[PL-3-3] ポスター:援助機器 3回復期病棟での上肢装具「MOMO」シリーズの活用実践における利点と課題
テキストマイニングによるインタビュー分析から
【はじめに】
MOMOシリーズ(リハロ社製;MOMO)は,主に神経難病患者に使用されるアームサポートである.近年では,回復期リハビリテーション(リハ)病棟において,生活支援及びリハ機器としての活用例も報告されている.しかし,MOMOを活用した対象者からの意見を基にした分析例はまだ見当たらない.本研究では,MOMOを活用した回復期リハ病棟の症例2名に対して実施したインタビュー調査から,MOMOの利点と課題について探索することを目的とした.なお,今回発表に際し症例本人に書面にて説明し,同意を得ている.
【方法】
MOMOを活用した症例2名に対し,それぞれ約30分の半構造化インタビューを筆者が実施した.インタビューは「MOMOの使用経験内容」「良かった点」「課題点」を含む内容とした.次に,インタビュー内容をテキストデータに書き起こし.樋口(2020)が開発したKH Coder3を活用して定量的内容分析を行った.分析結果はKWICコンコーダンスにて原文を参照し,語の取捨選択や標記の統一を行った.そして,「作業」「療法」「士」などは,別単語として抽出されないように,強制抽出語として「作業療法士」に変換した.分析は,出現頻度の高い語の抽出や共起ネットワークによる出現パターンの可視化を行い,解釈を加えた.
【症例提示と介入内容】
症例①:40歳代男性,ラクナ梗塞による右麻痺を呈し,Brunnstrom Recovery Stage(BRS)上肢Ⅳ,手指Ⅳであった.MOMOプライムを活用して病棟での食事動作(自助箸の併用)と自主トレーニング(トレ)支援を行った.症例②:80歳代男性,後縦靭帯骨化症と頚椎損傷により,頸椎C4髄節レベル以下の不全麻痺を呈した.左上肢全般Manual Muscle Test(MMT)3,右上肢全般MMT 2+であった,囲碁を趣味としており,MOMOを活用した食事動作支援(ユニバーサルカフの併用)と,MOMOプライムを使用した囲碁活動(指サックの併用)の支援を行った.
【結果】
総抽出語は「1798」,出現頻度は「使う」「MOMO」「麻痺側」「思う」「手」「肩」「自分」「動く」の順に多かった.共起ネットワークでは,6個のSubgraphが検出され,主なクラスターとして,「麻痺」「生活」「楽」や「MOMO」「自分」「肩」「手」「使う」「動く」「麻痺側」等,【MOMOを活用して生活上で楽に上肢を動かせる】や,「自主トレ」「動かす」「痛い」「字」「書く」等,【自主トレとしての活用】が挙がっている.一方で,「MOMO本体」「重い」「設置」等,【自身でのテーブル設置の困難さ】や,「周り」「人」「気になる」など【人の目が気になる】といった要素も確認された.
【考察】
対象者目線でMOMOを活用する利点として,麻痺側上肢を生活や趣味活動で楽に使えること,そして自主トレで活用することで,有効な支援が行える可能性が示唆された.一方,MOMO本体の重さにより,対象者自身でのMOMOの設置や調整に難渋したことや,人の目が気になる等の課題が伺えた.設置については,MOMOを病棟もしくは自室に常設することや,セラピストによる事前指導や調整で対応できると思われる.対象者によっては人の目や機器への抵抗感を示すことも考えられ,今後もより多くの症例からの意見を集約し,MOMOの有効的な支援方法を確立していく必要がある.
MOMOシリーズ(リハロ社製;MOMO)は,主に神経難病患者に使用されるアームサポートである.近年では,回復期リハビリテーション(リハ)病棟において,生活支援及びリハ機器としての活用例も報告されている.しかし,MOMOを活用した対象者からの意見を基にした分析例はまだ見当たらない.本研究では,MOMOを活用した回復期リハ病棟の症例2名に対して実施したインタビュー調査から,MOMOの利点と課題について探索することを目的とした.なお,今回発表に際し症例本人に書面にて説明し,同意を得ている.
【方法】
MOMOを活用した症例2名に対し,それぞれ約30分の半構造化インタビューを筆者が実施した.インタビューは「MOMOの使用経験内容」「良かった点」「課題点」を含む内容とした.次に,インタビュー内容をテキストデータに書き起こし.樋口(2020)が開発したKH Coder3を活用して定量的内容分析を行った.分析結果はKWICコンコーダンスにて原文を参照し,語の取捨選択や標記の統一を行った.そして,「作業」「療法」「士」などは,別単語として抽出されないように,強制抽出語として「作業療法士」に変換した.分析は,出現頻度の高い語の抽出や共起ネットワークによる出現パターンの可視化を行い,解釈を加えた.
【症例提示と介入内容】
症例①:40歳代男性,ラクナ梗塞による右麻痺を呈し,Brunnstrom Recovery Stage(BRS)上肢Ⅳ,手指Ⅳであった.MOMOプライムを活用して病棟での食事動作(自助箸の併用)と自主トレーニング(トレ)支援を行った.症例②:80歳代男性,後縦靭帯骨化症と頚椎損傷により,頸椎C4髄節レベル以下の不全麻痺を呈した.左上肢全般Manual Muscle Test(MMT)3,右上肢全般MMT 2+であった,囲碁を趣味としており,MOMOを活用した食事動作支援(ユニバーサルカフの併用)と,MOMOプライムを使用した囲碁活動(指サックの併用)の支援を行った.
【結果】
総抽出語は「1798」,出現頻度は「使う」「MOMO」「麻痺側」「思う」「手」「肩」「自分」「動く」の順に多かった.共起ネットワークでは,6個のSubgraphが検出され,主なクラスターとして,「麻痺」「生活」「楽」や「MOMO」「自分」「肩」「手」「使う」「動く」「麻痺側」等,【MOMOを活用して生活上で楽に上肢を動かせる】や,「自主トレ」「動かす」「痛い」「字」「書く」等,【自主トレとしての活用】が挙がっている.一方で,「MOMO本体」「重い」「設置」等,【自身でのテーブル設置の困難さ】や,「周り」「人」「気になる」など【人の目が気になる】といった要素も確認された.
【考察】
対象者目線でMOMOを活用する利点として,麻痺側上肢を生活や趣味活動で楽に使えること,そして自主トレで活用することで,有効な支援が行える可能性が示唆された.一方,MOMO本体の重さにより,対象者自身でのMOMOの設置や調整に難渋したことや,人の目が気になる等の課題が伺えた.設置については,MOMOを病棟もしくは自室に常設することや,セラピストによる事前指導や調整で対応できると思われる.対象者によっては人の目や機器への抵抗感を示すことも考えられ,今後もより多くの症例からの意見を集約し,MOMOの有効的な支援方法を確立していく必要がある.