[PK-3-3] ポスター:認知障害(高次脳機能障害を含む) 3高次脳機能障害者を地域生活に繋ぐための支援を通しての一考察
高次脳機能障害支援センターの事例から
【はじめに】千葉リハビリテーションセンターは千葉県高次脳機能障害支援拠点機関であり,千葉リハ内には専門機関として高次脳機能障害支援センター(以下支援センター)が設置され,PT,OT,心理士,SWが専従として配置されている.専従OTとして支援をする中で,退院後の在宅生活や就労場面で入院中には見えづらかった困り事に直面する自験例から,地域生活に繋ぐために必要な支援の在り方について考察したので報告する.なお,報告に際し本人の同意を得ている.
【事例1】60歳代男性.50歳代に脳出血発症,高次脳機能障害,メンタル面の落ち込み,耳鳴り(耳鼻科では聴覚的な問題なし)が後遺.回リハ病院退院後,就労支援なく復職するが指示通りに仕事ができない,相手が何を言っているのかわからない等,耳鳴りや落ち込みが悪化し休職.妻が障害者職業センターに相談,高次脳機能障害に関する専門的なフォロー目的で支援センターに介入依頼あり.休職のまま退職,引きこもり状態となる.新規就労希望あるが,コミュニケーション面の課題から支援センターのグループ活動(つながるグループ)を利用し,集団場面の評価と日中活動の場を提供.歩行時のふらつきがあり,ガーデニングでは身体機能面を評価しながら負荷を調整.タイルモザイクでは丁寧に作業可能だが過集中となるため,声かけし切り替えを促した.指示は作業見本を見せる,発言は他利用者の発言も含めホワイトボードに可視化する等,コミュニケーション面の環境調整を行った.徐々に体力向上,両作業共に積極的に取り組み,片麻痺の利用者のサポートをしたり,他利用者の報告を聞き,笑顔がみられたりした.約10ヶ月間グループを継続し, SWと共に適した活動場所の選定や情報提供を実施し,発症から6年後就労継続支援B型の利用に繋がり,現在週4日通所.
【事例2】20歳代女性.高校在学中に脳梗塞発症,右麻痺,失語症,高次脳機能障害が後遺.回リハ病院退院後,復学支援なく原籍高に復学.担任や友達との人間関係がうまくいかず,保健室登校,抑うつ状態となる.高校卒業が近づき,急性期病院(原疾患フォロー)より千葉リハを紹介され,受診.外来で高次脳機能評価,対人関係に慣れるため個別心理面談実施.社会活動に繋がる事を目的に支援センター介入.まずは集団活動に慣れるために支援センターのグループ活動利用.青年期の就労準備性を高める目的のグループに参加するが,言語負荷が高く,精神的不安定さがみられ,継続困難だったため,つながるグループを提供.対人緊張が強かったが,言語でのやりとりを少なくし精神的負担感を軽減.ガーデニングやタイルモザイクでは身体機能面も含めた環境調整を行い,成功体験になるよう配慮.タイルモザイクでは,完成度の高い作品を作成,楽しいやりがいのある作業となり精神面が安定.徐々に他利用者やスタッフに慣れ,グループ内で積極的な発言がみられた.約1年半グループを継続し, SWと共に適した活動場所の選定や情報提供を実施し, 発症から4年後生活介護の利用に繋がった.現在,グループ活動を併用し,週2日通所.
【考察】両事例は,回リハ退院後,社会生活で不適応となり,地域生活に繋がるまでに数年を要した. 作業を通した集団場面や身体・高次脳機能障害面を評価し, 本人の状態に合わせた作業提供や環境調整する事で,適切な地域活動に繋がり,OTの視点が有効だった.両事例を通し,高次脳機能障害者は,ライフステージごとに困り事が変化し,その時期に応じた環境調整が重要で切れ目ない支援が必要であることを実感した.円滑に地域生活に繋がるためには,回リハの段階で社会復帰までの長期支援を視野に入れ,社会生活を想定したOTリハを組み立て,多職種と連携しその先に繋ぐ意識が重要だと考える.
【事例1】60歳代男性.50歳代に脳出血発症,高次脳機能障害,メンタル面の落ち込み,耳鳴り(耳鼻科では聴覚的な問題なし)が後遺.回リハ病院退院後,就労支援なく復職するが指示通りに仕事ができない,相手が何を言っているのかわからない等,耳鳴りや落ち込みが悪化し休職.妻が障害者職業センターに相談,高次脳機能障害に関する専門的なフォロー目的で支援センターに介入依頼あり.休職のまま退職,引きこもり状態となる.新規就労希望あるが,コミュニケーション面の課題から支援センターのグループ活動(つながるグループ)を利用し,集団場面の評価と日中活動の場を提供.歩行時のふらつきがあり,ガーデニングでは身体機能面を評価しながら負荷を調整.タイルモザイクでは丁寧に作業可能だが過集中となるため,声かけし切り替えを促した.指示は作業見本を見せる,発言は他利用者の発言も含めホワイトボードに可視化する等,コミュニケーション面の環境調整を行った.徐々に体力向上,両作業共に積極的に取り組み,片麻痺の利用者のサポートをしたり,他利用者の報告を聞き,笑顔がみられたりした.約10ヶ月間グループを継続し, SWと共に適した活動場所の選定や情報提供を実施し,発症から6年後就労継続支援B型の利用に繋がり,現在週4日通所.
【事例2】20歳代女性.高校在学中に脳梗塞発症,右麻痺,失語症,高次脳機能障害が後遺.回リハ病院退院後,復学支援なく原籍高に復学.担任や友達との人間関係がうまくいかず,保健室登校,抑うつ状態となる.高校卒業が近づき,急性期病院(原疾患フォロー)より千葉リハを紹介され,受診.外来で高次脳機能評価,対人関係に慣れるため個別心理面談実施.社会活動に繋がる事を目的に支援センター介入.まずは集団活動に慣れるために支援センターのグループ活動利用.青年期の就労準備性を高める目的のグループに参加するが,言語負荷が高く,精神的不安定さがみられ,継続困難だったため,つながるグループを提供.対人緊張が強かったが,言語でのやりとりを少なくし精神的負担感を軽減.ガーデニングやタイルモザイクでは身体機能面も含めた環境調整を行い,成功体験になるよう配慮.タイルモザイクでは,完成度の高い作品を作成,楽しいやりがいのある作業となり精神面が安定.徐々に他利用者やスタッフに慣れ,グループ内で積極的な発言がみられた.約1年半グループを継続し, SWと共に適した活動場所の選定や情報提供を実施し, 発症から4年後生活介護の利用に繋がった.現在,グループ活動を併用し,週2日通所.
【考察】両事例は,回リハ退院後,社会生活で不適応となり,地域生活に繋がるまでに数年を要した. 作業を通した集団場面や身体・高次脳機能障害面を評価し, 本人の状態に合わせた作業提供や環境調整する事で,適切な地域活動に繋がり,OTの視点が有効だった.両事例を通し,高次脳機能障害者は,ライフステージごとに困り事が変化し,その時期に応じた環境調整が重要で切れ目ない支援が必要であることを実感した.円滑に地域生活に繋がるためには,回リハの段階で社会復帰までの長期支援を視野に入れ,社会生活を想定したOTリハを組み立て,多職種と連携しその先に繋ぐ意識が重要だと考える.