[PN-2-6] ポスター:地域 2「家族介護者の生活行為への関与」に関する質問紙の併存妥当性の検討
在宅生活を支援する家族介護者の心境の整理
目的:我々は,家族介護者の生活行為に焦点化した質問紙(南ら.,2017)を試作した.本質問紙の内容は,家族介護者の介護状況(14項目)と作業経験(19項目),対処環境(9項目)の3因子に整理され,家族介護者自身で回答することにより,コーピング課題の明確化が行え,家族介護者の生活行為の状態に考慮した支援への活用が期待できる.本研究では,本質問紙の各項目が適切に測定できているかについて,心理的状態とストレス対処状態を確認できるState trait anxiety inventory (STAI)とStress coping inventory (SCI)との併存妥当性を検討した.
対象選定:本研究の対象者は,在宅支援を受けている療養者の家族介護者(年齢は50歳~60歳代)で,療養者の配偶者および第1~2親等までとした.対象者は,日常生活する上で明らかな認知判断の機能の低下を認めない者とした.除外基準は,介護保険の認定が不明な者とした.
方法:インターネット調査を用いて,本質問紙の42項目(4件法で程度を回答),STAIの40項目,SCIの64項目,年齢や性別などの基本情報への回答を求めた.得られたデータから,本質問紙の天井効果(平均値+標準偏差)と床効果(平均値-標準偏差)を確認し,評定の上限値と下限値を超えていないかの項目分析をおこなった.併存妥当性では,現在おかれている状態と緊張や心配などの気持ちの割合を予測するSTAIの各因子の合計点,ストレスの対処の仕方についての対処型を予測するためにSCIの各要因と合計点について相関分析をおこなった.分析はHAD(Shimizu;2016)のカテゴリカル相関分析を用いた.相関係数0.2以上を相関ありとした(Guilford, 1956).本質問紙の介護状況14項目はSTAIの状態不安と特性不安,作業経験19項目はSCIの計画型と肯定評価型の因子,対処環境9項目はSCIの社会的支援模索型と責任受容型の因子との相関関係を想定した.
結果:対象者は227名で,分析対象は201名(男性:99名,女性:102名,有効回答率88.5%)であった.家族介護者の平均年齢58.59年(SD値5.25),療養者の平均年齢85.51歳(SD値8.40)であった.在宅介護歴は,3ヶ月未満7名,6ヶ月未満15名,1年未満20名,1年以上159名であった.本質問紙の項目分析の結果は,天井効果に「気持ちを整理するために日記やメールなどに日々の活動の記録を残している(作業経験)」の1項目,床効果に「療養者が自宅生活を続けたい気持ちを感じている(対処環境)」の1項目,計2項目を認めた.併存的妥当性の相関分析の結果,介護状況の全項目はSTAIの状態不安と特性不安に相関を認めた.作業経験の項目は「療養者の役割の一部を引き継いでいる」,「今しかできない活動に取り組めている」の2項目以外でSCIの計画型と肯定評価の因子に相関を認めた.対処環境の全項目はSCIの社会支援模索型と責任受容型の因子に相関を認めた.
考察:本研究の結果,本質問紙の4項目(作業経験3項目,対処環境1項目)では,項目の回答に偏りが生じ,関連する概念との関連性が乏しいことが予測された.この4項目は,介護者の看取り経験を想定した内容(Minami et al., 2013)であったため,長期療養の多い本研究対象者には該当しにくいことが考えられた.本質問紙で天井効果,床効果がなく,良好な併存的妥当性を認めた項目を基盤として,療養者の家族介護者の生活行為に焦点化した質問紙を発展させられると考える.
課題:今後の課題は,療養者の疾患や療養の特性による分析である.療養の特性別では異なる結果が生じる可能性がある.
研究倫理:本研究は群馬パース大学の研究倫理審査委員会(承認番号:PAZ21-12)の承認を得て実施した.対象者への説明はURLで説明書を常に確認でき,同意は数回のチェックを必要とした.
対象選定:本研究の対象者は,在宅支援を受けている療養者の家族介護者(年齢は50歳~60歳代)で,療養者の配偶者および第1~2親等までとした.対象者は,日常生活する上で明らかな認知判断の機能の低下を認めない者とした.除外基準は,介護保険の認定が不明な者とした.
方法:インターネット調査を用いて,本質問紙の42項目(4件法で程度を回答),STAIの40項目,SCIの64項目,年齢や性別などの基本情報への回答を求めた.得られたデータから,本質問紙の天井効果(平均値+標準偏差)と床効果(平均値-標準偏差)を確認し,評定の上限値と下限値を超えていないかの項目分析をおこなった.併存妥当性では,現在おかれている状態と緊張や心配などの気持ちの割合を予測するSTAIの各因子の合計点,ストレスの対処の仕方についての対処型を予測するためにSCIの各要因と合計点について相関分析をおこなった.分析はHAD(Shimizu;2016)のカテゴリカル相関分析を用いた.相関係数0.2以上を相関ありとした(Guilford, 1956).本質問紙の介護状況14項目はSTAIの状態不安と特性不安,作業経験19項目はSCIの計画型と肯定評価型の因子,対処環境9項目はSCIの社会的支援模索型と責任受容型の因子との相関関係を想定した.
結果:対象者は227名で,分析対象は201名(男性:99名,女性:102名,有効回答率88.5%)であった.家族介護者の平均年齢58.59年(SD値5.25),療養者の平均年齢85.51歳(SD値8.40)であった.在宅介護歴は,3ヶ月未満7名,6ヶ月未満15名,1年未満20名,1年以上159名であった.本質問紙の項目分析の結果は,天井効果に「気持ちを整理するために日記やメールなどに日々の活動の記録を残している(作業経験)」の1項目,床効果に「療養者が自宅生活を続けたい気持ちを感じている(対処環境)」の1項目,計2項目を認めた.併存的妥当性の相関分析の結果,介護状況の全項目はSTAIの状態不安と特性不安に相関を認めた.作業経験の項目は「療養者の役割の一部を引き継いでいる」,「今しかできない活動に取り組めている」の2項目以外でSCIの計画型と肯定評価の因子に相関を認めた.対処環境の全項目はSCIの社会支援模索型と責任受容型の因子に相関を認めた.
考察:本研究の結果,本質問紙の4項目(作業経験3項目,対処環境1項目)では,項目の回答に偏りが生じ,関連する概念との関連性が乏しいことが予測された.この4項目は,介護者の看取り経験を想定した内容(Minami et al., 2013)であったため,長期療養の多い本研究対象者には該当しにくいことが考えられた.本質問紙で天井効果,床効果がなく,良好な併存的妥当性を認めた項目を基盤として,療養者の家族介護者の生活行為に焦点化した質問紙を発展させられると考える.
課題:今後の課題は,療養者の疾患や療養の特性による分析である.療養の特性別では異なる結果が生じる可能性がある.
研究倫理:本研究は群馬パース大学の研究倫理審査委員会(承認番号:PAZ21-12)の承認を得て実施した.対象者への説明はURLで説明書を常に確認でき,同意は数回のチェックを必要とした.