[PN-1-8] ポスター:地域 1家族会支援における作業療法士の役割
親子への支援を通して
【はじめに】
家族会は障害や課題を抱える当事者の最も身近な支援者である家族を自助的に支える団体として機能し,発展してきた.しかし家族会は停滞・衰退状況にあるところが多く,思うような活動ができていないことが課題となっている.その一因として家族会の半数以上で,専門職による支援がほとんど得られていないことが挙げられる.家族会が主体的に活動をおこなうためには専門職の継続した関わりが必要である.家族会はひきこもり状態の子を持つ親の家族支援の場にもなっており,京都府作業療法士会ひきこもり支援OTチーム(以下OTチーム)の活動の一環として家族会「ことのは」への支援を行っている.本報告ではその支援経過を整理し,家族会に対して精神科作業療法士が行う支援についての役割,意義について検討し報告する.
【方法】
家族会「ことのは」における作業療法士の実践を報告する.「ことのは」は義務教育の際,コミュニケーション課題に対して,通級教室にて支援を受けていたOB・OG(10~15名),その親(10名程度)と通級教室元教員にて構成された家族会である.月一回の開催で,親の会での話し合いや研修会,イベントの企画・実施を行ってきたが,子との関わりに進展がなく停滞していた.そこで専門職としての支援をして欲しいと支援センター職員から依頼があり,2018年9月から支援を開始し,親の会への参加,イベントへの参加,子との交流を行った.本報告は宇治おうばく病院倫理委員会と「ことのは」親の会の承認を得ている.
【結果】
2018年10月より2020年2月まで親の会に定期的に参加(6回). 活動内容は参加者の子の現状の共有し,これまでの体験から子への接し方について模索する相互支援を行っていた.参加者は子の現状を障害由来のものと考える傾向が強い反面,制度や社会資源の利用についての情報が少ない. 2022年1月からOTチームスタッフと親の会参加者と,SNSにて情報共有に利用している.
2018年11月から親子でのイベント(たこ焼きパーティー,電車旅行,フリーマーケット参加)に企画・準備から参加(7回).OTチームスタッフと関わったり,企画を説明したりする子の姿や,フリーマーケットの作品を見て,子の健康的な部分を知り,楽しんで参加する親の姿もあった.
親の会より,当事者中心でのグループトーク活動を実施して欲しいと依頼があり,2019年7月より実施(3回).ひきこもり状態にない子の参加者5~6名,通級教室元教師とOTチームスタッフでグループトークの導入を行い,子らの会話を促す.「スマホのパスワードが覚えられない.どうしたらいい?」など,周囲に理解されにくい話題を受容的な集団の中で議論することで共感・対処方法を得ることが出来た. 2020年2月からコロナ禍においてグループトーク活動が出来なくなったため,2020年9月から子と,SNSにて交流を続けている.
【考察】
対象の家族会は親が中心に集まり,自助的な機能を持ち運営されている.そのため同じ課題を抱える内向的な集団になってしまう傾向にあった.今回,親の拠り所としての家族会を,子の活動の場までその機能を拡大することが出来た.個々の特性に合わせた関わり方の提示や情報提供だけではなく,集団プログラムの企画・運営を,個と集団の視点で支援できる精神科作業療法士の知識・技術の有効性が示唆されたと考える.
今後,子が参加できる家族会の機能を維持しつつ,ひきこもり状態にある子が安心して参加できる場を作り,同じ課題を抱える家族会に対して支援を拡大していきたい.
家族会は障害や課題を抱える当事者の最も身近な支援者である家族を自助的に支える団体として機能し,発展してきた.しかし家族会は停滞・衰退状況にあるところが多く,思うような活動ができていないことが課題となっている.その一因として家族会の半数以上で,専門職による支援がほとんど得られていないことが挙げられる.家族会が主体的に活動をおこなうためには専門職の継続した関わりが必要である.家族会はひきこもり状態の子を持つ親の家族支援の場にもなっており,京都府作業療法士会ひきこもり支援OTチーム(以下OTチーム)の活動の一環として家族会「ことのは」への支援を行っている.本報告ではその支援経過を整理し,家族会に対して精神科作業療法士が行う支援についての役割,意義について検討し報告する.
【方法】
家族会「ことのは」における作業療法士の実践を報告する.「ことのは」は義務教育の際,コミュニケーション課題に対して,通級教室にて支援を受けていたOB・OG(10~15名),その親(10名程度)と通級教室元教員にて構成された家族会である.月一回の開催で,親の会での話し合いや研修会,イベントの企画・実施を行ってきたが,子との関わりに進展がなく停滞していた.そこで専門職としての支援をして欲しいと支援センター職員から依頼があり,2018年9月から支援を開始し,親の会への参加,イベントへの参加,子との交流を行った.本報告は宇治おうばく病院倫理委員会と「ことのは」親の会の承認を得ている.
【結果】
2018年10月より2020年2月まで親の会に定期的に参加(6回). 活動内容は参加者の子の現状の共有し,これまでの体験から子への接し方について模索する相互支援を行っていた.参加者は子の現状を障害由来のものと考える傾向が強い反面,制度や社会資源の利用についての情報が少ない. 2022年1月からOTチームスタッフと親の会参加者と,SNSにて情報共有に利用している.
2018年11月から親子でのイベント(たこ焼きパーティー,電車旅行,フリーマーケット参加)に企画・準備から参加(7回).OTチームスタッフと関わったり,企画を説明したりする子の姿や,フリーマーケットの作品を見て,子の健康的な部分を知り,楽しんで参加する親の姿もあった.
親の会より,当事者中心でのグループトーク活動を実施して欲しいと依頼があり,2019年7月より実施(3回).ひきこもり状態にない子の参加者5~6名,通級教室元教師とOTチームスタッフでグループトークの導入を行い,子らの会話を促す.「スマホのパスワードが覚えられない.どうしたらいい?」など,周囲に理解されにくい話題を受容的な集団の中で議論することで共感・対処方法を得ることが出来た. 2020年2月からコロナ禍においてグループトーク活動が出来なくなったため,2020年9月から子と,SNSにて交流を続けている.
【考察】
対象の家族会は親が中心に集まり,自助的な機能を持ち運営されている.そのため同じ課題を抱える内向的な集団になってしまう傾向にあった.今回,親の拠り所としての家族会を,子の活動の場までその機能を拡大することが出来た.個々の特性に合わせた関わり方の提示や情報提供だけではなく,集団プログラムの企画・運営を,個と集団の視点で支援できる精神科作業療法士の知識・技術の有効性が示唆されたと考える.
今後,子が参加できる家族会の機能を維持しつつ,ひきこもり状態にある子が安心して参加できる場を作り,同じ課題を抱える家族会に対して支援を拡大していきたい.