[PN-3-3] ポスター:地域 3大阪府における生活課題アセスメント訪問指導者養成の取り組み
【はじめに】超高齢社会を迎え,地域包括ケアシステムの構築が進められている中,大阪府の要介護・要支援認定率は全国第1位であり,特に要支援者の割合が多いという課題がある.そこで,大阪府は府内市町村に対する介護予防・日常生活支援総合事業(以下,総合事業)や包括的支援事業の効果的な運営を支援するアプローチを開始した.その一つとして,令和2年度より介護予防ケアマネジメントの効果的な実施を目的にリハビリ専門職の指導者を養成する「生活課題アセスメント訪問指導者養成スクール(以下,スクール)」を大阪府作業療法士会(以下,士会)と連携し実施している.スクールは1年目の入門コース(以下,入門C)と2年目の実践コース(以下,実践C)からなる.訪問指導とは,地域包括支援センター(以下,包括)職員やケアマネジャー(以下,ケアマネ)と総合事業対象者・要支援者の自宅に同行訪問し,自立支援の視点で生活活動の評価とサービスの提案を行うものである.現在1期生が養成課程を修了し,市町村支援を行っている.士会は令和3年度から入門Cの運営を受託し,大阪府と協働で実施している.
【目的】市町村支援の実践状況を調査し,スクールにおける研修内容と今後の課題について検討することである.
【方法】受講要件は生活行為向上マネジメント(MTDLP)基礎研修修了者とし,士会が各市3〜4名を推薦した.入門Cは講義・演習6日と実習4日で,講義は自立支援や介護予防ケアマネジメント・総合事業の理解,ケアマネ・管理栄養士・歯科衛生士・理学療法士ら他職種の理解,コミュニケーション技術などとした.演習は訪問指導技術の指標としてルーブリックを作成し,事例を検討した.実習はケアマネと同行訪問を行った.実践Cは,入門C修了者が受講し,大阪府が定めた重点支援市町等から担当市町村を決定し,訪問指導を開始した.また,フォローアップ研修として4日,事例報告とグループディスカッションや情報交換を行った.
調査は1期生を対象とし,令和4年2月1日〜5日までWebアンケートを用いて回答を求めた.訪問指導実績,ルーブリック評価項目をベースとした自己評価を尋ねた.自己評価は,生活活動アセスメント5項目,ケアマネ支援3項目を4件法で確認した.加えて,自由記述で工夫点・困りごと・意見・今後の課題の意見を求めた.回答者には事前説明を行い,同意を得て行った.開示すべきCOIはない.
【結果】研修修了者は28名で,療法士経験年数は6~10年5名(17.9%),11~15年10名(35.7%),15年以上(46.4%)であった.修了者のうち15名(53.6%),のべ70件訪問指導を実施したが13名は未実施であった.重点支援7市のうち5市で訪問指導を開始した.自己評価の回答を2値に分けた分析では,生活活動アセスメントが「役に立った」の回答は,工程分析,要因分析,予後予測は90%以上だが,生活活動自立の判断は約66%,解決すべきか否かの判断は約85%であった.ケアマネ支援が「できたと思う」の回答は,専門用語を使用しない説明,提案型の意見が100%,ポイントを押さえた説明は約85%であった.自由記述では適切なサービス提案の工夫などが多く,特に通所型サービスCに関連した課題が多かった.
【考察】訪問指導はサービス提案まで行うため,「予後予測を踏まえた自立の判断」や「ポイントを押さえた説明」に役立つ研修内容の充実が必要と考えられた.今回報告するスクールは全国初の取り組みである.今後は実践内容の多面的な分析を行い,療法士による訪問指導の意義・役割について検討していきたい.
【目的】市町村支援の実践状況を調査し,スクールにおける研修内容と今後の課題について検討することである.
【方法】受講要件は生活行為向上マネジメント(MTDLP)基礎研修修了者とし,士会が各市3〜4名を推薦した.入門Cは講義・演習6日と実習4日で,講義は自立支援や介護予防ケアマネジメント・総合事業の理解,ケアマネ・管理栄養士・歯科衛生士・理学療法士ら他職種の理解,コミュニケーション技術などとした.演習は訪問指導技術の指標としてルーブリックを作成し,事例を検討した.実習はケアマネと同行訪問を行った.実践Cは,入門C修了者が受講し,大阪府が定めた重点支援市町等から担当市町村を決定し,訪問指導を開始した.また,フォローアップ研修として4日,事例報告とグループディスカッションや情報交換を行った.
調査は1期生を対象とし,令和4年2月1日〜5日までWebアンケートを用いて回答を求めた.訪問指導実績,ルーブリック評価項目をベースとした自己評価を尋ねた.自己評価は,生活活動アセスメント5項目,ケアマネ支援3項目を4件法で確認した.加えて,自由記述で工夫点・困りごと・意見・今後の課題の意見を求めた.回答者には事前説明を行い,同意を得て行った.開示すべきCOIはない.
【結果】研修修了者は28名で,療法士経験年数は6~10年5名(17.9%),11~15年10名(35.7%),15年以上(46.4%)であった.修了者のうち15名(53.6%),のべ70件訪問指導を実施したが13名は未実施であった.重点支援7市のうち5市で訪問指導を開始した.自己評価の回答を2値に分けた分析では,生活活動アセスメントが「役に立った」の回答は,工程分析,要因分析,予後予測は90%以上だが,生活活動自立の判断は約66%,解決すべきか否かの判断は約85%であった.ケアマネ支援が「できたと思う」の回答は,専門用語を使用しない説明,提案型の意見が100%,ポイントを押さえた説明は約85%であった.自由記述では適切なサービス提案の工夫などが多く,特に通所型サービスCに関連した課題が多かった.
【考察】訪問指導はサービス提案まで行うため,「予後予測を踏まえた自立の判断」や「ポイントを押さえた説明」に役立つ研修内容の充実が必要と考えられた.今回報告するスクールは全国初の取り組みである.今後は実践内容の多面的な分析を行い,療法士による訪問指導の意義・役割について検討していきたい.