[PN-11-3] ポスター:地域 11循環器疾患に対する訪問作業療法の実態調査
【はじめに】
団塊の世代が75歳を迎える2025年は間近に迫っている.人口統計からも高齢人口は今後30年ほどは増加傾向となる.高齢者の増加に伴い,心不全などの循環器疾患患者の増加も予想され,在宅でも循環器疾患に対応したリハビリテーションの必要性は高まってくると考えられる.病院における心臓リハビリテーションの調査は散見されるが在宅における調査はなかった.そこで本研究では訪問リハビリテーション(訪問看護ステーションからのリハビリテーションスタッフによる訪問)において,循環器疾患に対する作業療法(以下OT)の実態を明らかにすることを目的とした.
【方法】
研究対象候補者は,日本作業療法士協会会員名簿に登録されている訪問看護ステーション勤務者とした.日本作業療法士協会に無作為抽出を依頼し,抽出された600名にGoogleフォームでの無記名webアンケート依頼を送付し,回答をもって本研究への同意とみなした.アンケートでは,「基本属性」「OTの評価」「OTの目標」「OTの実施内容」の回答を求めた.回収期間は1ヶ月とし,アンケート各項目の単純集計をExcelで実施した.なお,本研究における循環器疾患は,身体障害者福祉法で定義される心臓機能障害と同義とし,依頼文にも明記することで回答者の用語理解の統一を図った.また,本研究は所属機関の倫理審査委員会の承認を得て実施した.
【結果】
アンケートには218名の回答を得た(有効回答率36.3%). そのうち循環器疾患を担当したことがあるという回答は147名(64.7%)だった.「OTの評価」では,生活歴や趣味,役割などの個人因子について95%以上が実施していた.基本的能力についてはばらつきがあるものの,筋力・筋持久力,関節可動域,心肺機能は85%上が実施していた.応用的能力,社会適応能力では,起居移動,身辺処理,生活リズム,家事・公共交通機関の利用,余暇活動について90%以上が実施していた.環境は,家族関係,生活環境,住居について90%以上が実施しており,11%と一部ではあるが学校や職場環境の評価を実施しているという回答もあった.「OTの目標」では,運動機能の維持や身辺処理能力の維持,日常生活活動の改善といった基本的な能力の維持・改善が85%以上で挙げられていた.その他に,健康管理能力の維持・改善(78.8%)や生活リズムの改善(75.9%)が回答数の上位だった.「OTの実施内容」としては,基本的動作訓練(93.5%),日常生活活動(90.6%),身体運動活動(79.7%)など運動や動作に関することのほか,相談・指導・調整は87%の回答を得た.
【考察】
今回の調査結果では回答者のうち64.7%が循環器疾患の利用者を担当しており,OTの評価でも持久力や心肺機能などの心機能に関連する評価を実施していた.OTの目標や実施内容でも,基本的動作や日常生活活動を維持するために健康管理能力にも着目している点は循環器疾患の利用者への対応として特徴的と考えられる.平成24年度の生活期リハビリテーションの実態調査においても,訪問リハビリテーションにおける利用者割合は脳血管疾患,関節疾患に次いで心疾患は3番目に多い疾患となっている.在宅でも循環器疾患に対応できる能力が必要とされるが,病院における作業療法とは異なり,在宅では心機能のモニタリングが難しいことも予想され,現場で生じる課題についても明らかにしていく必要性がある.
団塊の世代が75歳を迎える2025年は間近に迫っている.人口統計からも高齢人口は今後30年ほどは増加傾向となる.高齢者の増加に伴い,心不全などの循環器疾患患者の増加も予想され,在宅でも循環器疾患に対応したリハビリテーションの必要性は高まってくると考えられる.病院における心臓リハビリテーションの調査は散見されるが在宅における調査はなかった.そこで本研究では訪問リハビリテーション(訪問看護ステーションからのリハビリテーションスタッフによる訪問)において,循環器疾患に対する作業療法(以下OT)の実態を明らかにすることを目的とした.
【方法】
研究対象候補者は,日本作業療法士協会会員名簿に登録されている訪問看護ステーション勤務者とした.日本作業療法士協会に無作為抽出を依頼し,抽出された600名にGoogleフォームでの無記名webアンケート依頼を送付し,回答をもって本研究への同意とみなした.アンケートでは,「基本属性」「OTの評価」「OTの目標」「OTの実施内容」の回答を求めた.回収期間は1ヶ月とし,アンケート各項目の単純集計をExcelで実施した.なお,本研究における循環器疾患は,身体障害者福祉法で定義される心臓機能障害と同義とし,依頼文にも明記することで回答者の用語理解の統一を図った.また,本研究は所属機関の倫理審査委員会の承認を得て実施した.
【結果】
アンケートには218名の回答を得た(有効回答率36.3%). そのうち循環器疾患を担当したことがあるという回答は147名(64.7%)だった.「OTの評価」では,生活歴や趣味,役割などの個人因子について95%以上が実施していた.基本的能力についてはばらつきがあるものの,筋力・筋持久力,関節可動域,心肺機能は85%上が実施していた.応用的能力,社会適応能力では,起居移動,身辺処理,生活リズム,家事・公共交通機関の利用,余暇活動について90%以上が実施していた.環境は,家族関係,生活環境,住居について90%以上が実施しており,11%と一部ではあるが学校や職場環境の評価を実施しているという回答もあった.「OTの目標」では,運動機能の維持や身辺処理能力の維持,日常生活活動の改善といった基本的な能力の維持・改善が85%以上で挙げられていた.その他に,健康管理能力の維持・改善(78.8%)や生活リズムの改善(75.9%)が回答数の上位だった.「OTの実施内容」としては,基本的動作訓練(93.5%),日常生活活動(90.6%),身体運動活動(79.7%)など運動や動作に関することのほか,相談・指導・調整は87%の回答を得た.
【考察】
今回の調査結果では回答者のうち64.7%が循環器疾患の利用者を担当しており,OTの評価でも持久力や心肺機能などの心機能に関連する評価を実施していた.OTの目標や実施内容でも,基本的動作や日常生活活動を維持するために健康管理能力にも着目している点は循環器疾患の利用者への対応として特徴的と考えられる.平成24年度の生活期リハビリテーションの実態調査においても,訪問リハビリテーションにおける利用者割合は脳血管疾患,関節疾患に次いで心疾患は3番目に多い疾患となっている.在宅でも循環器疾患に対応できる能力が必要とされるが,病院における作業療法とは異なり,在宅では心機能のモニタリングが難しいことも予想され,現場で生じる課題についても明らかにしていく必要性がある.