第56回日本作業療法学会

講演情報

ポスター

地域

[PN-6] ポスター:地域 6

2022年9月17日(土) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (イベントホール)

[PN-6-1] ポスター:地域 6千歳市における高齢ドライバーサポート事業の報告

山田 恭平1佐々木 努1富永 壮2作田 直人3 (1北海道千歳リハビリテーション大学健康科学部リハビリテーション学科作業療法学専攻,2千歳市北区地域包括支援センター,3千歳病院)

はじめに
近年,高齢者の自動車運転と移動手段に関する話題が社会的注目を集めている.運転をやめるのか継続するのかの判断には,免許更新制度に定められた条件に加え,健康状態,居住地域,家族形態,年齢,個人の運転に対する価値観など多くの要因が関与すると思われる.我々は,高齢者が自動車運転や移動手段を自律的に選択し,健康かつ安全に生活できる地域づくりを目指して2018年から年一回の産官学連携による運転講座を開催してきた.この講座は,イベント的要素が強く,自動車運転と移動手段に関わる諸問題を網羅的,かつ個別的に取り扱うには時間的制約が大きいため,2021年度より『高齢ドライバーサポート事業』を開始した.本報告の目的は,この事業の概要,内容,今後の課題を伝えることである.
高齢ドライバーサポート事業の概要
本事業は,総合事業(一般介護予防事業)の一環の事業であり,月一回(4~12月)の頻度で開催している.イベント開催やパンフレット配布を通じて情報提供を行い,65歳以上で運転免許を有する方やその家族を対象としている.教室は,平日午後に開催し,時間は概ね90分で,参加費は無料である.目的は,参加者が自動車運転や移動手段に関わる様々な情報を理解し,自分が納得できる生活の“足”について考える機会を提供することである.本事業は,千歳市介護予防センター,北海道千歳リハビリテーション大学,千歳市北区地域包括支援センター,千歳病院が共同し,千歳市社会福祉協議会で実施している.広報は,実施機関でのチラシ配布に加え,地域情報誌を通じて行った.
高齢ドライバーサポート事業(教室)の内容
新型コロナウィルス感染症の影響で5回のみの開催となった.2021年度は19名登録(男性9名)延べ36名の参加があった.平均年齢約76.1歳(68-88歳)であった.市内全ての日常生活圏域(5区)から参加があった.
事業は3部構成である.第1部は,「運転ちょこっと話」(10分)である.運転や移動手段に関する話題を提供している.運転中止が健康に及ぼす影響,運転に必要な能力,運転席の座り方,停止距離と認知機能,ブレーキ・アクセル踏み間違いの予防法を解説した.第2部は,「運転寿命延伸トレーニング」(30分)である.運転ストレッチ,交通脳トレを参加者に体験してもらった.第3部は「今日のトピックス」(45分)である.本事業のメイン部と位置付けている.各グループに我々がファシリテーターとして入り,参加者同士がグループディスカッションをした.5回のそれぞれのテーマはとしては,千歳市内の運転ひやり箇所,自宅でできる運転寿命延伸トレーニング,補償運転行動,自分の車の良いところ・悪いところ,冬道運転の注意点を取り上げた.尚,本事業とは別日に,希望者には無料にて公道での運転能力チェック(50分)を千歳自動車学校の協力得て実施している(実費は大学負担).安全運転行動の意識づけを目的としている.本年度は,8名の希望者があった.
高齢ドライバーサポート事業の今後の課題
アクセスが良く,定員を増やせる会場の選定,広報誌等によるより多くの方への広報が課題である.第2部のトレーニング課題の遂行時間に個人差が大きいため,難易度などの工夫が必要である.また,事業の効果検証を行う必要がある.