第56回日本作業療法学会

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[PN-4] ポスター:地域 4

2022年9月16日(金) 15:00 〜 16:00 ポスター会場 (イベントホール)

[PN-4-5] ポスター:地域 4出会いそして支援へ

西日本豪雨災害が発生し支援へ.背景には平時からの「つながり」があった.

中塚 翔三1 (1砥部病院ケアサービス株式介護付有料老人ホームTo-be)

【活動概要・災害支援のきっかけ】
活動期間:H31.7.15~9.23毎週日曜日 活動場所:避難所,居宅訪問,仮設住宅
 西予市との出会いは,「なんよOT」という有志チームで平時から地域活動を行い連携関係があった.災害から1週間後,現場が混乱するなかOTR3名で災害ボランティアセンター向かい状況確認をしたところ「瓦礫撤去の依頼が中心で医療や福祉のニーズは無い」とのことであったが,職域を活かした支援ができないか状況把握するため避難所に向った.
【活動内容】
避難所は,小学校の体育館を使用し,段ボールで仕切られ互いに気を遣う環境であった.また日中は,高齢者が段ボールベッドで休む姿があった.つまり,高齢者は活動なく,運動・認知機能の低下を起こす可能性があると思われた.さらに,環境や被災のショックで良眠できず,精神的に不安定だと考えられた.そのため,愛媛看護師協会看護師が着目した人を聞きつつ,高齢者一人一人に声掛けERATの様式を使いニーズ調査を行った.調査で多かった訴えは「靴が履けない,精神的不安定,認知面低下,運動不足,持病悪化」等であった.そのため,運動指導や認知面,精神的ケアを行いたいと保健師と支援Pに相談し個別支援を行うことになった.
下腿浮腫に対しては,エコノミークラス症候群予防運動を促した.また認知面は,生活リズムを崩さないこと促し,子供達とともに過ごす環境を提案した.そして精神面は,訴えを傾聴することで安心感の充足に努めた.さらに体育館の慣れないフローリング床であったため,靴の提供を保健師に提案し,靴を選定し,トーカイが無償提供することで疼痛軽減に努めた.他にも旭川陸上自衛隊の仮設入浴所があり,自衛隊員から高齢者の入浴介助に困っていると相談があり,具体的な介助法の説明を行った.
後日からは在宅避難者が多いため,香川大学が訪問先をリストアップし,愛媛県社会福祉士会や地域包括支援センター保健師とチームを作り,「生活と健康」の評価に着目し,西予市の様式で在宅訪問を行った.OTRとしては,身体面,認知面,精神面,住環境整備,福祉用具等を担当した.やはり,急性ストレス障害が多い印象があった.約2ヵ月間の関わりで,初期は片付けに奮起し躁状態の時期があった.しかし,災害を思い出し涙を流しながら,「朝が来るのが怖くて眠れない」,「物忘れが増えた」と鬱状態や認知面が低下していた.その状態を評価し,DMATやDPAT等につなげた.
また避難所の中で「子供たちのケア」を,プラン・インターナショナルジャパンが行っていた.その際に,一人でいる子供や災害ごっこや絵で表現する子供達がいないことを伝えた.また,セーブ・ザ・チルドレン主催の子供達の心のケア研修に参加し,さらなる出会いが河嶌Drであり,DPATの役割を教わることができ支援先としてつながることができた.
災害から2ヵ月頃には仮設住宅への訪問依頼があったため,「両下腿浮腫」の対策でセルフ運動を指導し,また生活動線を評価,転倒防止の指導も行うことができた.復興が始まり再出発の相談があったが,明確な答えを返すことができない現実があった.
現在は,地域包括ケアシステムとして介入し,支援を継続することになった.
【まとめ】
 今回の支援で,災害時の人脈を作ることができた.そして,多様なニーズに対して役割を発揮でき被災者の復興を進めることができた.しかし,課題としては医療福祉専用の行政窓口の設置また団体の繋がり,様式の統一が必要と考えた.また平時からの地域支援で信頼関係を築く必要があると思った.