をチャンネル別に右側(Ch1~Ch7)と左側(Ch10~Ch16)に分類し加算波形を作成した.右側のオキシヘモグロビン濃度ピーク値の平均は0.031 ± 0.020mMmm,左側の平均は0.020 ± 0.011mMmmとなった.対応のないt検定により,左右の平均値に統計学的に有意な差が認められた(p = 0.015).
【考察】
HsiehらはGo刺激の提示頻度が多いほど神経活動が増加するとしており,本研究においてもベースライン課題より行動抑制課題タスク2のオキシヘモグロビン濃度値が有意に低いことから一致した結果であった.ベースライン課題の方がタスク2よりGo刺激の提示頻度が多いため,オキシヘモグロビン濃度値が上昇したと考える.行動抑制課題のタスク1とタスク2の比較では,タスク1はNoGoの刺激頻度が少ないことにより,より脳を賦活させると考えられた.これもHsiehらの研究から裏付けられ,本研究結果においてもタスク1が,タスク2に比べオキシヘモグロビン濃度値が上昇したと考える.また,行動抑制課題時のオキシヘモグロビン濃度値の前頭部の左右での比較では,右前頭部が左前頭部に比べオキシヘモグロビン濃度値が有意に上昇した.これは視覚情報に関するワーキングメモリの関与により右前頭部が左前頭部に比べ賦活したと考えられた.