[PN-1-5] ポスター:地域 1職域におけるアルコール関連問題に対するGoogleフォームを用いた調査及び介入
産業精神保健への広がりを目指して
はじめに 健康日本21において「生活習慣病のリスクを高める量である純アルコール(以下,AL)換算で男性40g/日以上,女性20g/日以上の飲酒者(以下,危険飲酒者)を15%削減する」とある.また,AL健康障害対策推進基本計画では「AL依存症の啓発や予防対策などが急務である」と言われている.今回,食品加工会社(A社)に勤める50歳代男性のAL依存症患者への産業医,保健師などを巻き込んだアプローチを行い,復職することができた.支援を行ったことをきっかけにA社の協力のもと,当院の地域に向けたAL問題への早期介入事業であるアンケート調査に協力を得ることができたため, 性別,年代別での全国調査との比較や早期介入の重要性について報告する.
方法 A社協力のもと定期的な職員健診時にQRコード(Googleフォーム)を配布し,「飲酒の頻度,量,寝酒の有無」について質問した.回答時には「ドリンク(1ドリンク=純AL換算で10g)という単位,ドリンクの一覧表」についての説明,回答後には自動返信メール機能を用いて「ドリンクの目安,ドリンクを用いた飲酒運転対策」など,AL問題についての正しい知識を回答者が学べるように工夫した.なお,本研究発表を行うにあたり,回答者に本研究発表以外では使用をしないことを説明し,回答をもって同意を得たこととした.
結果 有効回答率は81.3%(911名),男性535名,女性376名であった.全国を対象に行われた厚生労働省の国民健康・栄養調査との比較では危険飲酒者が全体で30%(全国9.6%),男女別では男性が32%(全国14.4%),女性が26%(全国5.6%)となり,全国調査と比較しても高値であった.年代別の調査では男女ともに40代以下の世代の危険飲酒者が多く,特に30代以下の女性は40%であった.また,寝酒をする方は全体で15%となった.そのうち約半数が危険飲酒者であった.
考察 調査後,主治医とOTRで保健師に対し,結果やAL問題への指導法などを当院オリジナルのAL問題早期介入マニュアルを介して説明した.説明後に受診相談などがあった.コロナ禍で様々な調査や介入が困難な状況が続いているが,発想の転換を行い,Googleフォームを用いて非接触型でも行うことができる調査や介入をICTの技術を駆使して無料で行うことができた.中でも回答者への自動返信メールを用いたブリーフインターベーション(飲酒習慣の行動変容を目指す,短時間のカウンセリング)をオートマチックに行うことができたことは,対人形式や紙媒体の介入に加えた新たな手段となるのではないだろうか.このような調査や介入は産業保健の分野でも取り組む意義の大きい課題であるため,見落とされやすいAL関連問題への早期介入などに取り組みながら作業療法士の職域拡大なども目指していきたい. 厚生労働省の研究にもあるように日本で100万人以上とされるアルコール依存症患者の中で,専門医療機関で治療を受けている患者は約5万人と非常に少なく,治療の裾野を広げることが課題となっている.今回,退院支援をきっかけにA社に調査を行うことができた.
近年,従業員の健康と生産性の向上を結びつける健康経営に対しては,多くの企業が目を向けるようになっている.健康経営の視点からは,プレゼンティーズム(健康の問題を抱えつつも仕事を行っていることによる生産性損失)としてのAL関連問題が,これまで以上に注目される可能性が高いことから長崎県県央エリア唯一の依存症専門医療機関である当院の産業保健分野に向けた啓発や介入は重要であると考える.
方法 A社協力のもと定期的な職員健診時にQRコード(Googleフォーム)を配布し,「飲酒の頻度,量,寝酒の有無」について質問した.回答時には「ドリンク(1ドリンク=純AL換算で10g)という単位,ドリンクの一覧表」についての説明,回答後には自動返信メール機能を用いて「ドリンクの目安,ドリンクを用いた飲酒運転対策」など,AL問題についての正しい知識を回答者が学べるように工夫した.なお,本研究発表を行うにあたり,回答者に本研究発表以外では使用をしないことを説明し,回答をもって同意を得たこととした.
結果 有効回答率は81.3%(911名),男性535名,女性376名であった.全国を対象に行われた厚生労働省の国民健康・栄養調査との比較では危険飲酒者が全体で30%(全国9.6%),男女別では男性が32%(全国14.4%),女性が26%(全国5.6%)となり,全国調査と比較しても高値であった.年代別の調査では男女ともに40代以下の世代の危険飲酒者が多く,特に30代以下の女性は40%であった.また,寝酒をする方は全体で15%となった.そのうち約半数が危険飲酒者であった.
考察 調査後,主治医とOTRで保健師に対し,結果やAL問題への指導法などを当院オリジナルのAL問題早期介入マニュアルを介して説明した.説明後に受診相談などがあった.コロナ禍で様々な調査や介入が困難な状況が続いているが,発想の転換を行い,Googleフォームを用いて非接触型でも行うことができる調査や介入をICTの技術を駆使して無料で行うことができた.中でも回答者への自動返信メールを用いたブリーフインターベーション(飲酒習慣の行動変容を目指す,短時間のカウンセリング)をオートマチックに行うことができたことは,対人形式や紙媒体の介入に加えた新たな手段となるのではないだろうか.このような調査や介入は産業保健の分野でも取り組む意義の大きい課題であるため,見落とされやすいAL関連問題への早期介入などに取り組みながら作業療法士の職域拡大なども目指していきたい. 厚生労働省の研究にもあるように日本で100万人以上とされるアルコール依存症患者の中で,専門医療機関で治療を受けている患者は約5万人と非常に少なく,治療の裾野を広げることが課題となっている.今回,退院支援をきっかけにA社に調査を行うことができた.
近年,従業員の健康と生産性の向上を結びつける健康経営に対しては,多くの企業が目を向けるようになっている.健康経営の視点からは,プレゼンティーズム(健康の問題を抱えつつも仕事を行っていることによる生産性損失)としてのAL関連問題が,これまで以上に注目される可能性が高いことから長崎県県央エリア唯一の依存症専門医療機関である当院の産業保健分野に向けた啓発や介入は重要であると考える.