第56回日本作業療法学会

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[PN-2] ポスター:地域 2

2022年9月16日(金) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (イベントホール)

[PN-2-8] ポスター:地域 2作業療法関連の記事に含まれる介護予防関連の新聞記事数の年次推移

大森 大輔1井村 亘2大西 正裕2倉本 由伽3 (1医療法人 紀典会 北川病院,2玉野総合医療専門学校,3株式会社三葉 COMPASS発達支援センター丸亀Link)

【はじめに】我が国では2000年より介護保険制度が施行され,2006年に介護予防給付として介護予防事業が実施されるようになった.介護予防において,要支援者や要介護状態になる恐れのある方に対して,運動機能・認知機能・口腔機能・生活機能へのバランスのとれたサービスの提供や地域の中で高齢者が主体となってより高い生活機能の実現に向けた取り組みが必要である.このような地域支援事業の中で作業療法士の活用を推進するためには,社会の人々の介護予防に関する作業療法の認識を高めることが必要であろう.さて,マスメディアが取り上げる話題や報道する頻度は社会の人々のその話題に対する認識に影響を与えると考えられている.マスメディアの中でも情報の信頼度が高いと社会の人々に認識されている新聞記事において,作業療法関連の記事数は増加してきていることが明らかとなっている.しかし,介護予防関連の記事に含まれる作業療法関連の記事数の年次推移や,介護予防関連の記事における作業療法関連の記事の割合の年次推移は明らかとなっていない.そのため,社会の人々の介護予防に対する作業療法の認識の変遷は明らかではない.
【目的】本研究は,社会の人々の介護予防に対する作業療法の認識の変遷を知ることをねらいとして,介護予防関連の記事に含まれる作業療法関連の記事の数の年次推移と介護予防関連の記事における作業療法関連の記事の割合の年次推移を明らかとすることを目的とした.
【方法】調査対象は,普及率が日本で上位3紙である読売・朝日・産経新聞のデータベースの閲覧が可能である1999年~2021年の朝刊および夕刊とした.調査方法は,3紙のデータベースに対して,キーワードを「介護予防」and「作業療法」として検索し,見出しおよび本文中に「介護予防」「作業療法」の両方の単語が含まれる記事を抽出した.その後,抽出された「介護予防」「作業療法」の両方の単語が含まれる3紙の記事の数を年次ごとに合計した.次に,「介護予防」「作業療法」の両方の単語が含まれる3紙の合計記事数の1999年~2021年の年次推移の勾配を示す近似直線の傾きを算出した.また,「介護予防」「作業療法」の両方の単語が含まれる3紙の合計記事数を,「介護予防」の単語が含まれる2紙の合計記事数で除した値に100を乗じ,介護予防関連の記事に含まれる「作業療法」の単語を含む記事の割合(%)を年次ごとに算出した.次に,その割合(%)の1999年~2021年の年次推移の勾配を示す近似直線の傾きを算出した.
【倫理】本研究は新聞記事の内容を分析対象としており,人を対象とする倫理指針に基づく倫理的配慮を要する研究には該当しない.また,申告すべき利益相反はない.
【結果】結果は,「介護予防」「作業療法」の両方の単語が含まれる記事数は,1999年は0記事,2014年は7記事,2021年は3記事であり,1999年~2021年の年次推移の近似直線の傾きは,0.10であった.介護予防関連の記事に含まれる作業療法関連の記事の割合は,1999年は0%,2014年は3.4%,2021年は2.83%であり,1999年~2021年の年次推移の近似直線の傾きは,0.07であった.
【考察】本研究の結果より,介護予防関連の記事に含まれる作業療法関連の記事の数及び割合は増加傾向であることが明らかとなった.このことは,社会の人々が介護予防に作業療法が寄与するといった認識と介護予防全般に対する認識の中でも,作業療法に対する認識が高まってきている可能性があることを示唆している.今後は,介護予防関連の記事に含まれる作業療法の記事の内容を分析することにより,社会の人々がどのように介護予防に作業療法が関与していると認識しているのかを検討する必要がある.