[PN-3-7] ポスター:地域 3在宅で生活する要支援・要介護高齢者が安全で健康的な生活環境を構築するために重要となる改善項目
【はじめに】
近年, 頻発し激甚化する自然災害や感染症の拡大に伴い, 人々の安全で健康的な生活環境の確保に向けた取り組みがより一層求められるようになった. このような状況の中, 日本においては, 急速な高齢化に伴い, 在宅で生活する要支援および要介護認定を受けた高齢者(以下, 要介護高齢者)が増加している. 要介護高齢者にとって, 変化する環境への適応は容易ではなく, 環境の変化や新しい生活様式がもたらす不利益も大きいことが推察されることから, 要介護高齢者の安全で健康的な生活環境の在り方について検討していくことが課題となる. 本研究では, 物的環境, 社会的環境, 人的環境を基軸に, 要介護高齢者の安全で健康的な生活環境を構築するために重要かつ改善が必要な項目を明らかにすることを目的とした.
【対象と方法】
本研究の対象は, 介護保険サービスを利用して在宅で生活する要介護高齢者とした. 研究協力に同意が得られた対象者に無記名の調査を実施し, 郵送で回収した. 調査項目は, 基本属性(年齢, 性別, 要介護度), 物的環境(自宅内の移動のしやすさ, 自宅内の快適さ, 外出のしやすさ, 交通の便), 社会的環境(必要な介護や支援を受けているか, サービスの利用のしやすさ, 利用しているサービスの満足度, 余暇活動への参加のしやすさ, 必要としている物や情報の入手のしやすさ), 人的環境(家族関係, 友人関係, 地域住民との関係)の計12項目に加え, 安全で健康的な生活を送る環境であるかをそれぞれ5件法で調査した. 分析にはCustomer Satisfaction (CS)分析を用い, 安全で健康的な生活環境に対する各調査項目の重要度, 満足度, 改善度を算出した. また, 重要度を横軸, 満足度を縦軸とした座標上に各項目をプロットしたCSポートフォリオグラフを作成した. 本研究はK大学の倫理審査委員会の承認を得て実施した(総倫20-34).
【結果】
調査の結果, 394人から調査票を回収し, 314人が解析対象者となった(平均年齢80.5±7.64歳, 男性129人(41.1%), 女性185人(58.9%), 要支援197人(62.7%), 要介護117人(37.3%)). CS分析の結果, 重要度が高いにもかかわらず満足度が低い重要改善項目として, 必要としている物や情報の入手のしやすさが抽出された(満足度偏差値=44.80, 重要度偏差値=68.30, 改善度=12.86).
【考察】
CS分析の結果, 在宅で生活する要介護高齢者の安全で健康的な生活環境に対する重要改善項目として, 必要としている物や情報の入手のしやすさが挙げられた. 必要な物を入手する方法のひとつに買い物があるが, 要介護高齢者にとって負担が大きく労力を伴う活動である. 介護保険サービスにおいて買い物の支援を受けることは可能だが, 支援内容は限定されている. また, 近年, ネットショッピングの普及が著しいが, 高齢者の利用は限定的であることが指摘されている. 情報通信技術の進化により, 人々の暮らしの利便性が向上する一方で, 要介護高齢者にとっては適応が難しく, 必要な物や情報を入手しにくい環境となっていることが考えられる. これは, 感染症の拡大や災害時の対応の遅れにも繋がり, 安全や健康への脅威となる. 要介護高齢者の安全で健康的な生活環境を構築するためには, 要介護高齢者が必要な物や情報を簡単に入手できるシステムの開発や情報通信の利用支援サービスの拡充, 情報技術に対応する高齢者の技術向上にむけた支援が求められる.
近年, 頻発し激甚化する自然災害や感染症の拡大に伴い, 人々の安全で健康的な生活環境の確保に向けた取り組みがより一層求められるようになった. このような状況の中, 日本においては, 急速な高齢化に伴い, 在宅で生活する要支援および要介護認定を受けた高齢者(以下, 要介護高齢者)が増加している. 要介護高齢者にとって, 変化する環境への適応は容易ではなく, 環境の変化や新しい生活様式がもたらす不利益も大きいことが推察されることから, 要介護高齢者の安全で健康的な生活環境の在り方について検討していくことが課題となる. 本研究では, 物的環境, 社会的環境, 人的環境を基軸に, 要介護高齢者の安全で健康的な生活環境を構築するために重要かつ改善が必要な項目を明らかにすることを目的とした.
【対象と方法】
本研究の対象は, 介護保険サービスを利用して在宅で生活する要介護高齢者とした. 研究協力に同意が得られた対象者に無記名の調査を実施し, 郵送で回収した. 調査項目は, 基本属性(年齢, 性別, 要介護度), 物的環境(自宅内の移動のしやすさ, 自宅内の快適さ, 外出のしやすさ, 交通の便), 社会的環境(必要な介護や支援を受けているか, サービスの利用のしやすさ, 利用しているサービスの満足度, 余暇活動への参加のしやすさ, 必要としている物や情報の入手のしやすさ), 人的環境(家族関係, 友人関係, 地域住民との関係)の計12項目に加え, 安全で健康的な生活を送る環境であるかをそれぞれ5件法で調査した. 分析にはCustomer Satisfaction (CS)分析を用い, 安全で健康的な生活環境に対する各調査項目の重要度, 満足度, 改善度を算出した. また, 重要度を横軸, 満足度を縦軸とした座標上に各項目をプロットしたCSポートフォリオグラフを作成した. 本研究はK大学の倫理審査委員会の承認を得て実施した(総倫20-34).
【結果】
調査の結果, 394人から調査票を回収し, 314人が解析対象者となった(平均年齢80.5±7.64歳, 男性129人(41.1%), 女性185人(58.9%), 要支援197人(62.7%), 要介護117人(37.3%)). CS分析の結果, 重要度が高いにもかかわらず満足度が低い重要改善項目として, 必要としている物や情報の入手のしやすさが抽出された(満足度偏差値=44.80, 重要度偏差値=68.30, 改善度=12.86).
【考察】
CS分析の結果, 在宅で生活する要介護高齢者の安全で健康的な生活環境に対する重要改善項目として, 必要としている物や情報の入手のしやすさが挙げられた. 必要な物を入手する方法のひとつに買い物があるが, 要介護高齢者にとって負担が大きく労力を伴う活動である. 介護保険サービスにおいて買い物の支援を受けることは可能だが, 支援内容は限定されている. また, 近年, ネットショッピングの普及が著しいが, 高齢者の利用は限定的であることが指摘されている. 情報通信技術の進化により, 人々の暮らしの利便性が向上する一方で, 要介護高齢者にとっては適応が難しく, 必要な物や情報を入手しにくい環境となっていることが考えられる. これは, 感染症の拡大や災害時の対応の遅れにも繋がり, 安全や健康への脅威となる. 要介護高齢者の安全で健康的な生活環境を構築するためには, 要介護高齢者が必要な物や情報を簡単に入手できるシステムの開発や情報通信の利用支援サービスの拡充, 情報技術に対応する高齢者の技術向上にむけた支援が求められる.