[PL-1-1] ポスター:援助機器 13Dプリンターで製作した自助具と手作り自助具の比較
マスクをつける自助具について
【はじめに】
対象者にパーソナライズされた手作りの自助具は,その品質において作業療法士の製作技術に大きく依存し,また手作り故の形状や構造の限界,破損時の修理・交換などで課題がある.しかし近年,リハビリテーション分野において3Dプリンタを用いた自助具製作が広がりを見せており,作業療法士の自助具製作の環境に変化が生じている.今回,関節リウマチによる上肢の可動域制限がある方のために作られたマスクを装着するための手作りの自助具を,より使いやすいデザインへ変更し,3Dプリンタを用いて自助具製作を行った.3Dプリンタを用いた自助具製作は,より使いやすい自助具製作を可能とし,手作りの自助具製作における課題を解決できるのではないかと考え,手作りの自助具との比較を行った.
【目的】
3Dプリンターを用いて製作したマスクを装着する自助具と,従来の手作りの自助具とで,マスクの装着時間や装着しやすさに差があるかを比較すること.
【方法】
マスクを装着するための手作りの自助具は,棒状で持ち手の柄の一端にマスクの紐をかけるパーツが取り付けられた形状をし,更には外出時に携帯できる折りたたみ式であった.マスクを装着するために必要な動作工程数は4であった.この自助具に対し作業療法士は,柄を弓状にして柄の両端にマスクをかけるパーツを取り付けることで,マスクの装着動作の工程数を3に減らすことができる新しいデザインを考案した.自助具製作は3D CADにて3Dデータを作成した後,3Dプリンタで造形した.次に10名の健常者を対象に,手作りの自助具と3Dプリンタで製作した自助具によるマスク装着時間と使用感を比較した.マスク装着時間の計測は,事前に被験者に2種類の自助具の使用方法を説明し数回の練習を行わせた後に実施した.計測は2種類の自助具を交互に2回ずつ実施し計測は検査者が行った.装着時間の比較はt検定を用いて統計処理を行った.使用感の比較については被験者に対して使用感に関するアンケート(5件法)を実施した.本発表にあたり研究対象者から口頭にて同意を得た.
【結果】
手作りの自助具と3Dプリンタで製作した自助具の平均装着時間はt検定において有意な差を認め,3Dプリンタで製作された自助具の装着時間で有意に短かった.(p<0.01)
また使用感に関するアンケート結果は,被験者10名中9名で手作り自助具よりも3Dプリンタで製作した自助具の方が使用感が良かったと回答した.
【結論】
今回の検証では3Dプリンタで製作した自助具は,装着時間・装着しやすさの双方で手作り自助具よりも優れているという結果であった.3Dプリンタによる自助具製作のメリットは,複雑な形状や構造の自助具の造形が可能になる点にある.今回の新たにデザインした自助具もその形状から手作りでの製作が困難であったが,3Dプリンタを用いることで製作が可能となった.より多くの作業療法士が自助具製作で3Dプリンタを使用することができれば,製作できる自助具のバリエーションが広がり,対象者に対してよりパーソナライズされた自助具を提供できる可能性がある.作業療法で行われる対象者への自助具製作において,3Dプリンタの活用は有益であると考える.
対象者にパーソナライズされた手作りの自助具は,その品質において作業療法士の製作技術に大きく依存し,また手作り故の形状や構造の限界,破損時の修理・交換などで課題がある.しかし近年,リハビリテーション分野において3Dプリンタを用いた自助具製作が広がりを見せており,作業療法士の自助具製作の環境に変化が生じている.今回,関節リウマチによる上肢の可動域制限がある方のために作られたマスクを装着するための手作りの自助具を,より使いやすいデザインへ変更し,3Dプリンタを用いて自助具製作を行った.3Dプリンタを用いた自助具製作は,より使いやすい自助具製作を可能とし,手作りの自助具製作における課題を解決できるのではないかと考え,手作りの自助具との比較を行った.
【目的】
3Dプリンターを用いて製作したマスクを装着する自助具と,従来の手作りの自助具とで,マスクの装着時間や装着しやすさに差があるかを比較すること.
【方法】
マスクを装着するための手作りの自助具は,棒状で持ち手の柄の一端にマスクの紐をかけるパーツが取り付けられた形状をし,更には外出時に携帯できる折りたたみ式であった.マスクを装着するために必要な動作工程数は4であった.この自助具に対し作業療法士は,柄を弓状にして柄の両端にマスクをかけるパーツを取り付けることで,マスクの装着動作の工程数を3に減らすことができる新しいデザインを考案した.自助具製作は3D CADにて3Dデータを作成した後,3Dプリンタで造形した.次に10名の健常者を対象に,手作りの自助具と3Dプリンタで製作した自助具によるマスク装着時間と使用感を比較した.マスク装着時間の計測は,事前に被験者に2種類の自助具の使用方法を説明し数回の練習を行わせた後に実施した.計測は2種類の自助具を交互に2回ずつ実施し計測は検査者が行った.装着時間の比較はt検定を用いて統計処理を行った.使用感の比較については被験者に対して使用感に関するアンケート(5件法)を実施した.本発表にあたり研究対象者から口頭にて同意を得た.
【結果】
手作りの自助具と3Dプリンタで製作した自助具の平均装着時間はt検定において有意な差を認め,3Dプリンタで製作された自助具の装着時間で有意に短かった.(p<0.01)
また使用感に関するアンケート結果は,被験者10名中9名で手作り自助具よりも3Dプリンタで製作した自助具の方が使用感が良かったと回答した.
【結論】
今回の検証では3Dプリンタで製作した自助具は,装着時間・装着しやすさの双方で手作り自助具よりも優れているという結果であった.3Dプリンタによる自助具製作のメリットは,複雑な形状や構造の自助具の造形が可能になる点にある.今回の新たにデザインした自助具もその形状から手作りでの製作が困難であったが,3Dプリンタを用いることで製作が可能となった.より多くの作業療法士が自助具製作で3Dプリンタを使用することができれば,製作できる自助具のバリエーションが広がり,対象者に対してよりパーソナライズされた自助具を提供できる可能性がある.作業療法で行われる対象者への自助具製作において,3Dプリンタの活用は有益であると考える.